人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
新任人事です。変形労働時間制について教えてください。
例えば、月の前半が閑散期であり、月の後半が閑散期であるという場合。
月の前半の週は7時間×5日、月の後半の週は10時間×3日を所定労働時間として定めることが可能です。これによって、企業側としては繁忙期の残業代のコストを減らすことができるというメリットがあります。
変形労働時間制には、(1)1年単位、(2)1か月単位、(3)1週間単位のものがあります。企業の業務内容や繁閑のサイクルなどの実情に合わせて取り入れることをお勧めします。
(1)1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制とは、労使協定を締結することにより、1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間以下の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
労使協定において、対象労働者の範囲、対象期間及び起算日などの必要事項を定め、労働基準監督署へ届出る必要があります。
1年単位の変形労働時間制は、季節的な繁閑がある仕事に向いている制度といえます。中小の事務職、建設業などでの導入が多く見受けられます。
(2)1か月単位の変形労働時間制
1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以下の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1か月単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間の起算日などの必要事項を定める必要があります。労使協定、就業規則は所轄労働基準監督署長への届出が必要です。
1か月単位でシフトを組むような業種、特に店舗や介護業界などでの導入が多く見受けられます。
(3)1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業(規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業)において、 労使協定により、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度です。1日の労働時間の上限は、10時間です。
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シフト制との違い
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変形労働時間制とシフト制は異なるものです。先述したように、変形労働時間制は、日・月・年単位で所定労働時間を調整する制度です。一方、シフト制は、1日の中で区切られた時間ごとに従業員が交代して働く制度です。
また、変形労働時間制は、企業の閑散期や繁忙期によって所定労働時間が決定されますが、シフト制は、従業員の都合・希望を踏まえて管理者によって誰がどの時間に働くかが決定されます。
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導入の仕方
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変形労働時間制の導入フローは以下の通りです。
(1)就業規則・労使協定の見直し
(2)「変形労働時間制に関する協定届」の用意
(3)変更・締結した就業規則、労使協定、そして「変形労働時間制に関する協定届」の労働監督署への提出
まず、変形労働時間制は従業員の労働形態が変わるものであるため、就業規則や労使協定を見直す必要があります。
きちんと手続きを踏み、所定労働時間の決め方や、残業代の計算方法を設定し直しなおしたうえで導入するようにしましょう。
いかがでしょうか。変形労働時間制には似た制度もあり、どれを導入すべきか迷うこともあると思います。自社の業務内容や、閑散期・繁忙期のサイクルなどに合わせて、より最適な制度を選択しましょう。