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総力特集
月刊「人事のミカタ」
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2018/11/07 UP
[社労士監修] 働き方改革法のポイントと、企業が準備すべきことは?
人事が知るべき「働き方改革法」
要約すると
  • 「働き方改革法」施行後、「経営に支障をきたす」と回答した企業は47%
  • 経営に支障きたす法案TOP3は「時間外労働の上限規制」、「有給取得義務化」、「同一労働同一賃金」
  • 法改正の概要とポイントを社労士が解説!
2018年6月29日。「働き方改革法」が成立しました。
「時間外労働の上限規制」、正社員と非正規社員の待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、「有給取得の義務化」など、2019年4月からの施行が決定。大きな雇用環境の転換点がやってきます。加えて、企業側では各種制度・規則の改定を急ピッチで進める必要も。施行まで残り半年を切った今、改めて法案についてまとめて解説する本特集をご参考に、ぜひ対応をご検討ください。
エン 人事のミカタ
編集長 手塚伸弥
「働き方改革法」施行後、「経営に支障をきたす」と回答した企業は
47%
Q.2019年4月以降、「働き方改革法」が施行されることで、経営に支障が出ますか?

「人事のミカタ」では、今年の夏に、企業の経営者、人事担当者に「働き方改革法」についてアンケートを行ないました。「働き方改革法」が施行された際の、自社の経営への支障があるかどうかを伺ったところ、「大きな支障が出る」9%、「やや支障が出る」38%となり、半数近くの企業で経営に何かしらの支障が出ると回答がありました。それは何故か。その要因は3つの法案によるようです。

経営に支障きたす法案TOP3は「時間外労働の上限規制」、「有給取得義務化」、「同一労働同一賃金」
Q.経営に支障が出そうな法案はどれですか?(複数回答可)

半数近くの企業で、経営に何かしらの支障が出ると回答があった「働き方改革法」。その要因を聞いてみると、「時間外労働の上限規制」がもっとも多く、次いで「年次有給取得の義務化」、「同一労働同一賃金の義務化」が続きました。総じて、代替社員や人材に余剰の少ない中小企業にとっては残業の規制、有給取得時の対応が厳しい、、、という声が。貴社ではいかがでしょうか?

法案に対する「人事のホンネ」!
「時間外労働の上限規制」と回答された方の理由
  • 長時間労働が当たり前という風土の業界なので。
  • クライアントのスケジュールに左右されるため、クライアントが残業を減らすため先に終業したところ、それ以降の作業は弊社になるだけなので。結果的に、サービス残業の増加で補う状態に陥りそう。
  • 残業を抑えることにより、人員確保が急務となり、人件費増に繋がると思われるため。
「年次有給取得の義務化」と回答された方の理由
  • その仕事をできるのが1人だけという仕事が多く、休みが取得しにくい。
  • 中小企業にまでこの制度を当てはめるのは無理がある。限られた人数で業務をこなさなければならない為、今のこのご時世多少の負荷がかかっても仕方のないこと。これを全て義務化となった場合、会社の経営は成り立たない。
  • 代休すら消化出来ていないので、有給を強制的に取らせるのもどうかと思いました。
「同一労働同一賃金の義務化」と回答された方の理由
  • 定年後再雇用者と正社員の同一労働同一賃金をどう対応すべきか、今年の12月にガイドラインが出るとのことなので注視している。
  • 非常勤職員への手当・賞与等を正職員と同じように出さなければいけなくなるので、その分の運営費が支給されていないので、人件費率が上がり、経営を圧迫する恐れがある。
  • 未経験の新人と熟練者では同一労働であっても、経験値や遂行能力に差があり、一律同一賃金とするには無理が生じます。
「働き方改革法」の概要

それでは、ここで成立した8つの法案について、確認しましょう。

働き方改革法

多くは2019年4月からの施行ですが、中小企業において猶予期間が設定されている法案もあります。大きな話題になった「高度プロフェッショナル」制度も法案の一つです。上記の概要をまず押さえましょう。

「働き方改革法」の中小企業の定義とは?

上記、働き方改革法の概要でご紹介したとおり、中小企業には施行まで一定の猶予期間が設定されています。貴社が中小企業に該当するか否かを、まず下記表の定義からご確認ください。

働き方改革法における中小企業の定義
社労士による解説!

