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職場ハラスメントの処方箋

公開日 2026/5/7
更新日 2026/5/7
要約すると
  • 職場でハラスメントを「受けたことがある」人は63%。一方で、相談した結果「解決した」のはわずか1割強。
  • 対策を進める上での最大の壁は「ハラスメントかどうかの判断の難しさ(約6割)」。経営層や管理職の意識の低さも課題に。
  • 対策による副次効果は「風通しの向上」や「信頼感の向上」。深刻な人手不足時代、誠実な対応こそが定着率を高める良薬に。
監修者
「人事のミカタ」編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
手塚伸弥
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
はじめに

2026年、深刻な人手不足が続く中で、企業にとって「人材の流出を防ぐこと」は最優先の経営課題といえるのかもしれません。

そうした中で、避けて通れないのがハラスメント対策です。しかし、厚生労働省の調査や最新のユーザーアンケートを詳しく見ていくと、企業側が「対策を講じているつもり」でも、現場の社員は「救われていない」と感じている……そんな根深い「対策の壁」が浮かび上がってきました。

ハラスメントは個人の問題に留まらず、組織の生産性や採用ブランディングに直結します。今回は、ハラスメントを巡る「現場のリアル」を直視し、企業がこの壁を乗り越えるための「処方箋」を、最新データをもとに探ります。

職場でハラスメントを「受けたことがある」人は63%。一方で、相談した結果「解決した」のはわずか1割強。

まず、働く側の人たちがどのような現状に置かれているのか、ハラスメント関連の調査結果を確認します。

Q これまで職場でハラスメントを受けたことがありますか?

Q 職場でどんなハラスメントを受けましたか?

アンケート手法:WEBアンケート
アンケート期間:2025年8月4日~2025年8月31日
有効回答数:1,955人
※『エン転職』会員に対するアンケート「ハラスメントについて」の結果を引用

実に6割を超える方が被害を経験されています。内容はパワハラ(90%)が圧倒的ですが、近年はカスハラ(15%)被害も増加中。社内でのハラスメントだけでなく、社外、顧客・ユーザーからのハラスメントにも防止策を講ずる必要性が高まっています。また、さらに深刻なのは、被害に遭った社員が勇気を持って、窓口や上司に相談した後の結果です。

Q 相談した結果について教えてください。

ハラスメント被害を相談した結果、「解決した」と回答した人は10%強。なんと10人に1人という割合でした。全体の6割以上は、「解決しなかった」と回答し、さらに10%は「状況が悪化した」という驚きの結果になっています。

被害者からのエピソードを見ると、加害者が経営層や古参社員である場合、周囲の忖度が働き、適切な対応がされないケースが少なくないようです。こうした「相談しても無駄」という諦めの心理が、離職を招く要因になっていることが垣間見えます。

絶句――。本当にあった職場ハラスメント
  • 言わなくてもいいこと(個人的に気にしていること)を職場課内で話のネタに言われる。業務量が多いことを分かっているだろうに切羽詰まらせてくる。25歳男性/宮城県
  • 1人で3人分の業務を担当させられ、上司から残業が多いのはお前が能力不足だからだと全員の前で叱責され、大喧嘩した。すぐ退職願を出してから、3か月一言も話さず、仕事も振られなくなった。29歳女性/千葉県
  • 昼夜問わず電話がかかってくる状況。電話に出なければ、なぜ電話に出ないんだと叱られる。23歳男性/東京都
  • 班長にしつこくデートの誘いをされて手やお腹を触られた。証拠のLINEも提出したがハラスメント対応窓口は機能しなかった。24歳女性/栃木県
  • 同じ顧客から毎日のように電話があり、怒鳴りつけられることが続いた。人格否定をされることもあった。理由を伺うと、サービス提供者との相性が悪く、自分の思い通りにならないから気に入らないという理由であった。35歳男性/埼玉県
  • カスハラとセクハラのコラボレーション!取引先から夜な夜な「綺麗ですね」「わがままな依頼ありがとうございます、ドキドキします。Mだと感じましたか?」などのメールが届く。35歳女性/東京都
対策を進める上での最大の壁は「ハラスメントかどうかの判断の難しさ(約6割)」。経営層や管理職の意識の低さも課題に。

一方で、企業側の取り組みはどうでしょうか。厚生労働省の調査(令和5年度)によると、約7割の企業が相談窓口を設置するなど、形としての対策は進んでいる様子が伺えます。しかし、実効性を持たせる上で、多くの担当者が大きな「悩み」を抱えています。

企業がハラスメントの予防・解決のため実施している取組

出典:令和5年度 厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)を加工して作成

ハラスメント予防・解決の取組を実施している企業における取組を進める上での課題(従業員規模別)
1 ハラスメントかどうかの判断が難しい:59.6%
2 管理職の意識が低い/理解不足:23.8%
3 発生状況を把握することが困難:23.8%

もっとも多い悩みは、約6割の企業が挙げる「判断の難しさ」です。「指導」と「パワハラ」の境界線や、カスハラにおける「不当な要求」の線引きに、多くの人事が頭を悩ませている状況が捉えられそうです。また、管理職の意識の低さを課題に挙げる声も多く、経営層や人事の想いが現場に浸透しきれていない現状があるのかもしれません。

対策による副次効果は「風通しの向上」や「信頼感の向上」。深刻な人手不足時代、誠実な対応こそが定着率を高める良薬に。

ハラスメント対策は、単なる「守り」や「コスト」だけではないようです。対策を誠実に進めることで、組織にポジティブな変化が生まれることもデータが示しています。

ハラスメントの予防・解決のための取組を進めたことによる副次的効果(従業員規模別)
職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる:39.9%
会社への信頼感が高まる:35.4%
メンタルヘルス不調者が減少する:22.5%
休職者・離職者が減少する:24.4%

対策を通じてルールや窓口が機能し始めると、副次的に「風通しの向上」や「会社への信頼」が生まれるようです。これは、深刻な人手不足が続く2026年において、採用力を高め、社員に「ここで働き続けたい」と思ってもらうための、もっとも本質的な投資といえそうです。

「対策の壁」を乗り越えるための処方箋

データと現場の声を踏まえ、ハラスメント対策を「実効性ある処方箋」にするためのポイントを整理します。

1 「外部の目」を借りる
社員の「社内だと相談しにくい」という不安を解消するには、中立的な外部窓口の設置を検討することも有効かもしれません。匿名性の担保は、問題の早期発見に直結します。
2 「具体的事例」でグレーゾーンを白黒に近づける
判断の難しさを解消するには、座学の研修だけでなく、自社に近いケーススタディを用いた議論が近道かもしれません。「何が許されないか」の基準を言語化し、全社員で共有することが大切です。
3 経営層が「自分事」として語る
管理職や社員の意識を変えるには、人事が事務的に進めるのではなく、経営トップが「ハラスメントは自社の成長を阻む最大のリスクである」と繰り返し発信し続けることが、風土改革への第一歩になるのではないでしょうか。
おわりに

2026年の採用難において、新しい人材を迎え入れることと並行して、「今いる社員の流出を防ぐ」という土台づくりは欠かせません。ハラスメントという課題を放置したままでは、どんな採用選考も「底の抜けた鍋」に水を注ぎ続ける行為と言えるでしょう。

本特集でご紹介したデータや対策のヒントとなる「処方箋」が、貴社の組織をより健やかにし、社員や求職者から「ここで働き続けたい」と選ばれるための確かな一歩となれば幸いです。

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