- 人事必見!採用手法のトレンド、特徴一覧
- 14の採用手法!メリット・デメリット
- 採用手法の選び方、組み合わせ方事例
売り手市場の今、これまで取り入れてきた採用手法が通用しづらくなった…という企業の声も。いざ、採用戦略を見直そうにも、採用手法が多様化している昨今、自社にあう採用手法を見極めることは難しくなっています。そこで今回は、「採用手法、基本のキ」と題して、改めて様々な採用手法の基本的な特徴をご紹介するとともに、メリット・デメリットや、どんな企業にオススメな手法かまで解説します。採用戦略の立案、見直し時に、ぜひご参考ください。
図① 代表的な採用手法一覧
マスコミュニケーション型 (1対多数) |
マンツーマン型 (1対1) |
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後 払 い |
① 応募課金型 求人媒体(Web) ② 採用課金型 求人媒体(Web) |
⑨ 人材紹介 ⑩ エグゼクティブサーチ ⑪ 採用課金型 ダイレクトリクルーティング |
前 払 い |
③ 掲載課金型 求人媒体(Web) ④ クリック課金型 求人媒体(Web) ⑤ 求人媒体(紙) ⑥ 合同説明会 |
⑫ 登録料金型 ダイレクトリクルーティング |
無 料 |
⑦ ハローワーク ⑧ 自社(採用ホームページ) |
⑬ ダイレクトリクルーティング(ソーシャルリクルーティング) ⑭ リファラルリクルーティング |
『エン転職』などの転職サイトや、『Indeed』をはじめとする求人情報検索エンジンなどが、求人媒体(Web)に該当します。
検索サイトの場合、「転職目的で検索している人」の目に触れる
・活用方法次第では大量採用も可能
・スカウト機能で、直接アプローチもできる
・自社の求人情報を多く掲載できる
・レジュメ確認、スカウト送付先の絞り込みなど対応に時間がかかる
料金形態は、応募数、採用成功数、掲載、クリック数に応じるなど様々。自社求人の採用課題や採用難易度に合わせて選択すると良いでしょう。
都心の郊外部や、地方都市を中心によく使用されている採用手法が、求人媒体(紙)。具体的には新聞の広告欄、チラシ、フリーペーパーなどです。
・接客、サービス業の求人に強い
・地域からの応募に期待できる
・配布エリアと読者層を考慮して求人を掲載可能
・媒体を展開するエリア外の求職者には読まれない
転職フェアなど、数社~数百社の企業がブースを出展し、求職者と出会うイベントです。
また、地方自治体主催の合同説明会では、「自分が生まれ育った地域で働きたい」「ふるさとに貢献したい」といった、地元就職の意志が固い求職者と出会えるというメリットがあります。
・一度に多数の候補者と話ができるため、効率が良い場合がある
・イベントの参加者が少ないと、効果が悪くなる
そのため、合同説明会の効果UPを狙うのであれば、「協力社員」や「話す内容」は工夫したいところ。たとえば、地方自治体主導のセミナーであれば「地元で働くことを希望する求職者」が多いことが予想されるので、「地元出身校の社員」や「地元で働きたいと考えて入社した社員」に協力してもらい、「県外転勤がないので、ずっと地元で働けて安心」といった内容を話すなど、求職者に合わせた魅力づけを行なうことをオススメします。
改めてとなりますが、ハローワークは、厚生労働省が管理する職業紹介事業です。
どんな求人であっても、ひとまずはハローワークに出して反応を見て、だめだったら有料媒体を検討するという使い方をしている企業が多いようです。
・地元就職狙いにも有効
・応募者全員に会わなければならないので時間と手間がかかる
スペースが少ないからこそ、ただの会社説明・仕事説明で終わっていないか?求職者にやってみたいと思ってもらえるような魅力を記載できているか?など、求人内容を工夫することが他社との差別化に繋がります。近年は、ハローワーク以外にも無料で求人を掲載できるサービス『エンゲージ』なども登場しています。コストをかけずに採用を行なう場合は、ぜひご検討ください。(https://en-gage.net/)
自社HPに採用情報を掲載したり、採用専用のHPを作成したりすることで、応募を募る方法です。スマートフォンの普及により、手軽に情報が入手できるようになった昨今。求職者は、求人だけでなく、企業HPも調べています。
・情報を大量に載せられる
人材紹介会社のエージェントを通して、求職者を紹介してもらうサービスです。キャリアコンサルタント・転職エージェントなどと呼ばれる人材紹介の担当者に、求める経験・能力・人物像などを伝えると、それに合致する人材を紹介してもらえます。
・採用業務を省力化できる
・非公開ポジションを採用できる
・求める経験・スキルに合致する人材の採用が期待できる
・人材を厳選すると採用に時間がかかる
・求職者と直接連絡がとれないので紹介会社との連携が不可欠
また採用難易度に応じて、採用期間が大きく左右されることも考慮しておく必要があるでしょう。求める経験・スキルが高くなるほど合致する人材は希少になるため、採用決定までの期間が長くなるリスクがあります。「いつまでに入社してもらいたいのか」を念頭においた上で、どの程度の経験・スキルを求めるのか、キャリアコンサルタント・転職エージェントとよく話し合って決めると良いでしょう。
エグゼクティブサーチとは、人材紹介よりもさらにハイスペックなエグゼクティブ人材を企業に紹介するサービスです。「ヘッドハンティング」といったほうが、イメージしやすいかもしれません。「新事業の立ち上げ」「既存事業の立て直し」など、企業が抱える経営課題や組織課題、将来への展望を話した上で、必要な人材を探します。
