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新人の「こんなはずじゃなかった…」をなくす!ギャップ低減に必須の開示とフォローとは?

入社後ギャップの防ぎ方

公開日 2026/6/8
更新日 2026/6/8
要約すると
  • 約9割のビジネスパーソンが「入社後ギャップ」を経験。早期離職の引き金になることも
  • ギャップの種は「職場の雰囲気」と「仕事内容」。入社前の期待と現実のズレがリアリティ・ショックを招く
  • 入社後ギャップを防ぐ鍵は、「入社前の情報開示」と「入社後のオンボーディング」
監修者
「人事のミカタ」編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
手塚伸弥
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
はじめに

中途採用において、どれほど厳選して採用しても、入社後に「聞いていた話と違う」「こんなはずじゃなかった」というギャップを感じさせてしまっては、早期離職という悲しい結果を招いてしまいます。

深刻な人手不足が続く2026年現在、新しい人材を迎え入れることと並行して、「今いる社員の流出を防ぐ」という土台づくりはかつてないほど重要です。ハラスメント対策などの「守り」も大切ですが、入社直後の「ミスマッチという穴」を塞ぐことも、組織運営においては同じくらい緊急度の高い課題ではないでしょうか。

今回は、約900名のビジネスパーソンを対象とした最新調査をもとに、入社後ギャップの正体を解明し、定着率を高めるための方法について掘り下げます。

約9割のビジネスパーソンが「入社後ギャップ」を経験。早期離職の引き金になることも。

まず、働く側の人たちがどのような現状に置かれているのか、調査結果を確認します。

Q 入社前後でギャップを感じた経験がありますか?

調査では、実に9割近い方が「入社後ギャップ」を経験されているという結果でした。この数値の高さは、多くの企業において入社後の「期待値調整」が十分に機能していない現状を示唆しています。

Q 「想定より悪かった」ギャップについて当てはまるものを教えてください。

アンケート手法:WEBアンケート
アンケート期間:2024年5月3日~6月9日
有効回答数:929人
※『AMBI』会員に対するアンケート結果を引用

想定よりも「悪かった」ギャップとして、上位に挙がったのは「仕事内容(39%)」と「職場の雰囲気(38%)」でした。これらは入社後の定着・活躍に直結する項目であり、ここにズレが発生してしまうと、モチベーションの低下や、早期離職のリスクにつながってしまいます。

Q 入社前の企業調べの段階で、事前に防げたギャップだったと思いますか?

※小数点以下を四捨五入しているため、必ずしも合計が100にならない。

また、入社後ギャップを感じたことがある方に、「入社前の企業調べの段階で、事前に防げたギャップだったと思いますか?」と伺うと、42%が「そう思う」、52%が「そう思わない」と回答。ギャップを防ぐことの難しさを感じているようです。

入社前に気がつけなかった理由
  • 残業時間や職場の雰囲気などは部署によってばらつきがあり、事前の調べでは分からないから。20代女性
  • 結果を出せばいろいろな部署に行けるという話だったが、現場社員の離職が多く、なかなか自分自身も現場から抜けさせてもらえなかった。20代男性
  • 人事制度の細かいところまでは、入社前に教えてもらえなかったから。20代女性
  • 仲の良いOB・OGがいたとしても、その人の主観や、職場での人間関係に依存した情報に過ぎない。自分のケースでどうなるかはまた異なるため、ギャップを防ぐことは難しいと思う。30代男性
  • 入社後に暗黙のルールが多数あることを知った。30代女性
  • 現場での研修に関しては受け入れ先によるから。30代男性
3大ギャップの種は「職場の雰囲気」「仕事内容」「給与」。入社前の期待と現実のズレがリアリティ・ショックを招く。

ギャップそのものは必ずしも「悪いこと」ばかりではありませんが、それが原因で「転職をしたことがある」「転職活動をしたことはある」と回答した方は約7割にのぼり、企業側としては軽視できない問題です。

Q ギャップが原因で転職したことはありますか?

人は新しい環境に身を置く際、誰しも多かれ少なかれ「ここではこんな活躍ができるはず」「上司はこう接してくれるはず」という期待を抱きます。しかし、実際には「思うように意見が通らない」「業務が想像以上に細分化されていてやりがいを感じにくい」「人間関係に暗黙のルールがある」といった現実に直面—いわゆる「リアリティ・ショック」を経験します。

この「リアリティ・ショック」とは、もともと社会学の領域で使われ始めた言葉で、入社前に抱いていた「理想の職場イメージ」や「自分の働き方」と、実際に直面する「職場の厳しい現実」との間に生じるズレを指します。

このギャップを「自分の努力次第で埋められる」と思えるうちは成長の糧になりますが、あまりに大きすぎると「騙された」「自分には合っていない」という不信感や挫折感に変わり、結果として早期離職という決断を早めてしまうのです。

Q 転職を考える原因になった一番のギャップポイントは何ですか?

