中途採用ノウハウ、ユーザー調査、法改正情報が満載!
2023年のコロナ5類化以降、飲食や旅行業界を中心に積極的に行なわれた採用が、2024年の現在は一巡した状況となっています。加えて、製造業・建築業等では、原材料価格の高騰している影響で求人が減少。有効求人倍率の低下が続いています。
しかし、中途採用、パート・アルバイト採用を実施している企業から「採用しやすくなった」という声は聞こえてこず、「応募はあっても、辞退が続く」「採用の歩留まりが改善できない」という声が再び多く寄せられています。
そこで今回は、企業・求職者への最新アンケートを元に、選考辞退が起きている状況、選考辞退が起きる心理と対策をお届けします。ぜひ参考にしてください。
Q 直近1年以内の中途採用において、選考辞退は起きましたか?
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査期間:2022年6月11日~7月9日
■有効回答数:265名(人事のミカタ会員)
直近1年以内に中途採用を行なった企業の人事・採用担当者に、応募者からの選考辞退の有無を伺ったところ、「はい(辞退があった・辞退された)」と回答した企業は、85%となりました。ほとんどの企業で選考辞退が発生していることがわかります。
Q 以前と比較して、選考辞退の発生数に変化はありますか?
また、以前と比較して、選考辞退の発生数に変化があるかどうか聞いたところ、「辞退が増えた」と回答した企業は45%。採用を実施している企業の約半数が、「辞退が増えた」と回答している事実が、現時点での採用の難しさを現していると言えるでしょう。
この採用市場の状況は、今後も続くと見られ、中途採用、アルバイト・パート採用を実施する場合には、対策を講じる必要があります。とはいえ対策に必要な、応募者が選考辞退する理由を、企業側では聞けていないことがほとんどです。そのため次からは、求職者に聞いた「辞退の心理」を紐解いていきます。
Q これまで転職活動において選考辞退をしたことはありますか?
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査期間:2023年5月29日~6月27日
■有効回答数:8,622名(エン転職会員)
8,622名の求職者に、これまで転職活動において、選考辞退をしたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人は、全体の61%になりました。2022年の同様の調査と比較して、6ポイント増加。10人中6人は辞退経験があるということで、特別な行為ではないことがわかります。
Q 辞退したのは何社ですか?
また、選考辞退した社数について聞くと、辞退社数が「1社」と回答した人は37%。「2社」以上と回答した人を合計すると63%となり、ほとんどの求職者は、複数社に応募して、意中の会社以外は辞退していることがわかります。人事・採用担当者としては、良い人ほど他社に採用されてしまう(自社は辞退されてしまう)リスクを想定して、採用選考を早めに進めたいところです。
選考辞退が発生するのは、選考過程の3つのタイミングです。
① 書類選考~面接日当日までの期間に発生する面接前の辞退
② 面接を実施した後の辞退
③ 採用が決まって、内定を出した後の辞退
では、どのタイミングで辞退が発生しやすいのか、求職者に聞いた結果を確認していきます。
Q 選考のどのタイミングで辞退しましたか?
求職者に、選考辞退をしたタイミングを聞くと、「面接前」が46%と最多。次いで「面接後」45%、「内定取得後」37%となっています。
面接前の辞退理由の1位は「他社の選考が通過したため」、2位は「ネットで良くない口コミを見たため」、3位は「企業の応対が悪かったため」となりました。
タイミングとしては、書類選考の合格通知後、面接の告知や調整をしている時点なので、そこまで大きな損失にはならないものの出鼻をくじかれた感覚を持つ人事・採用担当者は少なくないはずです。しかし、優秀な人材ほど他社の選考を通過してしまうと考え、一日でも早い書類選考や面接調整の連絡ができる体制作りなどが必要です。
Q アルバイトに「応募した後」、そのお仕事に就くことをためらった経験はありますか?
