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入社後の活躍・定着を考える

入社後活躍コラム

人事担当者必見。入社者が活躍・定着するためのポイントや事例をご紹介します

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92回
新入社員の早期離職を防ぐカギは?人事と現場で進める「スクラムオンボーディング」

4月が近づき、新入社員の受け入れも増える時期に、「現場任せの新卒受け入れに不安がある」と悩まれる声をしばしば伺います。

採用競争の激化や採用単価の上昇により、「せっかく採用した人が、入社後になかなか活躍できない」「早期離職につながってしまう」といった事態は、企業にとって大きな損失となります。

この背景には、入社後のオンボーディング(組織への適応と早期戦力化に向けた支援)の設計不足があるケースも少なくありません。

本コラムでは、エンが行なったオンボーディングに関する研究知見も踏まえながら、「スクラムオンボーディング」という考え方をご紹介し、人事が入社前後で具体的にどのような支援に取り組めるのかをご紹介します。

課題
現場任せのオンボーディングでは「ばらつき」と「見えない不安」が残る
新卒社員が早期に活躍するまでには、単に業務を教えるだけでは不十分です。
新しい環境に馴染み、周囲と良好な関係を築き、自分の役割を理解しながら成果を出せるようになるまでには、さまざまな支援が必要になります。
この支援を現場に任せきりにしてしまうと、次のような課題が生じやすくなります。
● 配属先や上司・先輩の力量によって、育成・フォローの質にばらつきが出る
● 育成やオンボーディングの内容が、個々の現場の経験に依存して属人的になってしまう
● 人事が入社者の実態や現場状況を把握しづらく、問題が顕在化した時には対応が後手に回ってしまう
その結果として、
● 入社者が不安や違和感を抱えたまま時間が経過してしまう
● 早期離職やモチベーションの低下につながる
といったリスクが高まります。

こうした状況を防ぐためには、現場任せではなく、人事と現場と入社者が協働する前提で、オンボーディングを設計していく必要があります。
基本
スタンス
三位一体で進める≒「スクラムオンボーディング」
近年、採用プロセスに現場社員が積極的に関わる「スクラム採用」(※「スクラム採用」…株式会社HERPによって提唱)という考え方が広がっています。 同様に、入社後のオンボーディングにおいても、「人事・現場・入社者の三位一体」で進める発想が重要になっています。この三者がそれぞれの役割を持って連携しながら、新卒社員の入社後活躍を支える体制を、いわば「スクラムオンボーディング」と呼ぶことができます。
● 人事:オンボーディング全体の方針設計、情報のハブ、場づくり、状況のモニタリング
● 現場:日々の育成・OJT、フィードバック、実務の中でのサポート
● 入社者:主体的な学び、自己理解、周囲との関係構築
誰か一部の人が頑張るのではなく、それぞれが役割を持って支える体制をつくることで、属人性や配属先によるばらつきを抑えやすくなります。
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ポイ
ント
オンボーディングを支える3つのステップ(LOOK・LIVE・LEARN)
エンは、オンボーディング研究の第一人者である尾形真実哉教授と共同研究を行ない、オンボーディングを進めるうえで重要となる3つのステップを整理しています。
オンボーディングと入社後活躍の関係

1. How to LOOK|自己理解・経験の棚卸し

自分の強み・弱み、価値観、これまでの経験を振り返り、どのような場面で力を発揮しやすいのかを理解する段階です。
● どのような仕事にやりがいを感じるのか
● どのような環境でパフォーマンスを発揮しやすいのか
● どのような状況でつまずきやすいのか
といった点などを整理できているかどうかが、その後の学びや成長のスピードに大きく影響します。

2. How to LIVE|なじむ・人間関係の構築

職場の文化や価値観、暗黙のルールを理解し、周囲と信頼関係を築いていく段階です。
● 部署ごとの暗黙の了解や仕事の進め方のクセ
● 報連相の頻度や深さ
● 会議での発言の仕方や、意思決定のプロセス
といった、その会社ならではの文化に馴染み、ここで働いていけそうだと感じられる状態が整って初めて、入社者は安心して学びや挑戦に踏み出しやすくなります。

3. How to LEARN|仕事の進め方を学ぶ

業務の知識やスキルだけでなく、成果を出すための仕事の進め方を学ぶ段階です。
● 業務の優先順位のつけ方
● 上司や関係者の巻き込み方
● 期待値のすり合わせ方
● 失敗したときのリカバリーの仕方
などを、身に付けていくことが求められます。
新入社員は、「早く期待に応えたい」「早く役に立ちたい」という思いが強く、「組織や周囲に影響を与えたい(INFLUENCE)」気持ちが先行しがちです。

しかし、「LIVE(なじむ)」が十分でない状態で成果や影響力を求めても、周囲から必要な情報やサポートを得にくくなり、結果的に活躍が遅れてしまうことがあります。
人事や現場は、この3つのステップが抜け落ちないように配慮しながら、支援策を設計していくことが重要です。
取り
組み
入社前にできること
入社者が配属先でスムーズに活躍していくための準備は、入社前から始めることができます。ここでは、入社前に人事ができる取り組みを2つご紹介いたします。

① 現場への申し送り(受け入れ側への情報共有)

