人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
解雇には種類があると聞きました。それぞれの特徴を教えてください。
<懲戒解雇>
懲戒解雇は、事業主が企業の秩序を乱した労働者に対して課す制裁罰。就業規則に基づく処分の1つです。
懲戒解雇を行なうためには、懲戒解雇に関するルールが就業規則で定めてあり、その内容を労働者に周知している必要があります。規則を設けずに労働者を懲戒解雇することはできません。
懲戒解雇となる基準や手順については下記記事を参考にしてみてください。
(参考サイト)「懲戒解雇」にしてほしい社員がいると現場から人事部に相談が。どう判断し、進めていけばいいのでしょうか?|人事のミカタ
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_1036/
<整理解雇>
整理解雇は、企業の事業継続が困難で再建策を行う際に、人員整理を目的に行う解雇のことです。次の4つの要件を満たさなければ整理解雇することができません。
(1) 人員整理の必要性
企業は経営が悪化した事実を具体的な経営指標や数値を表し、具体的にどれくらい人員削減が必要かを客観的な資料を用いて説明しなければなりません。
(2) 解雇回避努力義務の履行
整理解雇を行う前に、解雇回避(時間外労働の中止、他部門への配転、役員報酬の減額など)を行わなければなりません。
(3) 解雇する従業員選定の合理性
企業は、解雇者の選定を平等に選ばなければなりません。例えば、会社への貢献度や、勤務成績、勤務地、担当業務等、複数の要素から検討される必要があります。
(4) 従業員への十分な説明
企業は、労働組合または解雇者に対して、整理解雇の必要性と具体的内容を説明しなければなりません。
<普通解雇>
普通解雇は、懲戒解雇・整理解雇以外の理由で従業員を解雇する場合の総称です。
懲戒解雇・整理解雇と異なり、解雇事由が規定されていないため、使用者の主観で解雇が行われることもあるようです。不当解雇としてあとから従業員とトラブルにならないためにも、客観的かつ合理的な理由で解雇しなければなりません。
普通解雇の「客観的に合理的な理由」は、次のように分類されます。
・労働者の労務提供の不能による解雇
・能力不足、成績不良、勤務態度不良、適格性欠如による解雇
・職場規律違反、職務懈怠による解雇
・経営上の必要性による解雇
・ユニオンショップ協定による解雇
※ユニオンショップ協定は、職場の過半数を代表する労働組合と労働者の間で結ぶ労働協約のこと。
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■ 解雇における注意
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就業規則に解雇事由を定めている場合でも、直ちに解雇が有効になるわけではありません。解雇のなかでも、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものは、権利の濫用として無効となります(解雇権濫用法理)。
実際に、事業主が従業員を解雇する場合、少なくとも30日以上前に解雇予告をするか30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を支払う必要があります。