- 2社に1社が、「選考辞退が増えた」と回答。
- すぐ真似できる!「面接前辞退・ドタキャン辞退」を減らす8つの手法。
- 希少な応募者を逃さない!「選考中辞退・内定後辞退」を減らす8つの手法。
過去、人事のミカタで実施した、直近1年以内で中途採用を行なった企業へのアンケートでは、なんと「約9割の企業で選考辞退が発生し、その半数が、以前と比較して選考辞退が増えたと実感している」と回答しました。売り手市場を背景に、選考辞退が増加していることが見て取れます。
上の図は、選考において辞退が発生するタイミングです。
①書類選考~面接前に発生する「面接前の辞退」と、面接前日・当日の「ドタキャン辞退」。
②面接を行なっている段階の「選考中の辞退」。
③採用を決めて内定を出した後の「内定後の辞退」が挙げられます。
もっとも選考辞退が多かったタイミングを聞くと、面接前日・当日の「ドタキャン辞退」58%。次いで、内定を出した後に起こる「内定後の辞退」56%でした。近年、より選考が進んだ上での「ドタキャン辞退」や「内定辞退」が増えているようです。
もっとも多かった辞退タイミングである「面接前日・当日のドタキャン辞退」。「すっぽかし辞退」とも言われますが、実際に求職者にドタキャン経験を聞いたところ、約10人に1人の割合で経験があると回答がありました。
ドタキャンをした理由では「体調が悪かった」が40%と最多。次点が「ネット上でよくない評判や噂を見た」22%。そして「他社での選考が通過した」が19%となっています。
また、面接のすっぽかし理由では、「辞退理由をどう言えばいいかわからなかった」がもっとも多く41%。次いで「辞退が申し訳ないと思ったため」、「面接日程を失念していたため」、「連絡する時間がなかったため」という回答が集まりました。
「面接前の辞退」の理由を見ると、「応募してから面接を受けるか検討している人」が少なくないことが分かります。企業側にとっては、応募後に再考するよりも、応募前にじっくりと検討して欲しいと思うかもしれませんが、ちょっとでも良いと思った企業に応募する傾向は今後も増えそうです。
また同率トップで「希望していない業界・職種にスカウトされた」「多くの人に同一の文面を送っているのだとわかるスカウトメールだった」という不満の声が散見されました。こちらも注意したい部分です。
「選考中の辞退」は、面接に至るまでの情報量の不足や、誤解を生む表現、面接官と人事担当者の認識違いなどが起きている可能性があります。また、会社の顔となる「面接官の言動」のイマイチさも理由として散見されます。
お互いに相思相愛だと思ったのに企業の片思いだったとわかる「内定後の辞退」。その理由について聞いたところ、もっとも多かったのは「勤務地・給与など条件の折り合いがつかなかった」となりました。特に「待遇や条件」は、入社を決意するための重要なポイント。 求職者からは「条件が最後の最後に提示される」「条件提示もなく内定承諾を促す企業が多々ある」ことに不満の声が上がっています。可能な限り自社の出せる条件を早めに提示しましょう。
選考タイミングごとの辞退の心理は、ご確認いただけたでしょうか?最後に、選考タイミング別の「辞退対策」となる16の手法をご紹介します。ぜひ、ご参考ください。
「面接前辞退」「ドタキャン辞退」が多発していた企業において、実際に辞退数を減少させた手法を8つご紹介させていただきます。
- 1面接日程をスピーディーに決める
- 2面接前日に、連絡(電話・メール)をする
- 3面接地に柔軟性を持たせる
- 4応募時に志望動機の記載を必須にする
- 5選考フローを簡略化する(面接回数を減らす・必要書類を減らす)
- 6スカウトメールを活用する
- 7クチコミを活用する
- 8求人広告では、「衛生要因」だけでなく、「動機づけ要因」でも魅力づけする
「他社での選考が通過した・内定が決まった」という辞退理由があるように、他社よりも早く選考を進めて、内定を出すことは重要なポイントです。人事のミカタで行なったアンケート調査によると、応募から「2週間以内」に内定出しを行なっている企業が約50%と一般的。面接候補日を複数送り、応募者が選択できるようにすると、面接日程がスムーズに決まりやすくなります。
また、面接担当者が複数いる場合は、日程の都合が合わず、面接可能日が先送りになってしまうというケースも珍しくありません。そんな時は、1人でも面接担当者が参加できるのであれば、面接を実施することをオススメします。
