人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
2019年4月から施行された「働き方改革法案」。その中でも「残業時間の上限規制」と「割増賃金率引上げ」について詳細を教えてください。
「人事のミカタ」で行なったアンケート調査では、この「残業の上限規制」と「割増賃金率引上げ」に関して多くの企業が「経営に支障が出る」と回答しました。
特に中小企業など人数が少ない企業では、実態に合わない法改正であるとの声も。「残業の上限規制」と、大手企業への「割増賃金率引上げ」は施行済ですが、いよいよ中小企業でも「割増賃金率引上げ」が始まります。
改めて、厚生労働省のHPから法案情報を抜粋し、内容を一緒に確認していきましょう。
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■労働時間法制の見直しの目的
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「働き過ぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現するため、労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正が行なわれています。
※残業時間の上限を、法規制することは、70年前に制定された「労働基準法」から初めての大改革。
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■上限を超える残業ができなくなりました!
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【具体的には】
●残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間。
臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
(月45時間は、1日当たり2時間程度の残業に相当)
●臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。
(月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。)
●また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月まで。
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■2023年4月1日から中小企業にも「割増賃金率引上げ」が適用されます。
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・中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。
・月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせた場合、
深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。
・月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は
含まれませんが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。
・月60時間を超える法定時間外 労働を行った労働者の健康を確保するため
引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに、有給の休暇(代替休暇)を付与する
ことができます。
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また、ご懸念されている通り、経営に支障をきたすと考える中小企業は多く、当分の間、中小事業主に対して、労基などによる助言・指導を行なう際は、労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態等を踏まえて行なうよう配慮するとしています。
働き方の大きな転換期となる今、ぜひご参考ください。