中途採用ノウハウ、ユーザー調査、法改正情報が満載!
2026年、深刻な人手不足が続く中で、企業にとって「人材の流出を防ぐこと」は最優先の経営課題といえるのかもしれません。
そうした中で、避けて通れないのがハラスメント対策です。しかし、厚生労働省の調査や最新のユーザーアンケートを詳しく見ていくと、企業側が「対策を講じているつもり」でも、現場の社員は「救われていない」と感じている……そんな根深い「対策の壁」が浮かび上がってきました。
ハラスメントは個人の問題に留まらず、組織の生産性や採用ブランディングに直結します。今回は、ハラスメントを巡る「現場のリアル」を直視し、企業がこの壁を乗り越えるための「処方箋」を、最新データをもとに探ります。
まず、働く側の人たちがどのような現状に置かれているのか、ハラスメント関連の調査結果を確認します。
Q これまで職場でハラスメントを受けたことがありますか?
Q 職場でどんなハラスメントを受けましたか?
アンケート手法:WEBアンケート
アンケート期間:2025年8月4日~2025年8月31日
有効回答数:1,955人
※『エン転職』会員に対するアンケート「ハラスメントについて」の結果を引用
実に6割を超える方が被害を経験されています。内容はパワハラ(90%)が圧倒的ですが、近年はカスハラ(15%)被害も増加中。社内でのハラスメントだけでなく、社外、顧客・ユーザーからのハラスメントにも防止策を講ずる必要性が高まっています。また、さらに深刻なのは、被害に遭った社員が勇気を持って、窓口や上司に相談した後の結果です。
Q 相談した結果について教えてください。
ハラスメント被害を相談した結果、「解決した」と回答した人は10%強。なんと10人に1人という割合でした。全体の6割以上は、「解決しなかった」と回答し、さらに10%は「状況が悪化した」という驚きの結果になっています。
被害者からのエピソードを見ると、加害者が経営層や古参社員である場合、周囲の忖度が働き、適切な対応がされないケースが少なくないようです。こうした「相談しても無駄」という諦めの心理が、離職を招く要因になっていることが垣間見えます。
一方で、企業側の取り組みはどうでしょうか。厚生労働省の調査(令和5年度)によると、約7割の企業が相談窓口を設置するなど、形としての対策は進んでいる様子が伺えます。しかし、実効性を持たせる上で、多くの担当者が大きな「悩み」を抱えています。
出典:令和5年度 厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)を加工して作成
もっとも多い悩みは、約6割の企業が挙げる「判断の難しさ」です。「指導」と「パワハラ」の境界線や、カスハラにおける「不当な要求」の線引きに、多くの人事が頭を悩ませている状況が捉えられそうです。また、管理職の意識の低さを課題に挙げる声も多く、経営層や人事の想いが現場に浸透しきれていない現状があるのかもしれません。
ハラスメント対策は、単なる「守り」や「コスト」だけではないようです。対策を誠実に進めることで、組織にポジティブな変化が生まれることもデータが示しています。
対策を通じてルールや窓口が機能し始めると、副次的に「風通しの向上」や「会社への信頼」が生まれるようです。これは、深刻な人手不足が続く2026年において、採用力を高め、社員に「ここで働き続けたい」と思ってもらうための、もっとも本質的な投資といえそうです。
データと現場の声を踏まえ、ハラスメント対策を「実効性ある処方箋」にするためのポイントを整理します。
2026年の採用難において、新しい人材を迎え入れることと並行して、「今いる社員の流出を防ぐ」という土台づくりは欠かせません。ハラスメントという課題を放置したままでは、どんな採用選考も「底の抜けた鍋」に水を注ぎ続ける行為と言えるでしょう。
本特集でご紹介したデータや対策のヒントとなる「処方箋」が、貴社の組織をより健やかにし、社員や求職者から「ここで働き続けたい」と選ばれるための確かな一歩となれば幸いです。