- 19年5月。令和初となる全国の有効求人倍率は「1.62倍」。採用難易度は依然高水準。
- 47都道府県での有効求人倍率。1位は福井県。2位は岐阜県。3位は富山県。
- 「10職種」の職種別有効求人倍率(東京都・愛知県・大阪府・福岡県)
今回は、そんな変化の兆しが見えてきた2019年度下半期向けの「採用難易度レポート」をお届けします。中途採用を検討する際に、ご活用ください。
はじめに、2019年5月。令和初となる全国の有効求人倍率を確認していきます。求人数の増加と、就労人口の減少を背景に、高水準が続く有効求人倍率ですが、5月は「1.62倍」。7ヶ月ぶりとなる減少となりましたが、約半世紀ぶりの超売り手市場は依然継続。 求職者の優位は続き、求人を出しても「以前より応募が少なくなった」「応募があっても来社が減った」という企業の声も。いかに来てくれた応募者に魅力付けをし、逃がさないかと考える人事担当者が多く見られます。
続いて、全国47都道府県の有効求人倍率を確認していきます。
※都道府県別の有効求人倍率は、「就業地別」の調査結果データを採用しています。「受理地別」の調査結果と比較して、より各都道府県の就業数に即した数値となっております。ご了承ください。
2019年5月時点で、47都道府県の中で、最も高い有効求人倍率だったのは福井県の「2.18」倍でした。次点は岐阜県の「2.16」倍。3位は富山県の「2.15」倍となっています。
2年前の2017年5月との比較で、もっとも上昇率が高かったのは、岡山県。0.34ポイント上昇しています。次いで、岐阜県が0.26ポイント、茨城県が0.25ポイント増加。逆に、全国で唯一、熊本県が0.05ポイント減少する結果になりました。
代表的な10職種の有効求人倍率について、2年前からの推移を確認していきましょう。ITエンジニア、クリエイター職を除いて、全ての職種において、有効求人倍率が上昇していることが見て取れます。建築・土木・測量技術者と介護サービスの職業の求人倍率上昇は大きく、長く採用が難しい状況が続いています。
しかし、あくまで有効求人倍率は、「有効求人数」と「有効求職者」のバランス。地域によって、求人数や求職者の数が変動し、採用難易度が変わるもの。以下では、東京・名古屋・大阪・福岡地区の職種別有効求人倍率を比較していきます。
東京労働局が発表した2019年5月の求人・求職バランスシートより、東京都内の10職種に関する有効求人倍率を抽出しました。
有効求人数も有効求職者数も圧倒的に多いのが東京都ですが、職種によってのばらつきが多いことも特徴です。たとえば、「接客・給仕の仕事」は、もっとも倍率が高く「9.06」倍。多くの求人数と比較して、職業安定所に登録されている求職者が少ない、つまり採用がとても難しいことが見て取れます。全国平均からも3倍程度高くなっており、都内での接客・給仕の常勤採用は、難航することが予想されます。
愛知労働局がまとめた、愛知県の職種別有効求人倍率は上記のようになっています。
愛知県は、IT関連職のみ、全国平均を下回っており「2.15倍」。他エリアと比較すれば、採用しやすい地域と言えるでしょう。
また愛知県の特徴として、福祉介護関連の求人数が東京や大阪を越える点があります。求職者数が多いため「4.95倍」と他地域よりも低くなっていますが、全国拠点を持つ福祉介護事業者であれば、愛知での採用に注力してみる手もありかもしれません。
大阪府労働局の求人求職バランスシートを確認します。
大阪府の特徴として挙げられるのは、各地で引っ張りだこである営業職と建築・土木技術者の有効求人倍率が、全国平均を下回っていることです。
また求人数だけを見ると、介護サービスと運搬・清掃等の職業がそれぞれ2万件を超えていることも特徴。それだけ採用競合も多いということなので、求人での他社との違いを出していかないと求職者が惑うという状況が発生するでしょう。見た目の倍率以上に採用難易度が高いことが想定されます。
最後は、福岡労働局の求人求職バランスシートから、10職種について確認しましょう。
10職種のうち、求人倍率が全国平均を下回るのは3職種。また全国平均を上回ったとしても大きな乖離がないのも福岡県の特徴です。他都市部よりも厳しくないように見えますが、大卒後、関西、東京方面に就職してしまう人材が多く、20代若手の地元採用が難しいため、Uターン希望者を狙う企業も。数字からは見えない難しさがありそうです。
2019年下半期向け「採用難易度レポート」は、いかがだったでしょうか?前述の通り、景気のターニングポイントを予見させる話題が増える昨今。中途採用をご検討の場合は、採用難易度に大きな変化が起きる前のこれからの方が手は打ちやすいかもしれません。ぜひ、今回のレポートを、採用戦略立案にお役立てください。