- 2021年11月の有効求人倍率は「1.15」。昨対で新規求人数が増加中!
- コロナの影響で「希望の働き方ができるか」を重視する求職者が増加。採用難易度が高まる
- 主要都市の有効求人倍率、職種別の有効求人倍率(10職種)にも注目!
厚生労働省が発表した2021年11月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から横ばいの「1.15」となりました。全体の有効求人数は、前月比1%増の約233万人だった一方、有効求職者数は0.9%増の約194万人となっています。
新規求人数は前年11月との比較で12.3%増加。緊急事態宣言が繰り返された2020年からは着実に回復しています。伴って、昨年求人が大きく減った「製造業」や「宿泊業、飲食サービス業」が大きく増加する結果になっており、求職者の争奪戦のような様相を呈する状況です。
同月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1ポイント上昇して2.8%に上昇。失業率の悪化は6カ月ぶりとなりました。
また失業者の中では「自己都合による離職」が増加しています。コロナの影響で自らのキャリアを見直す人が増えた結果と見られています。
事実、「エン転職」で実施した求職者1万人を対象とした「新型コロナ後の「企業選びの軸」について」のアンケートでは、企業選びの際に「希望の働き方(テレワークなど)ができるか」を重視するようになったと回答する人が最多に。コメントでも、「コロナの影響で地元の企業やテレワークの頻度が高い企業を選ぶようになった」という声も。明らかにコロナ前と求職者の意向に変化が表れています。
※「エン転職」でのWEBアンケート
https://employment.en-japan.com/enquete/report-79/
実施期間:2021年10月27日(水)~2021年11月24日(水)
有効回答数:10,554名
結果、コロナ前とあまり変わらずに求人を出しても「応募が来ない」「応募が少なくなった」という企業の声が散見されています。コロナ前とほぼ同等に回復した求人数と、希望の働き方(条件)を重視する求職者が上手くマッチせず、採用難易度が有効求人倍率の数値以上に高まっていると言えるでしょう。
4月入社に向けて、転職市場がさらに活性化する今、いかに求職者の心理をつかみ、自社の訴求ポイントを調整していくかが採用成功の鍵になることは間違いありません。以下の、アンケート結果もぜひ参考にしてください
※都道府県別の有効求人倍率は、「就業地別」の調査結果データを採用しています。「受理地別」の調査結果と比較して、より各都道府県の就業数に即した数値となっております。ご了承ください。
ここからは、全国47都道府県の有効求人倍率の推移を確認します。
2021年11月時点では、東京は「0.90」 、愛知「1.21」、大阪「0.95」、福岡「1.00」となりました。有効求人倍率がもっとも高かったのは福井の「1.87」。最も低い有効求人倍率は沖縄の「0.81」となっています。
主要都市部である東京・千葉・神奈川・大阪では、有効求人倍率がいまだ1倍を下回っていますが、全国ほぼすべての都道府県で、1年前と比較して上昇。全国津々浦々で経済活動が回復していることが見て取れます
代表的な10職種の有効求人倍率の推移を確認します。最新の2021年はどの職種においても、2020年から微増かほぼ横ばいの状況です。
2019年から2021年にかけては、「接客・給仕の職業」の下落が著しく、コロナによる求人数の減少が顕著に影響していることが見て取れます。以下からは、東京・名古屋・大阪・福岡地区の職種別有効求人倍率を比較していきます。
10職種のうち7職種が、有効求人倍率の全国平均を上回る東京都。産業別に新規求人数を見ると、前年同月と比較して「宿泊業・飲食サービス業(48.5%増)」、「製造業(24.7%増)」、「情報通信業(16.4%増)」をはじめ、ほとんどの産業で求人数が増加。一年停止していた求人の復活なども多く、業界・職種によっては大幅な応募者減が起きている企業が見受けられます。
また、新規の求職者数のうち、離職者は約1万5,000人と前年同月比から増加。そのうち約1万人が自己都合離職者で、4か月連続で前年同月を上回っています。前述のとおり、コロナによって「希望の働き方(テレワークなど)ができるか」という点を重視する求職者が増えたことで、働き方の融通が利かないと見なされた企業では、求人倍率の数値以上に採用が難しくなっています。
1月中旬から始まった「まん延防止措置」によって、転職市場から求人が減ることはあまり考えられず、2022年春以降も「売り手市場」が続きそうです。都内はもちろん南関東での採用では特に、どう採用成功していくか思案が必要となります。
全体での有効求人倍率は、直近2か月連続で低下しているものの「1.21」を堅持する愛知県。職種ごとの有効求人倍率を見ると、都市部では珍しく「IT関連」職種が全国平均を下回るものの、その他8職種では全国平均を上回っています。
月間の新規求職者数は約2万人となり、東京都の同月新規求職者数3万5,000人と比較すると、やはり大きい転職市場ですが、求人数もその分多く、採用難易度は変わらず高いままとなっています。正攻法では強い地場企業が多々あり、隣接する岐阜、静岡での採用に広げてみることや、東海圏以外から採用して配属を本エリアにするといった方法も検討すべきでしょう。
就業地別の有効求人倍率は「0.95」となり、前月より 0.01 ポイント上がり、3か月連続の上昇となっている大阪府。職種別にみると、10職種中6職種が全国平均を下回る結果に。「営業の職業」、「一般事務」「商品販売の職業」、「建築・土木技術者等」などの採用において、若干有利なエリアと言えるでしょう。
産業別では、「建設業」、「製造業」、「情報通信業」、「運輸業・郵便業」、「卸売業・小売業」などの求人数が増え続けており、東京に次ぐ月間約2.6万人の新規求職者を取り合う巨大な採用市場。採用成功も一筋縄ではいかないでしょう。状況を見据えながら、採用戦略を検討していきましょう。
最後は、福岡県。主要10職種のうち7職種が全国平均を下回りました。全国平均を上回ったのは「接客・給仕の職業」、「情報処理・通信技術者」、「自動車運転の職業」の3職種。それでも平均値と大きな乖離もない採用市場です。
産業別での求人増加数を見ると、「建設業」、「製造業」、「医療・福祉、サービス業」、「宿泊・飲食サービス業」が複数ヶ月連続で増加中。また、「金融業、保険業」は昨年同月比で60%増加となっており、もっとも伸ばしています。求人が旺盛に増加する分、求職者の取り合い状態は活発化の一途を辿るエリアです。
2022年上半期向け「採用難易度レポート」は、いかがだったでしょうか?求人増に加え、コロナの影響で求職者の意向が大きく変化していることで、有効求人倍率だけでの難易度が図りにくくなっている状況です。
とはいえ、そんな時ほど採用の基本に立ち戻り、戦略を検討することが重要になります。これからの半年で採用を実施・検討する際には、ぜひ本レポートをお役立てください。