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2025年下期の採用難易度を予測!

業界別 転職市場レポート(建設・不動産業編)

公開日 2025/9/9
更新日 2025/9/9
要約すると
  • 人手不足に物価高…。2025年下期は、多くの業界で採用難易度の高止まりが続く見込み。
  • 建設・不動産業における労働者の過不足状況。
  • 2025年下半期、建設・不動産業の求人数は引き続き高水準。
監修者
「人事のミカタ」編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
手塚伸弥
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン・ジャパン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
はじめに

今回は、建設・不動産業界に焦点を当て、2025年下半期の転職市場を予測するレポートをお届けします。調査から見た人材の過不足状況と下期の採用に向けた意向から見た転職市場を予測します。2025年下期に採用を計画する人事担当者の一助になれば幸いです。ぜひご活用ください。

人手不足に物価高…。2025年下期は、多くの業界で採用難易度の高止まりが続く見込み

※厚生労働省 ※令和7年(2025年)6月分 (2025年8月1日公表)
有効求人倍率(パートタイムを含む一般)/2025年の月別の数値は季節調整値

物価高騰に歯止めがかからず、企業への賃上げ圧力は強まる一方の現在。厚生労働省が発表した最新の有効求人倍率(令和7年6月)は1.22倍。正社員に限っても1.02倍と高水準を維持しており、求職者優位の売り手市場が続いています。

また、こうした状況に加え、「トランプ関税」等の影響を巡る不透明感が事業計画に影を落としている企業も。とはいえ、「人手不足のため採用せざるを得ない」という声もあり、2025年下期は、多くの業界で採用難易度が高止まりし続けそうです。

業界別の新規求人数
業種 2024年 2025年
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
建設業 68,030 66,071 67,258 68,070 61,111 69,054 72,023 61,586 64,455 68,423 63,726 68,079 70,334 64,247 68,305
製造業 57,388 54,905 55,752 59,569 54,849 59,845 65,458 55,482 55,757 61,022 55,519 56,738 58,417 52,467 54,703
卸売業,小売業 52,057 64,185 56,294 54,522 59,802 53,797 59,247 59,685 50,748 57,510 58,788 51,383 55,343 55,550 51,640
運輸業,郵便業 39,190 34,895 34,886 38,089 34,974 35,519 41,648 35,544 33,034 39,249 35,408 35,474 38,570 35,245 35,012
宿泊業,飲食サービス業 24,300 24,107 21,390 27,798 23,283 20,797 26,278 22,588 20,796 24,440 22,070 21,447 22,685 22,080 19,828
情報通信業 19,720 20,229 19,044 21,081 19,659 19,639 21,872 19,035 19,879 20,642 19,763 20,829 21,555 19,587 20,002
生活関連サービス業,娯楽業 14,402 14,250 12,385 14,521 14,102 12,178 14,825 13,636 12,079 14,127 13,679 11,974 13,826 13,485 11,688
不動産業,物品賃貸業 10,072 9,830 11,865 10,094 9,355 11,868 10,467 9,119 11,124 10,096 9,800 11,069 9,526 8,889 9,728
教育,学習支援業 4,686 5,062 5,277 5,066 5,140 4,923 5,497 5,329 5,571 6,176 5,774 5,302 4,984 4,587 4,709

令和7年6月の新規求人数は前年同月比で全体は2.5%減少。最も減少幅が大きかった業界は「卸売・小売業」でした。厚労省担当者からは「大規模な求人がなかった」とコメントがありましたが、直近のコスト増を背景に一部企業が採用に慎重になっている兆候も読み取れます。

一方で、新規求人数が増えている業界としては「建設業」が上げられ、人材不足の影響が深刻化していることが見て取れます。

建設・不動産業における労働者の過不足状況
業界別 労働者の過不足状況
産業 令和6年11月調査 令和7年2月調査 令和7年5月調査
不足 過剰 D.I. 不足 過剰 D.I. 不足 過剰 D.I.
調査産業計 48 2 46 51 3 48 47 3 44
 建設業 58 1 57 61 - 61 59 1 58
 製造業 44 4 40 50 4 46 45 4 41
 情報通信業 55 1 54 59 1 58 57 - 57
 運輸業,郵便業 58 1 57 60 2 58 57 2 55
 卸売業,小売業 29 5 24 32 5 27 31 3 28
 金融業,保険業 28 1 27 31 - 31 31 2 29
 不動産業,物品賃貸業 44 1 43 47 2 45 46 2 44
 学術研究,専門・技術サービス業 58 2 56 63 - 63 61 2 59
 宿泊業,飲食サービス業 46 2 44 49 2 47 45 2 43
 生活関連サービス業,娯楽業 42 4 38 41 3 38 38 3 35
 医療,福祉 64 1 63 60 2 58 53 3 50
 サービス業(他に分類されないもの) 48 2 46 50 2 48 52 1 51

※厚生労働省 労働経済動向調査(令和7年5月)の概況
注: 無回答を除いて集計している。
「11月調査」は11月1日現在、「2月調査」は2月1日現在、「5月調査」は5月1日現在の状況である。

同じく厚生労働省が公表している「産業別正社員等労働者過不足判断D.I.(指数)」を見てみましょう。

労働者過不足D.I.(ディフュージョンインデックス)は、人手不足の状況を示す指標で、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値です。

建設・不動産業の下半期の採用意欲は旺盛

建設業は、調査対象の全産業の中でもトップクラスで人手不足が深刻な状況です。特に、専門技術を持つ正社員の不足が際立っています。「不足」と回答した企業の割合が「過剰」と回答した割合を58ポイントも上回っていることを示します。全産業平均の+44ポイントを大きく上回り、「学術研究,専門·技術サービス業」(+59)に次いで2番目に高い数値であり、極めて人手不足感が強いことがわかります。

