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中小企業、非ITエンジニア人事が知っておくべき

ITエンジニア採用 キホンのキ

公開日 2026/1/6
更新日 2026/1/6
要約すると
  • 「ITエンジニア」は、他職種を圧倒する極めて深刻な人手不足。
  • 「ITエンジニア」採用の鉄則は、スキルと年収相場を理解すること。
  • 非エンジニア人事が、面接で見るべきこと・聞くべきこと
監修者
「人事のミカタ」編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
手塚伸弥
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
はじめに

「現場からITエンジニア採用の要望が来たが、どう求人を出せばよいかわからない」
「エンジニアの経験がないため、面接で何を確認すればいいか不安」

中小企業の人事から、こうしたエンジニア採用に関する悩みがよく聞かれます。とくにエンジニア経験がない人事からは、技術用語など他の職種とは勝手が違うため、理解が難しいという声も。

そこで今回は、「ITエンジニア採用 キホンのキ」と題して、非エンジニア出身人事担当が最低限知っておくべき、採用難易度・スキルと年収の相関・求人や面接での質問集などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

「ITエンジニア」は、他職種を圧倒する極めて深刻な人手不足

まずは、厚生労働省が公表している「労働経済動向調査」の「産業別正社員等労働者過不足判断D.I.」を見てみましょう。この指標は、企業の人手不足の状況を示し、値が大きいほど人手不足感が強いことを意味しています。

産業別 正社員等労働者過不足判断D.I.
産業 令和6年11月調査 1) 令和7年2月調査 1) 令和7年5月調査 1)
不足 過剰 D.I. 不足 過剰 D.I. 不足 過剰 D.I.
調査産業計 48 2 46 51 3 48 47 3 44
建設業 58 1 57 61 - 61 59 1 58
製造業 44 4 40 50 4 46 45 4 41
情報通信業 55 1 54 59 1 58 57 - 57
運輸業,郵便業 58 1 57 60 2 58 57 2 55
卸売業,小売業 29 5 24 32 5 27 31 3 28
金融業,保険業 28 1 27 31 - 31 31 2 29
不動産業,物品賃貸業 44 1 43 47 2 45 46 2 44
学術研究,専門・技術サービス業 58 2 56 63 - 63 61 2 59
宿泊業,飲食サービス業 46 2 44 49 2 47 45 2 43
生活関連サービス業,娯楽業 42 4 38 41 3 38 38 3 35
医療,福祉 64 1 63 60 2 58 53 3 50
サービス業(他に分類されないもの) 48 2 46 50 2 48 52 1 51

注:無回答を除いて集計している。

1)「11月調査」は11月1日現在、「2月調査」は2月1日現在、「5月調査」は5月1日現在の状況である。

※厚生労働省 労働経済動向調査(令和7年5月)の概況

令和7年5月調査において、「情報通信業」のD.I.は57ポイントと、主要産業の中で2番目に高い数値を記録しています。これは、ITエンジニアをはじめとする専門人材の不足が、他の業界と比較しても極めて深刻であることを客観的に示しています。

「情報通信業」内で人材の獲得競争をしている渦中に、それ以外の業種の企業がITエンジニアを採用することは、かなりの難易度であることが想像に難くないでしょう。

「ITエンジニア」採用の鉄則は、スキルと年収相場を理解すること

ITエンジニア採用において、必ず知っておくべきことは、エンジニア人材の市場価値、すなわち年収相場を正しく理解することです。

以下の図は、民間人材サービスの業界団体からなる「一般社団法人 人材サービス産業協議会」が公開した『転職賃金相場』で、IT(Web・アプリケーション)職で転職した人の年収帯と、転職先の仕事内容・スキルをまとめたものです。

たとえば、「ITエンジニア」ニーズが出た時に、どの経験がある人を取りたいのかを現場の管理者と指差し確認することや、実際の求人作成時の年収案の参考にもなるもの。難しい技術用語は入っていませんので、まずはここから始めましょう。

