人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
最近、事務担当の数名の残業時間が極端に長くなってきました。会社全体の仕事量が増えてきていることもあるのですが、それ以上の残業量になっており、示し合わせて残業代稼ぎのために意図的に残業をしているとしか思えません。
このような場合でも残業代を支払わなくてはいけないのでしょうか。何か有効な手だてがあれば教えて下さい。
多くの会社では、時間外・休日労働について就業規則等に「業務上必要である場合に会社が指示をする~」などと定められています。
これは、会社には業務命令・指示権があり、この権利に基づいて、所定労働時間の内外を問わず、業務上の必要に応じ社員に対して時間外・休日労働を命じるものです。
よって社員が勝手に時間外・休日労働を行うことは本来できず、仮に行ったとしても、会社がこれを適正に労務が提供されたとして承認しないかぎり、割増賃金の支払請求権は発生しないこととなります。
しかし社員が勝手に行った時間外・休日労働を事後に認めたり、勝手に時間外・休日労働がされている状態に対し、日頃、特に注意・指導を行う事なく放置している場合には、この状況を暗黙で了解している(=黙示の承認)とされ、時間外・休日労働に対する賃金の支払い義務が生じます。
この際、事前に承認していないことや、所定の手続きを行っていないことを理由に割増賃金を支払わないことは、労働基準法第37条に違反するものとなります。
会社は、社員の労働時間を管理する義務があります。当人の業務内容・業務量に応じて、必要となる労働時間がどの程度になるのか、できるだけ的確に把握をし、時間外・休日労働は事前の業務命令・業務指示により行うように運用上で徹底すべきでしょう。
<監修>-------------------------------------------------------------
手塚伸弥|『人事のミカタ』編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン・ジャパン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
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