・マッチング精度が高い
・採用決定に至るまで、非常に時間がかかる
近年のトレンドになりつつある採用手法であるダイレクトリクルーティング。企業が自社にマッチした人材に直接アプローチできます。アプローチ手法は、大きくわけて2種類。人材データベースを保有する「スカウト型の転職サイト」を活用してスカウトメールを送る方法と、Facebook、LinkedInなどといった自社のSNSからメッセージを送る方法(ソーシャルリクルーティング)があります。
さらに、転職潜在層にアプローチできるのも重要なポイント。現職に不満を持っているものの、転職サイトや人材紹介に登録して自分から積極的に転職活動を行なうほどではない…といった人は確かに存在します。そういった考えの方でも、スカウト型の転職サイトであれば「求職者がスカウトを待つ」採用スタイルなので、「良い機会があるかもしれないから、とりあえず登録しておこう」という心理が働きやすいのです。
・知名度がなくても、アイデアや工夫次第で応募を集められる
・転職潜在層にもアプローチできる
・自社のみで運用する場合は、コストを抑制できる
・採用成功に至るためにはノウハウを蓄積する必要がある
・短期採用できるかは、担当者の腕に左右される
また、「同業他社より休みが少ない」「会社知名度が低い」といった不利な条件を、アイデアや工夫次第で覆せるのも、ダイレクトリクルーティングの魅力。手紙のように相手への思いを込めたアプローチを行なう、SNSを活用するなら記事を定期的に投稿する、SNSの投稿を通して企業ブランディングを行なうことで、採用力を高めることができます。
料金形態は、SNSを利用する場合は無料。人材データベースを活用する場合は、採用成功数に応じるものと、月額使用料を求めるもの、両方の組み合わせなどといったパターンがあります。自社の採用難易度に合わせて選択しましょう。
リファラルリクルーティングは、自社社員などが知人・友人を紹介して採用に繋げる採用手法です。昔から「縁故採用」という言葉は存在しましたが、より制度を整え、全社的な取り組みとして行なうのが、リファラルリクルーティングの特徴です。
・マッチング精度や定着率が比較的高い
・社員の協力を集めるのが大変
採用手法の特徴は、ご一読いただけましたでしょうか?採用難が叫ばれる昨今。「自社に合う採用手法を効果的に組み合わせる」ことは、人事の腕の見せ所です。
そこで、実際の採用成功事例をもとに、参考になる採用手法の組み合わせ方をご紹介します。
★全国の店舗・事業所などで勤務する人材を、恒常的に採用している企業様の事例
参考にしたいのは2点。「転職サイトの使い方」と「自社採用HPと連携した魅力づけを行なったこと」です。
・転職サイトとハローワーク求人から、自社採用ページ(通年)にリンクして、企業情報を見せる。
転職サイトでの求人を「4週間×2回」と分けて掲載。求職者にとって、新着の求人として見てもらうことで、長期掲載による応募者減少を防いでいます。
その上で、転職サイトとハローワークの求人から、自社の採用ページにリンクさせ、事業内容・企業理念・仕事内容・働く人の魅力など、求人情報では伝えきれなかった自社の魅力を伝え、応募の後押しに繋げました。
「HPが充実していないと不安になる」という求職者の声を見越して、採用ページの作成とリンクが功を奏し、採用成功に繋がったそう。できる限り求職者に情報を伝えることは現在の採用トレンド。ぜひ、試してみていただきたい手法の組み合わせです。
★主要都市圏から離れた地域や、交通の便が悪い地域で採用成功した企業様の事例
参考にしたいのは2点。「地元採用に特化したこと」と「応募が集まりづらくなるにつれて、採用対象者を拡大したこと」です。
・UIターン歓迎で対象者を拡大
最初に採用で使用したのは、フリーペーパー・ハローワーク・地方自治体が主催する合同説明会。どれも、「地元採用」に強い採用手法を選択しています。
ただし、フリーペーパーやハローワークの求人票は、該当エリアの求職者にしか読まれないという特性があるため、転職サイトの利用を追加。「UIターンを考えている求職者」をターゲットで補完する手法を選択したそうです。引越し費用の負担や住宅手当の追加など、UIターンを後押しする福利厚生を追加することで、狙い通りの人材確保に繋がっています。
経験・スキルのレベルが高い人材の採用事例です。この事例で参考にしたいのは、「求める経験・スキルのレベルに応じて、転職サイト・スカウト・人材紹介を使い分けた」ことです。
・スカウトの書き方を改善して、さらに効果UP!
基本の手法として、「転職サイト」で求人を募集。応募資格を満たす人材がたまたま自社求人を見つけてくれるのを「待つ」のではなく、企業から直接スカウトを送る「攻め」の採用手法を活用しています。
海外取引もある自動車部品メーカーの営業リーダーの募集ですが、円が2つ~3つ重なる部分は「スカウト」を使い、円が4つすべて重なるような、求める経験・スキルと“完全に合致する”人材は、人材紹介を利用し、複数人の採用に成功しています。ぜひ参考にしてください。
採用手法には、それぞれメリット・デメリットがあります。安易にこれまでのやり方を変更してしまうことも危険。採用ができても、入社後の早期離職や新たな課題が発生してしまうリスクもあります。自社に合った、最適な採用手法の検討に今回の特集が助けになれば幸いです。ぜひ、ご参考ください。