IT(Web/アプリケーション)職の賃金相場
決定者の定性情報
年収(万円) 決定者・決定求人内容の特徴(定性情報)
1000~ 転職先での役職・職務内容 CIO、マネージャー、プロジェクト責任者、ディレクター、管理職。業界は多種多様、大手企業が多い。
採用決定者のスキルや経験 全社的なプロジェクトマネジメント経験、マネジメント経験、クライアント業界の経験、英語・中国語などの語学力が求められる場合もある。
その他の特徴 30代後半~50代前半。他職種からの転職、転職経験3回以上の人が多い。
800~999 転職先での役職・職務内容 社内SEあるいはSEのプロジェクトマネージャー、マネージャー候補、課長候補など。業界は多種多様、各業界の大手企業が多い。
採用決定者のスキルや経験 該当領域でのSEとしての業務経験、プロジェクトマネージャー経験3年以上。
その他の特徴 30代~50代。同職種で転職経験3回以上の人が多い。
600~799 転職先での役職・職務内容 社内SEあるいはSEのプロジェクトマネージャー、リーダー、担当者など。
採用決定者のスキルや経験 該当領域でのシステム開発経験、運用経験。
その他の特徴 20代後半~40代前半。同職種で転職経験3回以上の人が多い。
400~599 転職先での役職・職務内容 社内SEあるいはSEもしくはプログラマのリーダー、担当者など。業界は多種多様。
採用決定者のスキルや経験 該当領域でのシステム開発経験、運用経験。
その他の特徴 20代後半~50代で30代が中心。同職種からの転職が多い。
300~399 転職先での役職・職務内容 エンジニア、プログラマ、メンバー職。中小企業が多い。
採用決定者のスキルや経験 ITの知識がある、ITに抵抗がないなど。未経験者も多い。
その他の特徴 20代~30代。同職種からの転職が多い。
「何ができる人」を採るか?採用したいエンジニアの解像度を上げる

エンジニア採用が失敗する最大の原因は、「どんなエンジニアが必要か」が曖昧なまま進めてしまうことにあります。そのため採用成功に向けた第一歩は、採用ターゲットの解像度を高めることです。

たとえば、世の中で一般的に使われる職種名の「SE」や「PG」。一般的な開発においては、上流から下流にかけて工程を分担しているイメージですが、実際は会社によってやっていることが違うというのが実情です。

PGと呼ばれて、確かにシステム開発(プログラミング)はするものの、じつは上流に近いところでシステム設計をしている人や、逆に納品に近いところでシステムのテストを中心にやっている若手も存在します。

そのため、前述の例のように「プログラムもできるけど、設計も少しできる人」を採用したいのか、「プログラミングはそこまでやっておらず、テスト経験など基礎がある人」を採用して育てたいのかによって、採用する人材の解像度を上げることによって難易度が大きく変化します。

年収を左右する技術トレンド

取得している資格は一定の知識レベルの証明にはなりますが、それ以上に「どのようなプロダクトを、どのような技術スタックで、どのくらいの規模で開発・運用してきたか」という実務経験が、年収の判断の土台になります。

掛け合わせで、需要が急拡大しているモダンな技術や、AI・機械学習といった高度な専門性が求められる分野のスキルを持つ人材は、年収が高くなる傾向にあります。Go、TypeScript、Python(機械学習領域)などはその代表例です。参考にして下さい。

非エンジニア人事でもできる!現場へのヒアリング

「なぜ必要なのか?」をヒアリングし、採用の目的を共有しましょう。

「今回エンジニアを採用することで、会社やチームのどんな課題を解決したいですか?」

「手作業で行っているデータ入力を自動化して、業務を効率化したい」

「お客様から要望の多い、新しい機能を追加して売上を上げたい」

この目的が、後の求人や面接で「仕事のやりがい」を伝える際の重要な材料になります。

お願いしたい仕事と、必要なスキルを聞き出す。

次に、採用する方にお願いしたい具体的な仕事内容と、そのために必要なスキルを明確にします。ここでのポイントは、「絶対に必要な条件(MUST)」と「あったら嬉しい条件(WANT)」を分けることです。
非エンジニア出身人事でもできる!現場へのヒアリングリスト
  • 今、開発チームで主に使っているプログラミング言語は何ですか?(例:PHP, Java, Pythonなど)
  • 今回採用する方に、入社後まずお任せしたい具体的な仕事内容は何ですか?
  • その仕事をする上で、絶対に持っていてほしいスキルや経験は何ですか?(2~3個に絞ってもらいましょう)
  • あれば嬉しい(必須ではない)スキルや経験はありますか?
  • どんな人柄の方だと、チームに馴染みやすいですか?