まず重要になるのは、配属先の現場への情報の橋渡しです。
選考過程で人事が得た情報は、現場が入社者を理解し、適切に関わるための貴重な材料になります。
共有しておきたい情報の例
定量情報
● 選考時の評価シート
● 適性検査の結果
● インターンやアルバイトなどの経験の有無
定性情報
● 入社者の強み・弱み(例:「粘り強いが、初動は慎重になりやすい」など)
● 合いやすいコミュニケーションスタイル(例:「こまめなフィードバックがあると動きやすい」など)
● 選考時の印象的なエピソード
● 入社者本人が口にしていた期待や不安
こうした情報を人事が整理し、「なぜこの人を採用したのか」「どこにポテンシャルがあるのか」が伝わる形で配属先に共有することで、現場は受け入れや育成のイメージを持ちやすくなります。

② 入社者への期待の伝達(入社者側へのメッセージ)

一方で、入社者側に対する支援として有効なのが、「何を期待しているのか」を明確に伝えることです。

内定から入社、配属発表のタイミングは、入社者にとって不安を感じやすい時期です。
● 「自分は本当にやっていけるのだろうか」
● 「どのような仕事を任されるのだろうか」
● 「どのくらいのスピードでキャッチアップすべきなのだろうか」
といった不安に対し、人事から次のようなメッセージを伝える場を意識的に設けることがおすすめです。
● 初年度に期待している役割や成長のイメージ
● 最初の3か月・半年で取り組んでほしいこと
● 不安や悩みがあった場合には、人事に相談してよいことの明示
入社後は、物理的にも心理的にも、人事と入社者との距離が開きやすくなります。
だからこそ、不安が高まりやすい入社前のタイミングで、「困ったときには人事を頼ってよい」というメッセージを伝えておくことが、入社後のオンボーディングをスムーズにする土台になります。
取り
組み
入社後にできること
入社後は、現場でのOJTが中心になりますが、人事が関われる余地も少なくありません。
ここでは、入社後に人事が取り組める代表的なアクションを3つご紹介します。

① 受け入れ現場への受け入れガイダンス

現場側は、忙しい業務の合間に新卒受け入れを行うことが多く、自身が新卒だった頃の感覚を忘れてしまっているケースも少なくありません。
その結果、次のようなすれ違いが生じがちです。
些細な「ボタンのかけちがえ」が起きている
現場側
「何でも聞いて」と伝えているから、入社者は質問しやすいはずだと考えている
入社者
「皆さん忙しそう」「こんなことを聞いたら迷惑かもしれない」と遠慮してしまう
こうした“ボタンのかけ違い”を防ぐために、人事が次のような受け入れガイダンスの場を設けることが有効です。
● 新卒社員の心理状態や、つまずきやすいポイントの共有
● 自社で過去に起きた「よくある誤解・すれ違い」の事例紹介
● 質問のしやすさを高める具体策(質問タイムの設定、メンター制度、1on1の実施など)の提案
人事が自社で起こりやすいことや、新卒特有の状況を言語化して現場に伝えることで、現場と人事が一緒になって受け入れ体制を整えていくことができます。

② 同期コミュニティの形成

新入社員にとって、同期の存在は大きな心理的支えになります。配属先に同期がいない、あるいは少ない場合でも、人事がハブとなって同期同士のつながりを意図的につくることが重要です。
具体的な取り組み例
● 入社後1〜3か月の間に、定期的な同期ワークショップや振り返り会を実施する
• 成功体験・失敗体験の共有
• 配属先で困っていることの共有
• 会社の文化についての気づき共有 などのテーマ設定
● テーマ別の少人数ディスカッションや、学び合いの場を設ける
配属先以外に「本音を話せる仲間がいる」「自分だけが悩んでいるわけではない」と感じられることで、心理的安全性が高まり、離職防止にもつながります。

③ 人事によるフォロー面談

入社者は、現場での不安や違和感を抱えていても、それを上司や先輩に直接伝えることをためらうことがあります。そこで有効なのが、人事による定期的なフォロー面談です。
フォロー面談で確認したいポイントの例
● 仕事の理解度や業務量に対する負荷感
● 現場とのコミュニケーション状況(相談しやすさ、フィードバックの頻度など)
● 会社やチームの文化への馴染み具合
● 本人が抱えている不安や違和感、今後のキャリアに関するモヤモヤ
人事が第三者として話を伺うことで、
● 現場では拾いにくいシグナルを早期に察知できる
● 現場との認識ギャップを調整しやすくなる
● 必要に応じて、育成プランやフォロー体制の見直しにつなげられる
といったメリットがあります。
結果として、入社者が組織に馴染めないまま時間だけが過ぎてしまうリスクを減らし、自律的に働ける状態(自走)への移行を支援することができます。
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まとめ

人事がリードする「スクラムオンボーディング」で入社後活躍を高める

新卒社員のオンボーディングは、「現場任せ」でも「人事だけ」でもなく、人事・現場・入社者の三位一体で進めていく必要があります。

エンの研究で示された「LOOK・LIVE・LEARN」の3ステップを軸にしながら、
● 入社前:情報の申し送りと期待の伝達
● 入社後:受け入れガイダンス、同期コミュニティの形成、フォロー面談
といった施策を組み合わせることで、新卒社員の「なじむ」と「学ぶ」を継続的に支えることができます。人事が旗振り役となり、現場とスクラムを組んでオンボーディングを整えていくことが、早期活躍と定着の鍵になります。
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