- 転職者の4人に1人が、入社後に「期待を下回る」ギャップを感じると回答
- 「期待を下回る」に大きな影響を持つのは、「昇給・賞与」「給与・年収」「社員のクオリティ」
- 入社前の「期待を上回る」ほど、中途入社者者の転職満足度や勤務継続意向に繋がる
※直近3年以内に「転職サイト」または「転職エージェント」を利用して正社員として転職した方(エン転職ユーザーのみ5年以内に緩和 ※転職後、現在もその転職先で就業している方 ■ 調査地域:全国
■ 調査方法:インターネットリサーチ
■ 調査時期:【事前調査】 2018年1月16日(火)~1月26日(金)
【本調査】 2018年1月22日(月)~1月29日(月)
■ 有効回答数:【本調査】1,011サンプル
直近3年以内に転職サイト等を利用して、「正社員」転職をした約1000名への調査。まずは、転職後に、必ず発生する期待と現実のギャップが、どうだったかを聞いています。
入社前の期待と、入社後の現実。実際にどうだったという質問に対して、全体の77%の人が、期待通り以上と感じているのに対し、23%の人が期待を下回っていると回答。4人に1人の転職者が、転職後にガッカリしているという結果になりました。
人事担当者とすれば、入社前後のギャップは、多かれ少なかれあるものと思われるかもしれません。しかし、この期待の掛け違いこそが、転職者の入社後の不完全燃焼や、早期離職の大きな要因になるとしたら、いかがでしょうか。看過できない問題になるはすです。
多くの人事担当者から、「面接時にキラキラしていた中途入社者が、入社後数ヶ月で周囲に愚痴を隠さないようになった」、「入社後、あっという間に転職者が辞めてしまった」という声が聞かれます。
多くの場合、転職者自体の性格の問題や、人事担当者が面接で見抜けなかったと結論づけられてしまいますが、この「入社前の期待と、入社後の現実」ギャップも要因として考えられるのです。
続いては、期待との乖離が起きる要因と影響度について、上記ポートフォリオでまとめています。縦軸は、要因項目の期待合致度の高低。横軸は、期待ギャップへの影響度(相関)の大小です。
まず、注目したいのは、前述の「期待を下回る」要因について。期待合致度が「低く」、期待ギャップへの影響度が「高い」のは右下の象限です。その中でも、大きく期待を下げるものは赤丸で囲んだ3点、 「昇給・賞与(ボーナス)」「給与・年収」「社員のクオリティ」が該当しています。この3点こそが、入社後に転職者の期待や意欲を大きく下げる要因になることが見て取れます。
以前の特集「退職理由のホンネと建前」にて調査した、会社に伝えない「ホンネの退職理由」を合わせて見てみましょう。
退職した人材が、会社には伝えなかった本当の退職理由をランキング。1位は「人間関係が悪かった」、続いて「評価・人事制度に不満があった」、「給与が低かった」となっています。これは、前述の、入社後に期待を下げた要因である「昇給・賞与(ボーナス)」「給与・年収」「社員のクオリティ」とほぼ同様の結果。期待を下回った要因が、そのまま退職理由につながっていることが推測されます。
対策として、転職者が入社後に現実を知り、期待と違う!とガッカリする前に、事前に「昇給・賞与(ボーナス)」「給与・年収」を正直・詳細に提示することが第一。たとえば、求人票や求人サイト上での誤解のない情報提供はもちろん、面接の段階で、現状の給与が他社より低い…など、言いにくいことを伝えて、それでも自社を選んでもらえるか考えてもらう。または評価の仕組みについてきちんと情報を提供することが重要になります。
ここからは、転職者が入社後の会社に「期待を上回った」場合の、「入社後の活躍度」への影響について調査結果をご紹介していきます。
入社企業への期待ギャップ別に、入社企業に対する意識を見てみると、期待を上回るほど、「入社満足度」・「充実度」・「(入社した企業での)継続意向」・「貢献度」、全てにおいてスコアが高くなっています。特に「入社満足度」・「充実度」では、期待を大きく上回る層では、とても満足している、とても充実していると言う回答が、それぞれ8割前後まで高くなっている点が特徴的です。
最後に、期待合致度の高い転職者(期待を大きく上回る+やや上回る+期待通り)と、低い層(期待を大きく下回る+やや下回る)の「転職サービスの満足点」の差分を見てみましょう。
転職サービスの良いと思うポイントでもっとも多かったのは「求人情報が信頼できる」、次いで「求人にいいところも悪いところも反映されている」、以下「入社しないとわかりにくい情報が掲載されている」、「口コミが掲載されている」が続きます。
つまり、転職者の「期待を上回る」ためには、上記のような会社の実態が、転職活動中に、わかることがなによりも重要ということがわかります。会社の実態を伝えるためには、求人サイトの他、自社の企業ホームページ・採用ホームページの活用なども有効でしょう。転職者の入社後の活躍・定着を目指して、企業側でできることは多くあります。ぜひ、弊社の専属担当にお声がけ頂き、ご相談頂ければ幸いです。
エン・ジャパンでは今後も本調査を定期に実施していきます。「人事のミカタ」においても、転職者の「入社後の活躍度」を向上させるため、調査結果の知見の共有を行なってまいりますので、ぜひご参考ください。