中途採用ノウハウ、ユーザー調査、法改正情報が満載!
「現場からITエンジニア採用の要望が来たが、どう求人を出せばよいかわからない」
「エンジニアの経験がないため、面接で何を確認すればいいか不安」
中小企業の人事から、こうしたエンジニア採用に関する悩みがよく聞かれます。とくにエンジニア経験がない人事からは、技術用語など他の職種とは勝手が違うため、理解が難しいという声も。
そこで今回は、「ITエンジニア採用 キホンのキ」と題して、非エンジニア出身人事担当が最低限知っておくべき、採用難易度・スキルと年収の相関・求人や面接での質問集などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
まずは、厚生労働省が公表している「労働経済動向調査」の「産業別正社員等労働者過不足判断D.I.」を見てみましょう。この指標は、企業の人手不足の状況を示し、値が大きいほど人手不足感が強いことを意味しています。
注:無回答を除いて集計している。
1)「11月調査」は11月1日現在、「2月調査」は2月1日現在、「5月調査」は5月1日現在の状況である。
※厚生労働省 労働経済動向調査(令和7年5月)の概況
令和7年5月調査において、「情報通信業」のD.I.は57ポイントと、主要産業の中で2番目に高い数値を記録しています。これは、ITエンジニアをはじめとする専門人材の不足が、他の業界と比較しても極めて深刻であることを客観的に示しています。
「情報通信業」内で人材の獲得競争をしている渦中に、それ以外の業種の企業がITエンジニアを採用することは、かなりの難易度であることが想像に難くないでしょう。
ITエンジニア採用において、必ず知っておくべきことは、エンジニア人材の市場価値、すなわち年収相場を正しく理解することです。
以下の図は、民間人材サービスの業界団体からなる「一般社団法人 人材サービス産業協議会」が公開した『転職賃金相場』で、IT(Web・アプリケーション)職で転職した人の年収帯と、転職先の仕事内容・スキルをまとめたものです。
たとえば、「ITエンジニア」ニーズが出た時に、どの経験がある人を取りたいのかを現場の管理者と指差し確認することや、実際の求人作成時の年収案の参考にもなるもの。難しい技術用語は入っていませんので、まずはここから始めましょう。
エンジニア採用が失敗する最大の原因は、「どんなエンジニアが必要か」が曖昧なまま進めてしまうことにあります。そのため採用成功に向けた第一歩は、採用ターゲットの解像度を高めることです。
たとえば、世の中で一般的に使われる職種名の「SE」や「PG」。一般的な開発においては、上流から下流にかけて工程を分担しているイメージですが、実際は会社によってやっていることが違うというのが実情です。
PGと呼ばれて、確かにシステム開発(プログラミング)はするものの、じつは上流に近いところでシステム設計をしている人や、逆に納品に近いところでシステムのテストを中心にやっている若手も存在します。
そのため、前述の例のように「プログラムもできるけど、設計も少しできる人」を採用したいのか、「プログラミングはそこまでやっておらず、テスト経験など基礎がある人」を採用して育てたいのかによって、採用する人材の解像度を上げることによって難易度が大きく変化します。
取得している資格は一定の知識レベルの証明にはなりますが、それ以上に「どのようなプロダクトを、どのような技術スタックで、どのくらいの規模で開発・運用してきたか」という実務経験が、年収の判断の土台になります。
掛け合わせで、需要が急拡大しているモダンな技術や、AI・機械学習といった高度な専門性が求められる分野のスキルを持つ人材は、年収が高くなる傾向にあります。Go、TypeScript、Python(機械学習領域)などはその代表例です。参考にして下さい。
「今回エンジニアを採用することで、会社やチームのどんな課題を解決したいですか?」
「手作業で行っているデータ入力を自動化して、業務を効率化したい」
「お客様から要望の多い、新しい機能を追加して売上を上げたい」
技術用語は分からない場合は、その場で聞いてみるもよし、後で調べるもよし。このヒアリングが、採用活動全体の土台となります。
「広範囲から応募者を募りたい」
「箇条書きでわかりやすく書きたい」
といった思いから、エンジニア採用の「応募資格」欄に、思いつく限りの言語やフレームワーク、関連資格を網羅的に記載している求人を見かけます。例えば、「歓迎スキル:Java, PHP, Python, Go, C#, AWS, PMP…」といった具合です。
これは、様々なスキルを持つ人材が応募しやすくなるようにという企業の意図の表れですが、求職者からは「結局どのスキルが最も重要視されているのか不明確」「採用要件が固まっていないのでは?」と見なされ、かえって応募を躊躇させる原因となりえます。こちらも現場とすりあわせていきましょう。
エンジニア採用に関わらず、中小企業の採用は、年収・待遇等で大手企業と勝負するのは得策ではありません。前述のスキルと年収の関係は守りつつ、「この会社で働いてみたい!」と思う自社の魅力を発見し、求職者に訴求していくことが重要です。
「ウチはごく普通の会社だから…」と思わず、現場のエンジニアにも協力してもらいながら、小さなことでも書き出してみましょう。それらが、求職者の心を動かす大切なアピールポイントになります。以下の観点で探してみましょう。
ある中小企業に転職してきたエンジニアにインタビューした際、応募のきっかけを伺うと「待遇欄に、“インフルエンザの予防接種”があったから」と答えた方がいました。
意図を聞くと、「前職時代にインフルエンザの社内感染があり、プロジェクトが崩壊しかかった」そう。その経験からこの会社は、“インフルエンザの予防接種”補助を社員にしており、開発現場のリスクヘッジも考えていると感じて応募したとのこと。
もちろん、これは極端な例であるものの、どんな小さなメリットでも、出さないよりは出すことが大事と感じた事例。ぜひ、貴社のアピールポイントを探してみてください。
ITエンジニアの面接では、技術的なスキルを見極めるために、現場のエンジニアに同席してもらうのが最も確実です。しかし、現場のリソースが限られ、どうしても人事担当者だけで面接をしなければならないケースもあるでしょう。
そんな時は、無理に専門的な質問をして的外れな印象を与えるよりも、人事だからこそ見極められる「カルチャーフィット(会社との相性)」や「ポテンシャル(成長の可能性)」に集中して、1次面接をして、2次面接以降で現場のエンジニアにスキルチェック含めた面接を依頼しましょう。
とはいえ、「最低限の技術的な方向性を確認したい」「現場からこれだけは聞いてほしいと言われている」という場合もあると思います。
非エンジニアの方でも候補者のスキルレベルを測るヒントになる『ITエンジニア面接質問集』他、PG・SEなど職種別の質問集をご用意しています。現場エンジニアに同席してもらえない場合の"お守り"として、ぜひダウンロードしてご活用ください。
「ITエンジニア採用 キホンのキ」は、いかがだったでしょうか。データが示す通り、ITエンジニアの採用は極めて厳しい状況にあります。だからこそ、本記事で解説した「市場相場の理解」「ターゲットの明確化」「自社の魅力の言語化」といったキホンが大事になります。本記事が貴社採用の一助になれば幸いです。