応募から面接まで日が空くと、面接があることを忘れてしまう人もいます。前日に、「明日面接のお約束をしておりますので、事前にご連絡しました」と電話・メールをすることで、辞退を防止できるはずです。
応募者の居住地と面接地が離れている場合は、面接地に柔軟性を持たせると良いでしょう。たとえば、面接を「東京本社」のみにしてしまうと、遠隔地からの応募者は面接に来ることが難しくなり、辞退に繋がる恐れがあります。
最寄りの支店や支社で面接を実施することや、PC・携帯電話を活用したビデオ通話で面接を行なうという選択肢も検討してください。
応募の際に、志望動機の記載を必須にすることで、「しっかりとした志望動機を持つ応募者」が厳選されるため辞退率が低くなります。しかしその反面、志望動機を書く手間が増えるため、応募者は減る傾向があります。きちんと志望動機を持った人を1人でも採用したいといった企業や、憧れ応募が多いため絞りたいという企業が実施することが多いです。
面接回数が多いと、足を運ぶ負担や選考内容に疑問を持たれる等、辞退リスクが高まります。面接1回で合否判定する企業に応募者を取られるという可能性もあり、面接は可能な限り減らすのが望ましいです。
加えて、「紙の履歴書の郵送・提出」を必須にしている企業様は注意が必要です。現在、転職支援サイトに求人を掲載している企業の多くが、「Web履歴書」による書類選考を行なっています。紙の履歴書を購入して手書きする、という手間が発生する分、辞退リスクが高まります。紙の履歴書を必須とすることで、応募者の経歴が詳細に分かるというメリットがある反面、前述のようなデメリットがあることは押さえておきましょう。
スカウトメールを送る際に「あなたに絶対に入社して欲しい」という熱意を伝えることで、辞退率を軽減することができます。誰にでも同じスカウトメールを送っていると思われると、辞退理由にもあった「希望のスカウトメールではなかった」と辞退されてしまうため、その人に向けたメールであるよう内容を検討する必要があります。 そんな効果の出るスカウトメールの作り方については、特集「スカウトメール攻略ガイド」をご覧ください。(https://partners.en-japan.com/special/scoutmail/)
応募者が面接当日に辞退を決めた理由第2位が、「ネット上でよくない評判や噂を見た」となっているほど、大きくなっている「クチコミの影響」。自社のクチコミにどんなことを書かれているのか把握しておくことが重要です。
時には「既に改善されている制度の話なのに、何年も前のネガティブなクチコミが残っている…」ということもあると思います。「カイシャの評判」では、社員・元社員から書き込まれているクチコミに対して、企業側から意思や考えを伝えることができるコメント機能があります。その機能を使って、求職者の不安払拭、ひいては辞退者の減少に繋げることが可能です。
詳細は、特集「「クチコミ&企業コメント」の極意」をご覧ください。(https://partners.en-japan.com/special/190313/)
■ 仕事の「満足」に関わる要因=「動機づけ要因」(承認・称賛・達成・成長・責任など)
■ 仕事の「不満足」に関わる要因=「衛生要因」(給与・賞与・休日・福利厚生・会社の方針など)
人材を募集する際、給与や休日休暇などといった「衛生要因」だけで魅力づけを行なうだけだと、「貴社で働きたい!」という想いは醸成されず、辞退に繋がります。大事なのは「動機づけ要因」。貴社の仕事内容そのものが持つ意義ややりがい、周りからの称賛、仕事による成長などを、きちんと人材募集の時点で伝え、納得してもらうことで辞退率軽減に繋がります。
- 1面接で、応募者の悩みに寄り添う
- 2求人情報と面接での説明に乖離がないようにする
- 3面接で、応募者と既存社員の質疑応答の時間を設ける
- 4会社の雰囲気が分かるように、選考に社内見学を取り入れる
- 5選考を通して、「自社の良い部分」も「課題の部分」も説明する
- 62次選考以降がある場合は、次の面接日程をスピーディーに決める
- 7面接結果は可能な限り早く連絡する
- 8内定者の懇親会を行なう
