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主体性が生まれる職場づくり──今、人事が取り入れたい「ジョブ・クラフティング」とは
リモートワークや柔軟な働き方が広がった一方で、「スキルはあるもののエンゲージメントが低い社員が増えている」「成長機会を与えても主体性が高まらない」とったお悩みの声を伺うことも増えています。
こうした状況を打開する鍵として今あらためて注目されているのが、社員が自ら仕事の意味や進め方を再定義し、主体性を引き出す「ジョブ・クラフティング」という考え方です。
今回は、このジョブ・クラフティングの基本概念から、現場で活用しやすい実践イメージ、さらに適性検査と掛け合わせるメリットまでをご紹介します。
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ジョブ・クラフティングとは、社員自身が仕事のやり方・関係性・意味づけを主体的に変化させ、仕事にやりがいを生み出すプロセスを指します。
イェール大学のエイミー・レズネスキー准教授と、ミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授によって提唱されました。近年、世界的に注目されている理由は、受動的な「やらされ仕事」から、主体的に創造する「自分ごと」の仕事へと転換することで、モチベーション・創造性・定着率が大きく向上するという実証研究が積み上がってきたためです。
仕事が「自分ごと」化されることで、社員は仕事を通じた満足感や自己効力感を得られます。その結果、社員のエンゲージメントが高まり、組織としては生産性や定着率の向上が期待できるのです。
ジョブ・クラフティングは、次の3つを見直すことで仕事を自分ごと化していきます。
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仕事のやり方を変える(タスク・クラフティング)
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社員が、より成果を出しやすい方法に自ら工夫を加えるアプローチです。
例
・電話営業よりメールの方が得意→営業方法を切り替える
・自動化できるタスクを自ら仕組み化し、業務負荷を軽減する
・自分に不足するスキルを学ぶため、先輩へ積極的に相談する
重要なのは、「上司が指示する改善」ではなく、社員自身が意味を持って選択すること。やらされ感のない自発的な工夫が、内側からの主体性を生みます。
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人間関係を変える(リレーショナル・クラフティング)
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人間関係や関わり方を工夫し、働きやすい協力体制を自分でつくっていくアプローチです。
例
・相談しやすい同僚・先輩との接点を増やす
・上司の期待や判断軸を積極的に確認する
・相手の強みを理解し、役割分担を最適化する
相手を深く理解し、より良い関係性を築くためのコミュニケーションによって、個人のみならず組織全体の成果創出にも繋がります。
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仕事の意味づけを変える(コグニティブ・クラフティング)
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「自分の仕事は誰にどう役立っているか」という視点で、仕事の意義を再定義するという、最も本質的なアプローチです。
例
・言われた管理業務→チームが100%の力を出すための土台作り
・作業が多い事務仕事→営業が顧客に集中できる時間を生む役割
「指示された業務」という受け身の姿勢から、「この仕事を通じて誰にどのような価値を提供できるか」という当事者意識へと転換することで、日々の業務への取り組み方が変わり、結果として成果にも繋がりやすくなります。
適性検査を活用したジョブ・クラフティングの取り組み
ジョブ・クラフティングを組織的に推進する上で、適性検査をはじめとする客観的なツールが大きな助けとなります。
- 1. 自己理解を深め、クラフティングの方向性を見出す
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適性検査の結果を本人と共有し、客観的な自己理解を促すことは、ジョブ・クラフティングの第一歩として有効です。自分の強みや価値観、思考のクセを把握することで、社員はどのクラフティングから着手すべきかを考えやすくなります。
- 2. 強みを活かしたアプローチを後押しする
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例えば、持続性や論理性の高い特性を持つ社員には、業務プロセスの見直しといった「タスク・クラフティング」を。共感性の高い特性を持つ社員には、チーム内の連携強化を目的とした「リレーショナル・クラフティング」を、といった形で、本人の強みを活かしたアプローチを促すことができます。弱みに関しても、本人が自覚することで改善行動を取りやすくなるだけでなく、上司や同僚が的確なフォローをしやすくなります。
- 3. 人間関係の再構築を円滑にする
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特に「リレーショナル・クラフティング」においては、自分と他者のコミュニケーションスタイルの違いを理解することが不可欠です。タイプ別の関わり方のポイントが分かる適性検査は、他者との効果的な関係構築を考える客観的な材料となり、チームの相乗効果を高めるきっかけとなります。
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ジョブ・クラフティング×適性検査で、個々の特性に合わせた主体性支援が可能になります。
ジョブ・クラフティングは2001年頃に提唱された概念ですが、仕事の複雑化や組織と従業員の関係性が変化する現代において、その重要性はますます高まっています。さらに、適性検査を組み合わせることで、画一的な施策ではなく、個々の特性に合わせたジョブ・クラフティングの支援が可能になります。これにより、現場での実践をよりスムーズかつ効果的に行なうことができます。
ジョブ・クラフティングに関する詳しい解説や具体的な実践方法については、入社後活躍研究所の『社員の「働きがい」を生みだす『ジョブ・クラフティング』を首都大学東京 高尾教授に聞く!』もあわせてご覧ください。
また、その他の適性検査の活用法に関するWebセミナーも随時開催しております。
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