中途採用ノウハウ、ユーザー調査、法改正情報が満載!
深刻な労働力不足と採用難が常態化する2026年現在、多くの企業で「選考の歩留まり悪化」や「面接官(現場・人事)の対応負担増」が深刻な課題となっています。
こうした背景の中、新たな採用選考スタイルとして急速に注目を集めているのが、人工知能が面接官を務める「AI面接」です。従来のような対面・オンラインでの人対人の面接ではなく、スマートフォンやPCを使い、画面上のAIアバター・キャラクターからの質問に対して応募者が動画や音声で回答する選考手法です。
企業側にとっては「初期スクリーニングの工数削減」「面接官ごとの評価ブレの防止」といったメリットが注目されがちですが、選考を受ける「求職者側(ユーザー)」はAI面接をどのように捉えているのでしょうか?
「AIに評価されることに抵抗感はないのか?」「辞退率が上がってしまうのではないか?」——そんな疑問や不安を抱く採用担当者の方も少なくありません。そこで今回は、『AI面接スタートガイド【前編】』と題し、人事のミカタで実施した求職者1,172名を対象にした「AI面接に関する意識調査」から求職者のホンネと、AI面接導入を検討する際に押さえるべきポイントを分かりやすく解説します。
AI面接(AI選考)とは、人工知能(AI)を活用して応募者の面接評価やスクリーニングを行う選考手法です。
従来の「web面接(リアルタイムでの人対人の対話)」や「録画面接(提出動画を人間が後から視聴)」とは異なり、画面上に登場するAI面接官からの質問に対し、応募者が動画や音声、テキストで回答します。AIは回答された内容の論理性やキーワードだけでなく、話し方のテンポ、表情、声のトーンなどを総合的に解析し、企業が設定した評価基準に沿って客観的に合否や適性を算出します。
web上での面接となるため、求職者は24時間いつでも好きなタイミングで受験でき、企業側も面接日程の調整が一切不要となり、日程調整や面接設定にかかる人事の対応工数を大幅に削減可能なため、特に大量の候補者をスクリーニングする1次選考を筆頭に、効率化・標準化する新たな手法として注目を集めています。
Q 人間の代わりにAI(人工知能)が面接官を務める「AI面接」という言葉やサービスを知っていますか?
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:『エン転職』を利用するユーザー
調査期間:2026年6月3日(水)~2026年6月30日(火)
有効回答数:1,172名
まず、求職者に対して「AI面接」という言葉やサービスを知っているか尋ねたところ、「詳しく知っている」「内容をある程度知っている」と答えた人は合算で21%でした。
一方で、「名前だけ聞いたことがある(38%)」を含めると認知率は約6割に達し、選考手法としての認知度は近年、着実に高まっていることが見て取れます。
Q 面接の相手がAIのため「夜間・休日など、自分に都合の良い時間・場所で受験できる」「対面より緊張せず話せる」等のメリットがある「AI面接」についてどう思いますか?
AI面接に対する印象を尋ねたところ、全体の53%が「良いと思う(非常に良いと思う+良いと思う)」と回答しました。
年代別に見ると、20代においては、実に4人に3人(75%)が「良いと思う」と回答。若手の求職者ほど、デジタルツールを使った選考に対する心理的ハードルが低く、効率性や公平性をポジティブに捉えていることが明確になりました。
なぜ、これほど多くの求職者がAI面接を前向きに捉えているのでしょうか?「AI面接によって転職活動がどう変わるか」を尋ねた設問から、求職者が期待する主なメリットを分析します。
Q 今後、一次選考などで「AI面接」を導入する企業が増えていくことが見込まれていますが、「AI面接」によって、転職活動がどう変わると思いますか?
