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2018/12/05 UP
「女性活躍推進」義務が、2020年には中小企業に拡大?
中小企業も知るべき
「女性活躍推進」
要約すると
  • 2020年には、「女性活躍推進」義務企業が「101名~300名」規模まで拡大検討!
  • 「女性活躍推進」に取り組む企業53%に増加!
  • 「女性活躍の推進」策は「出産・育児をサポートする福利厚生制度の充実」がTOP
政府が運営する「すべての女性が輝く社会づくり本部」により発行された、「女性活躍加速のための重点方針 2018」によれば、この5年間で増加した就業者 251 万人。そのうちの約8割にあたる 201 万人を女性が占め、子育て世代の女性の就業率74.3%まで上昇しています。 また、上場企業における女性役員数は2012年と比較して約2.4 倍。2015年に成立した「女性活躍推進法」をはじめ女性活躍を推進する取り組みによって、一定の前進がみられたと言えそうです。

2019年は女性活躍推進法の改定が入り、現在301名以上の企業に義務化した「女性活躍に関する情報公表」が、2020年には101名以上の企業に拡大されることが検討されています。 もし女性の活躍推進が遅れていると思われる企業は、ぜひ本特集をご参考ください。
エン 人事のミカタ
編集長 手塚伸弥
あらためて、「女性活躍推進法」とは何ですか?

2015年9月に施行された女性の職業生活における活躍の推進に関する法律「女性活躍推進法」。2016年4月1日から、「労働者301名以上の大企業」を対象にして女性の活躍推進に向けた行動計画の策定や情報公開が義務づけられました。

具体的には、

  • 1自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • 2その課題を解決するのにふさわしい数値目標と
    取り組みを盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
  • 3自社の女性の活躍に関する情報の公表

を行う義務があります。

※300名以下の中小企業は、努力義務となっているため、現段階では対象ではありませんが、積極的に取り組むことが推奨されています。また、次回の改正により101名~300名までの企業への義務拡大が検討されています。

上記の行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業については、申請により厚生労働大臣の「えるぼし」認定を受けることが可能です。女性の活躍を推進する企業としてのアピールに繋がり、求職者にも訴求が可能となります。

今、女性の活躍が重要とされる2つのポイント
Point!
ダイバーシティ・マネジメント
ダイバーシティ・マネジメントとは、中途社員、女性、外国人、障がい者、高年齢者など、多様性を受け入れ、活かしていくマネジメントのことです。世の中の成果主義やグローバル化など、とかく変化の大きな現在。「変化に強く、創造性の高い組織」になるため、大手企業を先頭に、多様性のある人材、ひいては女性の採用と登用が推し進められてきました。
Point!
日本の少子高齢化(労働人口の減少)
団塊世代の定年、その後の労働人口の減少が進んでいます。いわゆる少子高齢化の影響が、現在の「人手不足」に拍車をかけています。有効求人倍率は上昇を続け、若手人材の確保に頭を悩ませる企業も増加。結婚、出産などのライフイベントにより労働市場から退出してしまった女性たちの復帰や、仕事における活躍が重要視されています。

もし、女性の採用や登用、活躍の推進が会社として遅れているのであれば、いち早く動くタイミングです。

女性活躍の推進に取り組んでいる企業53%と増加中。

それでは、民間企業では「女性の活躍推進」はどの程度進んでいるのでしょうか。今夏、人事のミカタにおいて、612社の企業に対して、「女性の活躍推進」状況についてアンケートを行ないました。調査結果をご紹介します。

Q.貴社では女性社員の定着・活躍に取り組んでいますか?

「貴社では女性社員の定着・活躍に取り組んでいますか?」という質問に対して、「取り組んでいる」と回答した企業が、昨年の同調査から3ポイントアップし、53%に増加。「女性社員の定着、活躍」は人事担当者にとって無視できない状況であることが見て取れます。

Q.女性活躍の支援に取り組む理由は何ですか?(複数回答可)

続いて、女性活躍に取り組む企業に対して、その理由を伺いました。もっとも多かったのは「現在活躍している女性社員が優秀だから」と「世の中の流れだから」で64%。次いで「少子高齢化を見据えた人材戦略として」41%になっています。

Q.女性活躍の支援に取り組まない理由は何ですか?(複数回答可)

一方、「女性活躍に取り組んでいない」と回答した企業に対して、その理由を伺いました。もっとも多かったのは「企業規模が小さいから」65%。次いで「女性社員が少ないから」51%となっています。企業規模が小さいほど、「女性がライフイベントで休業に入ると代替要員が確保できない」などのコメントが散見されました。個人の裁量や兼務が多く、余剰な人材は雇えない…。大手企業とは違い、積極的に推進できない理由も見て取れます。