大前提として、面接の目的は「見極め」だけではありません。人材を見極めると同時に、「魅力づけ」を行なう必要があります。特に昨今は有効求人倍率が高まり、求職者に有利な時代となっています。求職者が複数社から内定をもらうことも少なくないため、自社を選んでもらうためにも魅力づけは欠かせません。
詳細は、特集「面接質問集[新版]」をご覧ください。(https://partners.en-japan.com/special/mensetsu/)
「応募者の悩みに寄り添う」というのも、面接でできる魅力づけのひとつ。転職を考えているということは、何かしら前職・現職に悩みを抱えている可能性が高いと言えます。この転職動機についてヒアリングした上で、貴社ならどう叶えられるかを一緒になって考えてあげることが重要です。
たとえば、応募者が「前職で評価制度の不公平さ」に悩んでいたとしたら、自社の評価制度の詳細を説明し、「この会社に入社すれば正当に評価される」ということを伝えることで辞退減に繋がるはずです。
面接で「求人に記載している給与や休日休暇、仕事内容などと実態が違う」ことが分かると、応募者は不信感を覚えます。求人情報と面接の説明に違いがないように、採用に関わる人は、掲載されている求人に必ず目を通すようにしましょう。
応募者からすると、社長や役員、人事担当者には聞きづらい質問もあるはずです。実際に働く社員に自由に質問をさせることで、入社前の不安解消に繋がります。ただし、「質問しづらい雰囲気」があっては意味がありません。既存社員との質疑応答中、採用に関わる人は席を外すようにすると、より効果的です。
会社の風土や職場環境、どんな人が働いているのかは気になるもの。まったく新しい職種に挑戦するというなら、なおさらです。面接前後に職場見学を取り入れれば、会社理解が深まるでしょう。ただし、職場見学をする場合は「社員の協力を事前に仰ぐ」ことが大切です。 協力を求めず職場見学を実施すると、急に応募者が来ても社員が対応できないということも考えられます。タイミングによっては、社員が忙しそうにしていて挨拶もできず、実際の雰囲気より悪く見えてしまうことも…。事前に職場見学があることを告知したり、職場見学に来た応募者への応対マニュアルを用意したりすると良いでしょう。
企業が採用活動をする上で、求職者に対して仕事や組織の実態について、「良い面だけでなく悪い面も含めた」ありのままの情報を提供することで、ミスマッチを軽減し、辞退率の減少や、定着率の向上まで効果があることが確認されています。
「RJP(リアリスティック ジョブ プレビュー/Realistic Job Preview)」とも呼ばれ、直訳すれば、「現実的な仕事情報の事前開示」となります。企業にとっては、一瞬躊躇する手法ですが、良い話ばかりではなく、「自社の課題」も伝えることで、応募者からの信頼が高まり、内定承諾率が上がったという事例は少なくありません。
前述の「面接前辞退・ドタキャン辞退対策 ①面接日程をスピーディーに決める」と同様に、2次選考以降がある場合も、次の選考スケジュールをいち早く決めることが重要です。選考が先延ばしになるほど、他社で先に内定が決まる可能性が高まります。 他社よりも先に内定を出すためにも、1次選考の際、応募者に「他社の選考を受けているか?」「受けているなら、どこまで選考が進んでいるか?」を事前に確認しておくことをオススメします。
面接後、いち早く結果を共有することも重要です。どうしても入社して欲しい優秀人材と出会えたときは、面接を行なったその日のうちに、電話で内定の連絡をするのも有効な手段。この時、「本気で相手に入社してもらいたいと思っている」という想いを伝えると、応募者の志望度を上げられるかもしれません。
内定者懇親会で既存社員と交流することは、魅力づけと不安解消、両方の効果を期待できるため、入社するか否かを迷っている内定者の背中を押すキッカケになります。特に内定者が複数いる場合は、同期がいるという安心感にも繋がるので、より効果的です。ただし、内定承諾前の応募者への過度な干渉は、逆にモチベーションを下げる要因にもなり得ます。 懇親会や飲み会などの集団行動を避ける若者も増えているため、無理な勧誘は避けるようにしましょう。
採用難が続く今だからこそ、「1名の応募」の重要性はますます上がっています。「選考辞退・内定辞退」に手をこまねいている場合は、ぜひ上記、16の手法を取り入れてみていただければ幸いです。ぜひ、ご参考ください。