人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
営業の社員が接待交際費を使って、
取引先の担当者と合コンをしていたことが発覚しました。
本人は営業活動の一環と言いますが、私的な活動にしか見えません。
横領に当たりますか?
今回のご質問の場合、まず合コンが貴社の業務範囲内と
なり得るかが基準となります。
業務範囲の確認のためには、
●事前に会社の指示があった
●事前に会社の承認を得ていた
●合コンを開催することに、合理的な理由がある
●費用対効果が業務に影響あるものとして認められる
上記が確認事項となります。
ご質問のケースでは、事前に会社の指示、承認がないようです。
では、合理的な理由や費用対効果が認められるかでご判断ください。
類似の前例や社内規程なども含め、総合的に判断した上で
「業務の範囲内/外」の判断が可能になります。
しかし、もし業務外と判断された場合でも、ご質問のように、
ただちに横領での「懲戒処分」を行なうことは難しいと考えます。
労働契約法第15条では、使用者が労働者を懲戒することができる
場合であっても、その懲戒が「誰が見ても処分は仕方がないと
認められない場合」には、権利の濫用に該当するので、
「無効」になると定めています。
懲戒処分は、
(1)就業規則に、処分対象の行為、内容を明記してあること
(2)過去に同じようなことがあった場合、先に行われた処分と同一にすること
(3)事件の背景や経緯、情状酌量等の事情を考慮すること
(4)事実関係を把握するため十分な調査と本人に弁明の機会を与えたうえで
就業規則に基づく処罰委員会等の討議など、厳正な手続を踏むこと
など、これらの原則に基づいて判断していかなければなりません。
まずは、接待交際費が認められる「業務の範囲」や
「申請時期」「目的」「手段」などを明確にしたうえで、
不正と判断された場合は、精算した額の返還を求めてみてはいかがでしょうか。
ご参考下さい。