女性活躍の推進策「出産・育児をサポートする福利厚生制度の充実」がTOP

女性活躍の推進を行っている企業に、実際に行なっている取り組みに関して聞きました。

Q.女性活躍支援の具体的な内容は?(複数回答可)

TOPの「出産・育児をサポートする福利厚生制度の充実」は67%。次いで、「時短勤務・テレワークなどの勤務形態の多様化」52%となりました。働くお母さん社員のサポートは約7割の企業で実施。また、働き方改革の影響もあり「時短」や外出先でも働くことができる「テレワーク」の導入が増えています。
「管理職への積極登用」が3位に入っていますが、「これまで男性に下駄を履かせていたことの逆になるのでは?」という声や「性差なく実力主義で管理職を登用する」との声もありました。

Q.貴社の女性管理職比率は、直近1年間で増加しましたか?

事実、直近1年で「女性の管理職登用」が増えたかという質問には、約8割が「変わらない」という結果に。これまで「女性を育成してこなかった」など、企業人事の反省の弁もあり、出世、登用は早々に結果が出る問題でないこともわかりました。

管理職になりたい女性は4人に1人。理由は「給与を上げたい」がTOP
Q.管理職になることに興味はありますか?Q.その理由を教えてください。

正社員勤務を希望する女性向け求人情報サイト『エンウィメンズワーク』( https://women.en-japan.com/ )にて、女性ユーザーに「管理職になることに興味はありますか?」と伺ったところ、25%が「ある」と回答。4人に1人の割合です。 また、管理職への志望理由トップ3は、「給与を上げたいから」74%、「仕事の幅を広げたいから」61%、「責任ある仕事にチャレンジしたいから」60%となりました。働く女性が増えることで労働観も変わりつつあります。もし「女性はすぐ辞める」「出世したがらない」という固定概念があれば、少しずつ変わってきていると、ご認識ください。

なにからはじめる?女性活躍の推進!

前述しましたが、2019年は女性活躍推進法の改定が入り、現在301名以上の企業に義務化した「女性活躍に関する情報公表」が、2020年には101名以上の企業に拡大されることが検討されています。

もし女性の採用や活躍推進が遅れている…という企業は、いざという時の前に、「出産・育児をサポートする福利厚生制度」の導入や、「テレワーク」など働き方の多様化などを検討いただければ幸いです。

下記のような制度を考案し、実現した際には、求人募集や採用ホームページ内で情報を公開することをお勧めします。

<注意>
求人募集を行なう際には、例外であるポジティブ・アクションを除き、「女性歓迎」、「女性限定」という表記は法律で禁止されていますので、ご注意ください。

ライフイベントをサポートする福利厚生制度例

ライフイベントとなる結婚や出産。育児をしながら働いていけるか?という部分は、既婚者だけではなく、未婚の女性でも将来を考える上で重要なポイント。実際に導入されている制度をご紹介します。

福利厚生制度例
フレックスタイム制度 / 時短勤務制度 / 在宅勤務制度(リモートワーク)/ 子どもの看護休暇 / 半日休暇制度 / 産休・育休取得の促進 / 育児休業期間の延長 / 産休中の情報共有 / 職場復帰前の研修・面談 / 空調(冷房・暖房)、更衣室、トイレなど社内環境の整備 / 社内託児所の設置 / 社外託児所との提携 / 結婚祝い金 / 出産祝い金 / 育児費用補助(手当) / カフェテリアプラン

女性社員の人数が少なく、制度にはなっていなくても、「保育園に預けた子供が急に発熱した際、早退が可能」なども女性求職者や既存社員に安心される制度です。

制度を記載するだけではなく、利用人数や全社の利用率など正直で正確な情報開示を徹底しましょう。

職場環境・待遇についても数値・写真で情報公開

女性の求職者が特に注目する職場環境・待遇の情報は下記の通りです。

職場環境・待遇の例
社員の男女内訳(ワーキングマザーの人数など) / 女性管理職の人数 / 一緒に働く女性社員のインタビュー、写真 / 社内の雰囲気 / 勤務地の利便性 / オフィス環境 / 残業時間

実際の女性社員の人数や、ワーキングマザーの人数は、働く上で大きな安心感となります。データとして数値を出すだけでなく、一緒に働く予定の社員の写真やインタビューがあると、応募者自身が職場に合うか合わないかを判別できるようです。さらにオフィスの環境や立地も重要なポイント。 「駅直結なので雨の日には濡れずに出勤できる」「都心のオシャレなエリア。勤務後にショッピングができる」など、わかりやすいメリットが女性の目を惹くはずです。

まとめ

「女性活躍推進法」に関しては、今後対象企業は中小企業まで拡大していく見通しです。対応するにあたって発生しそうな疑問に対して、「人事のミカタ」では、今後も情報を更新していきますので引き続き、ご参考ください。

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