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厚生労働省が発表した2024年の平均有効求人倍率は「1.25倍」。コロナ禍前の2019年の「1.60倍」まで回復できていない状況です。3年ぶりに0.06ポイント低下した要因としては、企業側の人手不足感の強さは変わらないものの、原材料価格の上昇などコスト増により求人を控える動きが影響しています。
直近の2024年12月の有効求人倍率(季節調整値)も「1.25倍」となり、3カ月連続で同水準になっています。「人手不足だが、新たな人を雇う余力が無い」という中小企業の声が散見され、有効求人数と有効求職者数がやや減少。一方、景気のバロメーターとなる新規の求人数は前月比較で2.2%増加するなど、良い兆しも見え始めています。
「エン転職」で実施した「求人選びの軸」調査にて、「物価高」や「AIの普及」等によって、求人選びの軸が「変わった」と回答した人は約3割に上りました。
「物価高」によって仕事選びの軸が変わったと回答した人は「年収アップできるか」という軸を重視して、転職活動に向かう人が最多になっています。また、「AIの普及」が影響した人は、「新しい分野に挑戦できるか」の軸が最多となりました。
明らかに求職者の意向に変化が表れているため、注意が必要です。以前とあまり変わらずに求人を出して「応募が来ない」「応募が少なくなった」となる前に、求職者の変化に沿った求人改善を実施しましょう。
※「エン転職」でのWEBアンケート
https://employment.en-japan.com/enquete/report-108/
実施期間:2024年3月27日(水)~2024年4月24日(水)
有効回答数:4,284名
北海道 | 青森 | 岩手 | 宮城 | 秋田 | 山形 | 福島 | |
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2022年12月 | 1.24 | 1.34 | 1.46 | 1.42 | 1.66 | 1.78 | 1.56 |
2023年12月 | 1.10 | 1.30 | 1.31 | 1.31 | 1.44 | 1.50 | 1.47 |
2024年12月 | 1.09 | 1.22 | 1.30 | 1.22 | 1.40 | 1.50 | 1.39 |
茨城 | 栃木 | 群馬 | 埼玉 | 千葉 | 東京 | 神奈川 | 山梨 | 長野 | |
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2022年12月 | 1.69 | 1.35 | 1.64 | 1.19 | 1.22 | 1.18 | 1.10 | 1.65 | 1.72 |
2023年12月 | 1.52 | 1.22 | 1.47 | 1.14 | 1.20 | 1.15 | 1.08 | 1.41 | 1.49 |
2024年12月 | 1.51 | 1.33 | 1.43 | 1.20 | 1.27 | 1.12 | 1.09 | 1.51 | 1.42 |
新潟 | 富山 | 石川 | 福井 | 岐阜 | 静岡 | 愛知 | 三重 | |
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2022年12月 | 1.64 | 1.78 | 1.61 | 1.99 | 1.77 | 1.41 | 1.39 | 1.64 |
2023年12月 | 1.53 | 1.60 | 1.45 | 1.92 | 1.60 | 1.32 | 1.29 | 1.47 |
2024年12月 | 1.52 | 1.57 | 1.53 | 1.91 | 1.56 | 1.22 | 1.26 | 1.34 |
滋賀 | 京都 | 大阪 | 兵庫 | 奈良 | 和歌山 | |
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2022年12月 | 1.44 | 1.25 | 1.12 | 1.19 | 1.36 | 1.28 |
2023年12月 | 1.26 | 1.19 | 1.07 | 1.14 | 1.30 | 1.20 |
2024年12月 | 1.30 | 1.26 | 1.08 | 1.13 | 1.38 | 1.21 |
鳥取 | 島根 | 岡山 | 広島 | 山口 | 徳島 | 香川 | 愛媛 | 高知 | |
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2022年12月 | 1.76 | 1.85 | 1.62 | 1.52 | 1.76 | 1.41 | 1.69 | 1.58 | 1.24 |
2023年12月 | 1.45 | 1.62 | 1.48 | 1.38 | 1.74 | 1.28 | 1.54 | 1.44 | 1.14 |
2024年12月 | 1.49 | 1.53 | 1.38 | 1.30 | 1.65 | 1.26 | 1.60 | 1.49 | 1.20 |
福岡 | 佐賀 | 長崎 | 熊本 | 大分 | 宮崎 | 鹿児島 | 沖縄 | |
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2022年12月 | 1.16 | 1.64 | 1.37 | 1.56 | 1.57 | 1.53 | 1.43 | 1.12 |
