人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
弊社では夜勤を設けています。労働条件は、勤務時間が夜9時から朝8時まで、休憩時間が仮眠時間も含め3時間とし、8時間分の賃金を支払っています。しかし、社員が休憩時間は、手待ち時間に値するので、賃金を支払ってほしいと言って来ています。この場合、賃金は支払わなくてはならないのでしょうか?
労働時間に該当するいわゆる「手持ち時間」であるか否かは、待機時間の内容など状況 によって判断が異なります。
たとえば、労働基準法4条では監視・断続勤務や宿日直勤務といった労働の態様によっては、労基法の8 時間労働の原則、休憩、休日等の適用が除外されることになっています。そのため1日8時間を超えて、または休憩時間や休日にこれらの勤務に従事しても時間外・休日労働に係る割増賃金を支払わなくてもよいことになります。お問い合わせの件が、「監視・断続勤務や宿日直勤務」のいずれかに該当するものであれば、「手間ち時間」には相当しないと言えるでしょう。
一方、使用者の指示があればすぐに業務を実行できるように待機している時間は、手持ち時間となります。労働から解放されている状態ではありませんので、労働時間とみなされます。
最近では、タクシーの客待ち待機も労働時間という判決が下りる一方、突然のガス漏れ事故のために待機している時間は、使用者の指揮命令下に置かれていたと評価するには足りず、労働基準法の労働時間とは認められないという判決もありました。
後者の場合は、「待機時間が使用者の指揮命令下にあったとはいえないと判断された」ためです。具体的には、この不活動時間にテレビを見たり、パソコン、麻雀、飲酒、さらにはパチンコや飲食のために外出するケースもあったということから判断されています。
このように、3時間の不活動時間が、指揮命令者の下になく、呼出待機とみなされた例は他にもあり、「手持ち時間」か「呼出待機」に該当するのかは、実態によりけり、ということになります。