中小企業であるかどうかは、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。

「常時使用する労働者数」については、企業の通常の状況により判断します。臨時的に雇い入れた場合や、臨時的に欠員を生じた場合については、労働者の数に変動が生じたものとして取り扱う必要がありません。パート・アルバイトであっても、臨時的に雇い入れられた場合ではなければ、常時使用する労働者数に算入する必要があります。ご注意ください!

「時間外労働の上限規制」、「有給取得義務化」、「同一労働同一賃金」法案施行前に企業がするべきことは?

施行されると経営に支障をきたす…という声の多かった「時間外労働の上限規制」、「年次有給取得の義務化」、「同一労働同一賃金の義務化」。それぞれの法案について、企業が行なうべきこととは?社労士の回答をご確認ください。

社労士による解説!「時間外労働の上限規制」
時間外労働の上限規制

罰則規定となっていて、違反した場合には、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。大企業においては2019年4月から、中小企業においては2020年4月から適用されます。ぜひ対策をご検討ください。

労務上の対策としては、時間外労働が多い従業員については職務の見直し、分担を検討するとともに、職場の勤務体制に合わせたフレックスタイム制や裁量労働制の導入などを検討されてはいかがでしょうか。

今年度の受付は終了してしまいましたが、中小企業庁では、生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援するため、「ものづくり・商業・サービス補助金」を用意しています。設備投資等とあわせて専⾨家に依頼する費⽤も⽀援対象となっていますので、この様な制度を活用して業務改善に取り組まれてはいかがでしょうか。

(参考サイト)ものづくり・商業・サービス補助金
https://map.mirasapo.jp/subsidy/23414.html
社労士による解説!「有給取得義務化」
有給取得義務化

働き方改革において、有給休暇の取得が義務化されました。有給休暇が年10日以上ある労働者について、そのうち5日の取得を企業側に義務付けたものです。

違反した場合には、「30万円以下の罰金」が科されますので、企業としては有給休暇の取得促進に向けての取り組みが求められます。事業を計画的にすすめ、有給取得が遅れている社員に有給休暇を取得してもらうためには「有給休暇の計画的付与制度」の導入を検討されてはいかがでしょうか。

年次有給休暇の「計画的付与制度」とは

年次有給休暇の計画付与制度とは、年次有給休暇のうち、5日を超える分について、労使協定を結ぶことにより、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度のことをいいます。

ただし年次有給休暇の日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。例えば、年次有給休暇の付与日数が10日の従業員に対しては5日、20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。
この制度の導入で、休暇取得の確実性が高まり、従業員にとっては予定した活動を行いやすく、事業主にとっては計画的な業務運営に役立つと考えられます。

社労士による解説!「同一労働同一賃金」
同一労働同一賃金

同一労働同一賃金の施行期日は 大企業で2020年4月、中小企業は2021年4月となっています。現段階では裁判例などを参考に、自社の賃金規定を見直して、同一職種において不合理な格差が生じていないか点検しておくことをおすすめします。

(参考裁判例)
【同一労働同一賃金】ハマキョウレックス事件について教えてください。
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_1012/
【同一労働同一賃金】長澤運輸事件について教えてください。
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_1013/
その他の法案
裁量労働制との違いから見る「高度プロフェッショナル制度」
高度プロフェッショナル制度
「勤務間インターバル制度」

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。今回の働き方改革では勤務間インターバル制度導入が企業の努力義務となっています。

「勤務間インターバル」を導入した場合として、例えば下図のような働き方が考えられます。

勤務間インターバル制度

この他にも、ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないこととするなどにより「休息期間」を確保する方法も考えられます。

このように、一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができるようになると考えられています。

自社に取り入れるためには、①労働時間の管理は現状のままで対応できるかどうか、②当事者にインターバル時間(翌日の出社時間)をどのように認識させるのか、③勤務開始が遅れた場合の代替要員の確保といった課題を検討する必要があります。

厚生労働省では専用サイトを設けて、企業の導入事例を公表しておりますのでこちらも参考にしてください。

(参考サイト)厚生労働省「勤務間インターバル」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/index.html
まとめ

「中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止」、「産業医の機能強化」、「フレックスタイム制の清算期間延長」については、より詳細な情報が開示され次第、追加して参ります。残り半年を切った「働き方改革法」施行。多くの疑問の声を頂戴しています。「人事のミカタ」では、今後も情報を更新していきますので引き続き、ご参考ください。

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