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インターネット上に、会社の名誉を損なうようなカキコミをした社員。解雇することはできますか?
近年、増えるインターネット上での書き込みトラブル。
業務でしか知り得ない情報の投稿や、ご質問のような
会社の名誉を損なうような社員・元社員のカキコミが増えています。
懲戒処分を行うには、前提として、
就業規則に懲戒処分について規定されていることが必要です。
その上で、処分の度合いについては書き込み内容に応じて
判断することになります。
通常は軽い懲戒処分に留め、反省を促しますが、
会社との信頼関係を喪失させるような内容である場合には
普通解雇となる可能性もあり、さらに悪質な内容の場合には
最悪、「懲戒解雇」処分もあり得ます。
労働者は、会社と労働契約を締結するにあたり、
「誠実に勤務し労務を提供する」という義務も負います。
この義務の中には、「企業の利益を不当に侵害してはいけない」
という内容が当然に含まれていますので、企業秘密を外部に
漏らしたり、 企業イメージを損なう誹謗中傷をしたりするなど、
会社の利益に反する行為は許されるものではありません。
これまでの判例では、
個人のホームページに「会社批判や取引先の情報」を載せた
社員に対し、「労働者の私生活上の行為であって、その行為が
労働者の企業における職務に密接に関連するなど、企業秩序維持の
観点から許されない行為と認められる場合には、なお企業秩序
遵守義務に違反する行為として懲戒処分の対象とすることができる」
として、14日の出勤停止処分を命じた会社の処分を有効であると
認めているものもあります。
(日本経済新聞社事件 東京地裁判決 H14.3.25)
また会社を誹謗中傷するような労働者と会社との関係性としては、
こういった行為を行った時点で信頼関係は崩壊したとも言え、
信頼関係の崩壊を理由とする普通解雇は十分に成立し得ます。
判例でも「信頼関係を著しく損なうものが明らかである」として、
普通解雇を有効としたものがあります。
(学校法人敬愛学園事件 最高裁一小判決 H6.9.8)