技術用語は分からない場合は、その場で聞いてみるもよし、後で調べるもよし。このヒアリングが、採用活動全体の土台となります。

「WANT要件」等の羅列は、採用ターゲットを曖昧にします

「広範囲から応募者を募りたい」
「箇条書きでわかりやすく書きたい」
といった思いから、エンジニア採用の「応募資格」欄に、思いつく限りの言語やフレームワーク、関連資格を網羅的に記載している求人を見かけます。例えば、「歓迎スキル:Java, PHP, Python, Go, C#, AWS, PMP…」といった具合です。

これは、様々なスキルを持つ人材が応募しやすくなるようにという企業の意図の表れですが、求職者からは「結局どのスキルが最も重要視されているのか不明確」「採用要件が固まっていないのでは?」と見なされ、かえって応募を躊躇させる原因となりえます。こちらも現場とすりあわせていきましょう。

年収・待遇だけで戦わない!会社の「隠れた魅力」を訴求しましょう

エンジニア採用に関わらず、中小企業の採用は、年収・待遇等で大手企業と勝負するのは得策ではありません。前述のスキルと年収の関係は守りつつ、「この会社で働いてみたい!」と思う自社の魅力を発見し、求職者に訴求していくことが重要です。

「ウチはごく普通の会社だから…」と思わず、現場のエンジニアにも協力してもらいながら、小さなことでも書き出してみましょう。それらが、求職者の心を動かす大切なアピールポイントになります。以下の観点で探してみましょう。

1 仕事の面白さ(事業の魅力)
  • 自分たちのサービスが、誰のどんな役に立っているか実感できる。
  • 「ありがとう」と直接言われる機会がある。
2 任せてもらえるやりがい(裁量権)
  • 自分のアイデアを形にできるチャンスがある。
  • 開発の進め方などを、ある程度自分で決められる。
3 スキルアップできる環境(成長環境)
  • 新しい技術に挑戦させてもらえる。
  • 書籍の購入や、勉強会への参加を会社が応援してくれる。
4 働きやすさ(働き方)
  • リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟な働き方ができる。
  • 残業が少なく、プライベートの時間も大切にできる。
5 良い仲間・雰囲気(チーム文化)
  • 困ったときに気軽に相談できる仲間がいる。
  • 部署の垣根なく、和気あいあいとしている。
「インフルエンザの予防接種」が決め手になったという応募者も!

ある中小企業に転職してきたエンジニアにインタビューした際、応募のきっかけを伺うと「待遇欄に、“インフルエンザの予防接種”があったから」と答えた方がいました。

意図を聞くと、「前職時代にインフルエンザの社内感染があり、プロジェクトが崩壊しかかった」そう。その経験からこの会社は、“インフルエンザの予防接種”補助を社員にしており、開発現場のリスクヘッジも考えていると感じて応募したとのこと。

もちろん、これは極端な例であるものの、どんな小さなメリットでも、出さないよりは出すことが大事と感じた事例。ぜひ、貴社のアピールポイントを探してみてください。

非エンジニア人事が、面接で見るべきこと・聞くべきこと

ITエンジニアの面接では、技術的なスキルを見極めるために、現場のエンジニアに同席してもらうのが最も確実です。しかし、現場のリソースが限られ、どうしても人事担当者だけで面接をしなければならないケースもあるでしょう。

そんな時は、無理に専門的な質問をして的外れな印象を与えるよりも、人事だからこそ見極められる「カルチャーフィット(会社との相性)」や「ポテンシャル(成長の可能性)」に集中して、1次面接をして、2次面接以降で現場のエンジニアにスキルチェック含めた面接を依頼しましょう。

質問例
  • チームでの働き方: 「過去のプロジェクトで、意見が合わないメンバーとどのように協力しましたか?」
  • 学習意欲: 「最近、プライベートで学習している技術や興味のあることは何ですか?」
  • 志向性: 「弊社の事業やサービスについて、どのような点に魅力を感じますか?」

とはいえ、「最低限の技術的な方向性を確認したい」「現場からこれだけは聞いてほしいと言われている」という場合もあると思います。

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さいごに

「ITエンジニア採用 キホンのキ」は、いかがだったでしょうか。データが示す通り、ITエンジニアの採用は極めて厳しい状況にあります。だからこそ、本記事で解説した「市場相場の理解」「ターゲットの明確化」「自社の魅力の言語化」といったキホンが大事になります。本記事が貴社採用の一助になれば幸いです。

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