1位は、「面接官との相性(好き嫌い)に左右されず、公平にジャッジしてもらえる(約46%)」。次いで、「日程調整や移動の負担がなくなり、仕事と両立しやすくなる(約45%)」、「不機嫌な面接官や、圧迫感のある面接官に当たるストレスがなくなる(約36%)」となりました。この結果から、求職者の本音は「公平性」「タイパ(利便性)」「心理的安全性」の3点に集約されそうです。
求職者が最も強く感じている魅力が「公平な評価」です。人間同士の面接では、どうしても面接官の第一印象や好き嫌い、年齢・性別・外見に対する先入観(アンコンシャスバイアス)が評価に影響を与えるのではないかという不信感がありました。
在職中の転職活動において、最大の壁となるのが「平日の日中に行われる面接の日程調整」です。AI面接であれば、24時間いつでも都合の良い時間に自室から受検できるため、時間的・物理的な負担が劇的に軽減されます。
「不機嫌な面接官に当たるストレスがなくなる」という項目も高く支持されました。人間相手では緊張してうまく話せない人や、威圧的な面接官によって萎縮してしまった経験を持つ求職者にとって、AI面接は心理的な安全性が高く、リラックスして臨める環境となります。
また、「気軽に応募しやすくなる」という点も、応募者数を増やしたい企業にとって重要な示唆です。
一方で、「AI面接を受けたくない」と回答した層からは、AI面接ならではの課題や不安が寄せられました。
Q Q7で「あまり受けたくない」「受けたくない」「わからない」と回答された方へ伺います。その理由は何ですか?
1位は「AIがどのような基準で評価しているか分からないから(約56%)」、2位は「自分の人柄や熱意がAIに正しく伝わるか不安だから(約50%)」、3位は「企業の社風や担当者の雰囲気を知る機会が減りそうだから(約43%)」となりました。
上記から、企業側がAI面接を導入するにあたり、配慮すべき不安要素は3点に集約されるでしょう。
アンケート結果から見えてきたのは、求職者は「利便性や公平性には大賛成だが、ブラックボックス化や人間味の消失には強い不安を感じている」という本音です。
では、企業がAI面接を「新しい採用手法」として導入し、成果を出すためにはどのような工夫が必要なのでしょうか?求職者が「どのようなサポートがあれば安心できるか」を尋ねた質問への回答に、その答えが隠されています。
Q AI面接を受ける際、どのような「サポート」があれば安心できると思いますか?
1位は「AI面接を事前に体験できる練習ツール」、2位は「AIが評価するポイントの事前解説」、3位は「AIの評価に加えて、後日人間がチェックしてくれるという保証」となりました。
この結果を踏まえ、人事担当者が押さえるべき3つのカギは以下となります。
特に20代などの若手層において、「AI面接があるなら気軽に受けてみたい」というニーズが突出しています。企業側がAI面接を「不合格者を機械的にバッサリ落とすためのフィルター」として使うと、不採用になった求職者の落胆や不満が強まります。
そうではなく、「従来の書類選考だけでは不採用にしていたような層も含め、まずは広くAI面接で話を聞いてみる」という姿勢で運用を始めることは検討して良いでしょう。書類だけでは伝わらないコミュニケーション力や意欲をAI面接で救い上げるスタンスを示すことで、応募母集団の拡大と隠れた優秀層の発掘に繋がります。
求職者の不安で最も大きいのが「AIだけに判断されて不採用になること」や「会社の雰囲気が分からないこと」です。この不安を解消するために、採用ページや案内メールで「選考プロセスの透明性」をしっかりアピールしましょう。以下のように「AIの客観性」と「人間の温かみ」を補い合うハイブリッドな選考フローであることを提示できれば、辞退率を大幅に抑えることに繋がるはずです。
●アナウンス例:
「当社の1次選考ではAI面接を導入していますが、AIの判定結果はあくまで参考情報です。提出いただいた動画・テキストは、必ず人事担当者が目を通した上で総合的に合否を決定しています」
「AI面接通過後の2次選考では、社員とのカジュアル面談やオフィス見学の時間を十分に設けており、当社の社風を肌で感じていただけます」
初めてAI面接を受ける求職者に対して、事前の情報提供を徹底することも不可欠となります。
これらが整っているだけで、求職者の不安は和らぎ、本来の力を発揮しやすくなります。
今回は求職者1,172名を対象とした調査から、「AI面接」に対するリアルな意識をひも解きました。
求職者にとってAI面接は、決して「冷たい機械による選考」ではなく、自らの可能性を広げる「利便性の高い新しい選択肢」になり得ます。人事担当者が求職者の不安に寄り添い、適切な情報開示と選考設計を行えば、採用競合に勝つ強力な武器となるはずです。
次回以降に公開する本特集の【後編】では、視点を企業側に切り替え、「企業・人事におけるAI面接の認知度・導入実態調査」のデータを公開していきます。AI面接の導入検討や貴社採用選考のブラッシュアップの一助になれば幸いです。ぜひ、参考にしてください。