- 10人中7人が、ホンネの退職理由を企業に伝えていない
- 伝えなかったホンネの退職理由TOPは「人間関係が悪かった」
- 退職者から組織課題を聞き出し、組織改善に活かす3つの手法!
社員からの退職報告をされ、冷静に退職の理由を聞き始める。そんな経験は、人事担当者や経営者であれば一度や二度ではないでしょう。「体調の問題」、「家族の問題」など様々な退職理由がありますが、多くの場合その理由が本心ではないと言われたら、どう思われますか?
実は、言うに言えないホンネの退職理由の中にこそ、会社が解決すべき問題が含まれています。離職者が多い部署、メンタル不調者が発生しやすいグループなど、退職報告をシグナルと捉えて、情報を拾い、問題解決につなげることが人事担当者の腕の見せ所です。そこで、今回は『退職理由のホンネと建前』と題し、約600人の退職理由のホンネを紐解きます。ぜひご参考ください。
アンケート手法:WEBアンケート
アンケート期間:2021年12月22日(水)~12月28日(火)
有効回答数:610人
※『エン転職』会員に対するアンケート結果を元にしています。
会社に対して、退職報告をした経験がある求職者に、「伝えなかったホンネの退職理由」があるか聞いたところ、70%の人が「ホンネの退職理由があった」と回答しました。
実に、10人中7人がホンネの退職理由を伝えていないことについて、「そんなものか」と受け止める人事担当者が多そうです。とはいえ、ホンネでないとわかっていても、実際のところはどうなのかと深くヒアリングする企業は少ないでしょう。
退職の報告の約7割は、直属の「上司」です。当然、現場の上長としては退職を慰留する可能性が高いため、部下は退職の了承を得やすい理由、ホンネではない建前の退職理由を報告しようという心理が働きます。
事実、会社に伝えた退職理由は「体調を壊した」がもっとも多く、次いで「結婚、家庭の事情」が続きます。「療養したい」「病欠などをして会社に迷惑をかけられない」と部下に言われてしまえば、上長は退職の慰留がしづらくなります。また、病状や症状、結婚・家庭の事情に関しても、会社側からは深く聞きにくい内容です。
では、伝えなかったホンネの退職理由について確認していきましょう。
もっとも多かったホンネの退職理由は「人間関係が悪かった」。約3割の人が「人間関係」について挙げています。フリーコメントでは「パワハラ、セクハラにあっていた」「嫌がらせがあった」などが散見されました。第2位は「給与が低かった」、第3位は「社風や風土が合わなかった」が続きました。
一方、会社に伝えた退職理由で多かった「体調を壊した」と「結婚、家庭の事情」はホンネでは少ない結果に。いかに建前の理由として使われているかが見て取れました。
退職理由のホンネを話せなかった理由を聞いたところ、回答トップは「話しても理解してもらえないと思ったから」が約3割。次いで「円満退社したかったから」が2割強になりました。人間関係、給与他、様々な不満を諦めた様子が見て取れます。また、最後は波風を立てず円満に退職したい、下手な慰留をされて退職が長引くようなことを言いたくないという心境であることがわかります。
今回のアンケート調査によって、社員が話す退職理由の多くが、実はホンネではないということが明らかになりました。
しかし、特定の部署や人物の周辺で退職者が続いている場合や、転職入社者の早期離職が多いといった場合、組織内に問題が潜んでいるのは間違いありません。コロナからの回復途上にある今、人手不足は加速中。新たな人材採用の難易度が高まっているため、退職に潜む問題が解決されなければ、会社の拡大は見込めません。
「退職する社員が波風を立てたくないのであれば、無理してホンネを聞かなくても…」と思われるかもしれませんが、会社の問題点を把握するために以下を参考にホンネを把握しましょう。
今回の特集はいかがだったでしょうか?退職者のホンネは耳の痛い話かもしれませんが、把握すれば組織改善のヒントがつまっているはずです。特集でご紹介した対応策をご参照いただき、実践頂ければ幸いです。ぜひ参考にしてください。