また、リアリティ・ショックを受けた一番のギャップポイントを伺うと、やはり多かったのは「職場の雰囲気」、「仕事内容」、「給与」となりました。

これらは、単なる「個人の勘違い」や「思い込み」ではなく、企業側の情報の見せ方と、入社者の期待値管理が噛み合っていないことで引き起こされる「組織的な現象」とも言えるでしょう。

リアリティ・ショックの大きかった入社後ギャップ
「職場の雰囲気」と回答した方
  • あまり挨拶がなく、メンバーとして歓迎されていないと感じた。20代男性
  • 社内の人間関係がとても悪く、ネガティブな噂話ばかり聞こえてきて、もっと前向きに働きたいと思った。30代女性
「仕事内容」と回答した方
  • 入社時に聞いていた仕事内容とは違う業務のほうが多く、自分のやりたいこととの乖離があった。20代女性
  • 仕事内容が、将来の自分自身の市場価値を高めるためには適さないと感じた。20代男性
「給与」と回答した方
  • 賞与の支給額が想像以上に少ないときがあり、評価制度に疑問を持った。20代女性
  • 年間の営業目標を150%達成しても、評価されずに昇給にいたることはなかった。30代男性
入社後ギャップを防ぐ鍵は、「入社前の情報開示」と「入社後のオンボーディング」

入社後の良くないギャップ、そしてリアリティ・ショックを最小限にするための第一歩は、入社前(採用段階)での「正直な情報開示」です。一般的には、「オネストリクルーティング(事実性・率直性・改善性に基づいた採用)」と呼ばれていますが、これは、自社のキラキラした面だけを見せるのではなく、以下のような情報を求職者に対して正直に開示することが重要になります。

「事実性」: 仕事のやりがいだけでなく、泥臭い業務や難易度、環境についても歪めずに伝える。
「率直性」: 組織としての想いや、クチコミ等で懸念されていることに対しても、率直に自社の見解を述べる。
「改善性」: 自社が抱える課題を隠さず、それを今後どう解決していくのか、前向きな姿勢を伝える。

また、「正直な情報開示」には、「ワクチン効果(心理的免疫)」があると言われています。あらかじめネガティブな情報や現場の課題を伝えて「こういう大変な側面がある」という事実を知っていれば、入社後に直面しても「ああ、選考で聞いたあれか」と冷静に受け止めることができるというものです。

入社前の期待値を現実と一致、もしくは限りなく近づけることで、「思っていたのと違う」という衝撃を大きく軽減できるはずです。また、あえて課題を開示することで、その課題をポジティブに捉えてくれる方や、自身の経験で解決したいと考える「相性の良い候補者」を引き寄せるという副次的なメリットも期待できます。

求職者側も実施する双方向の正直さ「オネスト・ミューチュアル・プレビュー」

入社後ギャップを防ぐための「正直さ」は、実は企業側だけのものではありません。求人企業だけではなく、求職者も【事実性・率直性・改善性】に基づいた正直な情報を、事前に開示し合うことで入社後のギャップを防ぎ、定着・活躍に繋げられる。それを「オネスト・ミューチュアル・プレビュー」と呼んでいます。

このために有効なのが「リファレンスチェック」です。求職者の経歴を疑うための調査ではなく、求職者の長所や短所を正しく理解し、双方が「ありのまま」の姿を認め合うためのサービスとも言えます。

入社前に、双方で情報開示ができれば、ギャップは大きく防ぐことができるはずです。

組織全体での入社後オンボーディング

双方が納得して入社を決めた後は、現場の受け入れ体制を整える「オンボーディング」の出番です。新入社員が感じる大なり小なりの入社後ギャップを早々にキャッチし、ズレがあれば調整しながら、定着を進めていくことが重要です。

その上で、オンボーディングを現場任せにするのではなく、人事と現場、そして入社者本人が三位一体となって進める「スクラム・オンボーディング」が有効です。

多くの企業では、新入社員の受け入れを「現場任せ」にしてしまいがちですが、これではフォローの質にばらつきが出ます。人事側から「採用時に評価したポイント」や「期待している役割」を現場に申し送り、人事による定期的なフォロー面談を行うことで、入社者が「放置されている」とギャップを感じることなく、「主体的な学び、自己理解、周囲との関係構築」にもつながっていきます。

現場は「日々の業務サポート」、人事は「モニタリングと心理的な安全性の担保」と役割を分担し、入社者本人も含めてスクラムを組む。この体制こそが、ギャップと早期離職を防ぐための強固な土台となります。ぜひ参考にしてください。

おわりに

どれほど多大なコストをかけて新しい仲間を迎えても、受け入れ側の準備が整っていなければ、組織という「鍋」から水が漏れ出し続けるようなものです。まずは今いる社員を大切にし、これから来る方々には「等身大の姿」を誠実に伝えること。

採用における「企業と候補者の双方向の正直さ」と、組織全体で支える「丁寧なオンボーディング」。この両輪が揃うことで、初めて入社後の定着・活躍に近づきます。今回の特集が、貴社の定着率を高め、社員が誇りを持って働き続けられる組織づくりの一歩となれば幸いです。

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