2023年12月 | 1.14 | 1.52 | 1.37 | 1.43 | 1.59 | 1.46 | 1.26 | 1.15 |
2024年12月 | 1.06 | 1.47 | 1.37 | 1.35 | 1.58 | 1.42 | 1.20 | 1.12 |
※厚生労働省 2024年12月 就業地別労働関係指標 有効求人倍率(季節調整値)
※都道府県別の有効求人倍率は、「就業地別」の調査結果データを採用しています。「受理地別」の調査結果と比較して、より各都道府県の就業数に即した数値となっております。ご了承ください。
ここからは、いよいよ本題となる全国47都道府県の有効求人倍率の推移を確認していきましょう。
2024年12月時点では、東京は「1.12倍」、愛知「1.26倍」、大阪「1.08倍」、福岡「1.06倍」となりました。有効求人倍率がもっとも高かったのは福井の「1.91倍」、最低は福岡県となっています。
2022年 12月 |
2023年 12月 |
2024年 12月 |
|
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全職種(職業計) | 1.36 | 1.30 | 1.32 |
営業の職業 | 2.24 | 2.42 | 2.52 |
一般事務の職業 | 0.36 | 0.35 | 0.35 |
商品販売の職業 | 1.93 | 2.01 | 2.16 |
接客・給仕の職業 | 2.68 | 2.30 | 2.06 |
介護サービスの職業 | 3.52 | 3.70 | 3.84 |
ITエンジニア(情報処理・通信技術者) | 1.76 | 1.71 | 1.74 |
建築・土木・測量技術者 | 7.27 | 7.29 | 7.38 |
クリエイター(美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者) | 0.20 | 0.17 | 0.16 |
ドライバー(自動車運転の職業) | 2.75 | 2.90 | 3.01 |
運搬・清掃・包装等の職業 | 0.74 | 0.74 | 0.73 |
※厚生労働省 2024年12月 第21表-14 有効求人倍率(パート除く常用)
代表的な10職種の有効求人倍率の推移を確認します。直近の3年間で見ると、「接客・給仕の職業」が大きく低下。アフターコロナで活発になった採用が完全に落ち着いたようです。その他の職業では、全般的にジワリと有効求人倍率が高まっていることが見て取れます。
東京都 |
---|
職種 | 有効 求人数 |
有効 求職者数 |
求人 倍率 |
全国 平均 |
---|---|---|---|---|
営業の職業 | 15,409 | 5,238 | 2.94 | 2.52 |
一般事務員 | 15,746 | 37,386 | 0.42 | 0.35 |
商品販売の職業 | 9,441 | 2,654 | 3.56 | 2.16 |
接客・給仕の職業 | 6,004 | 1,674 | 3.59 | 2.06 |
福祉関連の職業 | 31,141 | 5,322 | 5.85 | 3.84 |
IT技術関連 | 25,010 | 8,418 | 2.97 | 1.74 |
建築・土木技術者 | 7,250 | 960 | 7.55 | 7.38 |
デザイナー(グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、データ入力係員、製図工) | 651 | 4,233 | 0.15 | 0.16 |
自動車運転の職業 | 8,252 | 1,972 | 4.18 | 3.01 |
運搬・清掃等の職業 | 7,114 | 7,438 | 0.96 | 0.73 |
(引用)東京労働局HP 求人・求職バランスシート (2024年12月分)一般常用
2024年12月の東京都の有効求人倍率は「1.12倍」となりました。前年同月からは0.03ポイント下落しています。新規求人数は前年同月比で3.6%増加。情報通信業、卸売業・小売業などを中心に増加しました。一方、製造業・生活関連サービス業は減少しています。
また、東京都の職種別の有効求人倍率を確認すると、職種ごとの採用難易度に大きな差異が見られます。営業職、IT技術関連職、福祉関連職の求人倍率は全国平均を大きく上回り、これらの職種では、採用が難しい状況が続いています。
これら高い求人倍率を示す職種では、給与や福利厚生の改善、柔軟な働き方の提供など、魅力的な条件を提示することが求められます。改めて、採用競合となる他社求人との比較や、求人の見直しが必要になります。
愛知県 |
---|
職種 | 有効 求人数 |
有効 求職者数 |
求人 倍率 |
全国 平均 |
---|---|---|---|---|
営業の職業 | 7183 | 1583 | 4.54 | 2.52 |
一般事務員 | 7013 | 18170 | 0.39 | 0.35 |
商品販売の職業 | 5528 | 2309 | 2.39 | 2.16 |
接客・給仕の職業 | 3315 | 1137 | 2.92 | 2.06 |
福祉関連計 | 22,111 | 4900 | 4.51 | 3.84 |
IT関連計 | 5259 | 2606 | 2.02 | 1.74 |
建築・土木技術者 | 3146 | 383 | 8.21 | 7.38 |