不動産業も人手不足ではありますが、その度合いは全産業の平均レベルです。しかし、「今後3ヶ月で正社員を増やす」と回答した企業が「減らす」と回答した企業を19ポイント上回っており、今後の採用に対する意欲は全産業の中で最も高いという特徴的な状況が見られます。

業界別 雇用判断状況及び雇用判断D.I.(季節調整値)
産業 実績(令和7年1~3月期) 実績見込(令和7年4~6月期) 見込(令和7年7~9月期)
増加 減少 D.I. 増加 減少 D.I. 増加 減少 D.I.
調査産業計 18 16 2 18 11 7 13 6 7
 建設業 18 14 4 19 10 9 14 6 8
 製造業 17 17 0 21 10 11 13 6 7
 情報通信業 28 21 7 24 12 12 23 6 17
 運輸業,郵便業 21 15 6 20 10 10 12 3 9
 卸売業,小売業 14 10 4 12 5 7 7 4 3
 金融業,保険業 10 16 △6 13 16 △3 10 10 0
 不動産業,物品賃貸業 21 12 9 25 6 19 23 4 19
 学術研究,専門・技術サービス業 30 21 9 31 8 23 22 5 17
 宿泊業,飲食サービス業 12 13 △1 21 5 16 11 6 5
 生活関連サービス業,娯楽業 11 16 △5 14 8 6 11 6 5
 医療,福祉 18 20 △2 13 18 △5 12 9 3
 サービス業(他に分類されないもの) 16 14 2 15 7 8 14 5 9
2025年下半期、建設・不動産業の求人数は引き続き高水準
まとめ
項目 建設業 不動産業
正社員の不足感 極めて深刻 (+58) 平均レベル (+44)
今後の採用意欲 堅調 (+8) 極めて強い (+19)
状況の要約 慢性的で深刻な正社員不足。特に専門技術を持つ中核人材の確保が最大の課題。 全産業平均レベルの不足感と、今後の強い採用意欲が併存。事業拡大に向けた人材確保に非常に積極的。

そもそも働き手の高齢化が進行する建設・不動産業。加えて、昨年2024年4月から時間外労働規制の適用が開始したことで、地域やプロジェクトごとにばらつきはあるものの、人材不足が加速している状況です。

先だって大手ゼネコンなどでは施工の省人化、建機の自動運転など次世代建設生産システムの浸透、外国人高度人材の直接雇用、若者獲得のためのCM放映、新卒初任給の大幅引き上げと様々な取り組みが進むものの、中小企業では「人がいなくて、思ったように工事が進まない」という声が聞こえてきています。

特に「施工管理」職は、全国的に人手不足。有効求人倍率は5倍弱となり、求人を出す際に物価高対策としての年収アップ、手当追加に動くなど、提示年収とスキルの整理、待遇の見直しが重要なポイントになります。以下の施工管理の賃金相場とスキル相関もご参考ください。

施工管理の賃金相場
決定者の定性情報
年収(万円) 決定者・決定求人内容の特徴(定性情報)
1000~ 転職先での役職・職務内容 大手企業の施工管理の専門職。
採用決定者のスキルや経験 プロジェクトマネジメント経験。1級施工管理技士、1級・2級建築士、英語力が求められる場合もある。
その他の特徴 40代~50代、決定年収は現職より上がる傾向。
800~999 転職先での役職・職務内容 大手企業の施工管理、海外施工管理、工事責任者。現場代理人幹部候補。
採用決定者のスキルや経験 電気工事経験、現場代理人経験、1級施工管理技士、1級・2級建築士、英語力が求められる場合もある。
その他の特徴 30代後半~50代。同職種からの転職がほとんど。
600~799 転職先での役職・職務内容 大手企業の施工管理の担当者。ファシリティマネジメント、調査計画、品質検査担当。
採用決定者のスキルや経験 該当業務の経験、1級・2級施工管理技士、1級・2級建築士。英語力が求められる場合もある。
その他の特徴 30代後半~50代。
400~599 転職先での役職・職務内容 大手企業の施工管理の担当者、建物修繕コンサル、現場監督、映像音響施設エンジニアなど。
採用決定者のスキルや経験 該当業務の経験、CADスキル、1級・2級施工管理技士、1級・2級建築士。
その他の特徴 20代後半~50代。
300~399 転職先での役職・職務内容 大手企業の施工管理の担当者、音響や厨房設備施工管理の担当者。
採用決定者のスキルや経験 社会人経験、建築現場経験。
その他の特徴 20代後半、理系専攻者多い。他職種からの転職が多い。

※一般社団法人 人材サービス産業協議会『転職賃金相場2024』

また、不動産業界は前述のとおり採用意欲が活発な一方、深刻な人手不足が続いています。業界未経験でも意欲のある人材を育成する「ポテンシャル採用」がさらに加速するでしょう。「ノルマが厳しそう」など業界イメージを払拭し、若手を惹きつけるため、教育体制をアピールする求人が増えると考えられます。

不動産専門職(プロパティマネジメント、設備管理など)での需要は底堅く、専門知識を持つ人材の獲得競争は続く見込みです。下期に採用を検討する場合は、ぜひ担当営業にお声がけください。

さいごに

「業界別 転職市場レポート」は、いかがだったでしょうか?下期の採用選考に向けて、本記事を参考にして頂ければ幸いです。

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