人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
懲戒処分は「減給」や「解雇」などいくつか種類があると聞きました。それぞれ特徴を教えてください。
懲戒処分の種類は7つあります。処分の重さは下記の通り。
軽い
|戒告
|譴責(けんせき)
|減給
|出勤停止
|降格
|諭旨(ゆし)解雇
↓懲戒解雇
重い
■戒告
口頭での注意によって将来を戒めるもの。実務上では、懲戒処分ではない事実上の注意も多用されています。
■譴責
始末書を提出させて将来を戒めるもの。同様の行為を行わないよう従業員の言葉で誓約させます。
■減給
本来ならば支給されるべき賃金の一部を差し引かれるもの。差し引く金額は、労働基準法第91条により限度が決められており、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とされています。
■出勤停止
一定期間の出勤を禁止するもの。あまりに停止期間が長いと処分無効となる可能性もあります。
■降格
役職、職位、職能資格を引き下げること。
■諭旨解雇
企業が従業員を一方的に解雇するのではなく、両者が話し合い、納得した上で解雇処分を進めること。ちなみに「諭旨(ゆし)」とは、趣旨をさとし告げるという意味。
■懲戒解雇
懲戒処分として一番重いもの。企業側が従業員と結ぶ労働契約を一方的に解消することです。
就業規則等に定められている懲戒処分内容に基づいて行われます。通常、懲戒解雇では、退職金や解雇予告手当を支給せずに即日解雇となります。ただ、労働基準監督署による除外認定を得ず、解雇予告や、解雇予告手当を省略すると労働基準法違反となってしまいます。
詳しくは下記記事を参考にしてみてください。
(参考サイト)
「懲戒解雇」にしてほしい社員がいると現場から人事部に相談が。どう判断し、進めていけばいいのでしょうか?|人事のミカタ
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_1036/
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■ 懲戒処分をする際の注意
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懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則にその種類・程度を記載し、該当する就業規則に定めた手続きを経る必要があります(労働基準法第89条)。また、就業規則は労働者に周知させておくことが必須です(労働基準法第106条)。
減給の制裁については、労働基準法第91条にて規定されていますが、その他どのような種類の処分が可能かについては法律で定められていません。
処分が不当とされないよう客観的な事実根拠と適正な処分方法をとるよう求められます。
・懲戒処分となる事実を確認できる根拠が明確になっているか
・処分の程度によっては労働者本人に弁明の機会が与えられているか
懲戒処分をするにあたっては、上記2点に注意してください。
<監修>-------------------------------------------------------------
手塚伸弥|『人事のミカタ』編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン・ジャパン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
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