また、アルバイト・パート採用でも、応募後に「就業をためらった経験がある」と答えた方は56%に上りました。就業をためらった理由としては、「職場の雰囲気が合わないと感じた」、「なんとなく違うかもと感じた」、「求人情報と実際の就業条件が違っていた」が上位となりました。中途採用とは、少し違う理由を把握しておきましょう。
面接後の辞退理由、1位は「求人情報と話が違ったため」49%。2位は「他社の選考が通過したため」が28%。3位は「雰囲気が悪かったため」「面接官の態度が悪かったため」となりました。
面接において、「求人情報と話が違った」という不満は、応募者から特に聞かれる辞退理由。面接担当者に対して求人情報の共有や、説明に齟齬が起きないよう、事前に社内でチェックしておきましょう。
加えて、実際に会社に訪問した際の「雰囲気が悪かった」という声や、「面接官の態度が悪かった」という辞退理由も頻出しています。応募者数の確保が難しい現在において、会社まで来てもらいながら、みすみす辞退されてしまうのは「勿体ない」の一言です。
来客者へ挨拶することを社内に周知徹底させることや、面接官が言ってはいけないことなどを担当者間で事前に確認しておきましょう。
内定取得後に選考辞退した理由の1位は「他社の選考が通過したため」44%。同率1位の「提示された条件がイマイチだったため」もかなり多く、面接で意気投合していたのに、内定時に提示された条件が悪かったことで気持ちが冷めたという声も。
内定までに選考でかけた時間とコストを考えると、この時点での選考辞退が一番痛い結果。採用したいと思う人材に対しては、早いタイミングでの条件提示や、応募者の希望より自社の出せる条件が低いと感じられる際には、代替条件を提示することも検討しましょう。
採用担当として、もう一つの悩ましい選考辞退が、「面接前日・当日」の辞退。いわゆるドタキャンです。せっかく準備していたのに直前で辞退された、当日連絡もなく音信不通になった..と憤る声も。
辞退理由では、「他社の選考が通過した」「ネットで良くない口コミを見た」の他、「自信がなくなった」「企業の応対が悪かった」「体調不良になった」などがランクインしています。
また、面接前日・当日の辞退の際に、「企業に連絡をしたか」聞いたところ、約9割の人が「連絡した」と回答しました。連絡ナシのドタキャンは少なくなってきているようですが、完全にはなくなっていないようです。
上記、選考辞退の理由を受けて、対策を検討していきましょう。再び、企業側へのアンケートに戻り、辞退対策の実施状況を聞いていきます。
Q 貴社では、選考辞退対策をしていますか?
選考辞退の対策を「している」と回答した企業は、全体の51%。約半数の企業が何かしらの辞退対策を実施していることがわかりました。
Q 辞退対策の内容を教えてください。
選考辞退の対策をしている企業では、「書類選考後、通過者への連絡を早くする」、「面接日を複数日程提示し、選択できるようにする」が上位の対策となりました。スピード対応と複数日時の提示が主流となっていることが見て取れます。
コメントでも、「候補者への対応を早めると辞退率が減った」、「ドタキャンへの注意事項を書いたら連絡が来るようになった」といったコメントも散見されました。その他、お礼や前日連絡、リマインドの送信など、こまめな連絡によって「応募者が辞退するにしても、意向を早めに掴みやすい」という声も。ぜひ、参考にして頂ければ幸いです。
最後に、求職者に聞いた「選考辞退を決めたエピソード」と、「入社を決めたエピソード」をご紹介します。どんな出来事や言動が嫌がられ、逆にどんなことで「この会社に入社したい」と思うのか、ぜひリアルな声に触れて、自社選考の振り返りや改善にお役立てください。
2024年版の「辞退の心理」、いかがだったでしょうか?企業にとって悩ましい選考辞退は、タイミングごとに理由があることがおわかりいただけたかと思います。そして、多くの場合、企業側での選考プロセス等の改善をすることで、好転する可能性を秘めていることも事実。引き続き売り手市場が続く中、貴社選考の改善策が見つかれば幸いです。ぜひご参考ください。