美術家、デザイナー等 | 203 | 1207 | 0.17 | 0.16 |
自動車運転の職業 | 7539 | 1895 | 3.98 | 3.01 |
運搬・清掃等の職業 | 9214 | 14402 | 0.64 | 0.73 |
(引用)愛知労働局HP 求人・求職バランスシート (2024年12月分)(パートタイムを含む常用)
愛知県の有効求人倍率が「1.26倍」となり、岐阜県の「1.56倍」、三重県の「1.34倍」同様に前月と同じ水準を維持しています。製造業の多い地域として、雇用情勢は持ち直しつつありながらも、原材料価格・エネルギー価格の上昇の影響で求人を控える企業も見受けられるようです。
職種別では、営業職の求人倍率が全国平均を大きく上回り、採用が非常に難しい状況です。福祉関連職も「4.5倍」と高く、福利厚生の改善、柔軟な働き方の提供など、こちらも魅力的な条件を提示する必要があります。採用に強い地場企業が多々あることから、隣接する岐阜、静岡での採用に広げてみることや、東海圏以外から採用し、配属を東海エリアにするといった方法も検討すべきでしょう。
大阪府 |
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職種 | 有効 求人数 |
有効 求職者数 |
求人 倍率 |
全国 平均 |
---|---|---|---|---|
営業の職業 | 7,770 | 3,844 | 2.02 | 2.52 |
一般事務・秘書・受付の職業 | 4,770 | 23,545 | 0.20 | 0.35 |
販売員 | 7,253 | 3,864 | 1.88 | 2.16 |
接客・給仕の職業 | 5,424 | 2,047 | 2.65 | 2.06 |
福祉・介護の職業 | 26,389 | 6,351 | 4.16 | 3.84 |
情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発) | 4,722 | 2,267 | 2.08 | 1.74 |
建築・土木・測量技術者 | 3,922 | 784 | 5.00 | 7.38 |
デザイナー | 537 | 2,639 | 0.20 | 0.16 |
配送・輸送・機械運転の職業 | 12,733 | 5,545 | 2.30 | 3.01 |
運搬・清掃・包装・選別等の職業 | 16,023 | 19,333 | 0.83 | 0.73 |
(引用)大阪労働局HP 求人求職バランスシート※常用 (2024年12月分)
円安による原材料価格上昇などにより、建設業・製造業の求人数減少によって、有効求人倍率が低下する大阪府。機械化や価格転嫁による改善で経済の好循環化を目指している状況です。
職種別では、営業職は全国と比較して採用が比較的容易な地域。また、一般事務・秘書・受付は求職者数が多く、採用が容易であることが見て取れます。一方、接客・給仕の職業、福祉・介護の職業は全国平均を上回り、採用が難しい地域です。職種ごとの求人倍率を理解し、適切な採用戦略を策定することが、採用成功の鍵となります。
福岡県 |
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職種 | 有効 求人数 |
有効 求職者数 |
求人 倍率 |
全国 平均 |
---|---|---|---|---|
営業の職業 | 2,174 | 1,201 | 1.81 | 2.52 |
一般事務・医療事務等 | 2,522 | 7,396 | 0.34 | 0.35 |
商品販売 | 1,261 | 832 | 1.51 | 2.16 |
接客・給仕 | 770 | 422 | 1.82 | 2.06 |
介護サービスの職業 | 1,949 | 636 | 3.06 | 3.84 |
情報処理・通信技術者 | 1,688 | 1,121 | 1.50 | 1.74 |
建築・土木・測量技術者 | 1,399 | 282 | 4.96 | 7.38 |
美術家、デザイナー等 | 157 | 841 | 0.18 | 0.16 |
自動車運転 | 1,463 | 566 | 2.58 | 3.01 |
運搬・配達・倉庫作業員等 | 742 | 750 | 0.98 | 0.73 |
(引用)福岡労働局HP 求人求職バランスシート※常用・フルタイム(2024年12月分)
福岡県の有効求人倍率は、「1.06倍」となりました。1年前の同月からは0.08ポイント低下。全国でも一番低い県になっています。雇用情勢は改善傾向にあるものの、新規求人数は8.2%減少。一方、新規求職者数は3.9%増加しており、企業にとっては採用のチャンスが多いエリアです。
職種別に見ると、主要10職種のうち8職種で全国平均を下回っている状況。九州に拠点がない企業でも、テレワーク対応であれば、近隣では採用できなかった人材と出会える可能性があり、柔軟な働き方を準備できる企業であれば採用でアプローチができるでしょう。
[2025年上半期]採用難易度レポートは、いかがだったでしょうか?東京、愛知、大阪、福岡の雇用情勢を分析すると、各都市で職種ごとに採用の難易度が異なることが見て取れます。
そして、今年は物価上昇が雇用に与える影響を見越して、効果的な採用戦略を立てる必要があります。本特集が、具体的な施策を考えるきっかけとなれば幸いです。ぜひ、この記事を参考に、貴社の採用活動にお役立てください。