人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
ある社員より「上司からパワハラされている」と訴えがありました。現在、実態調査中ですが、パワハラが明らかになった場合、その人物を解雇することはできるのでしょうか。
職場のパワハラは、会社として対処すべき重要な問題です。しかし、パワハラを理由に解雇処分にすることは現実として難しいとお考えください。
人事院の指針では、職場内秩序を乱す行為として、
●暴行→「停職・減給」
●暴言→「減給・戒告」の処分対象としています。
パワーハラスメントは、社員の受け取り方により異なり、上司も業務指導の範囲内と捉えているケースが多く明確な判断基準がありません。加えて解雇を有効とするだけの証拠を会社が採取できない場合もあり、難しい問題です。
まずは、当該上司・社員から実態の調査をよく行い、パワーハラスメントの事実が認められた場合であっても直ちに解雇処分とするのではなく、注意指導を行った上で改善が見られなければ、退職勧奨とする等の扱いとしましょう。
会社の対応は、同様の事件を再発させないための他の従業員への啓発や警告の意味合いを含みます。過度に強気に対応をすることにより、裁判紛争となることは必ずしも好ましくないため、実態に則した対策を講じるべきでしょう。
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以下は、
厚生労働省が調査した「職場のパワーハラスメント防止対策」です。
パワーハラスメント防止対策を行なっていると答えた企業の中で、
●もっとも多かった取り組みは
「社内のパワ―ハラスメント相談、解決の窓口の設置」55.0%
半数以上の企業で、窓口で社員からの相談を受け付ける体制を構築しています。
●次いで、多かった回答は
「労働者への教育研修・情報提供」45.6%
「管理監督者への教育研修・情報提供」44.8%
パワーハラスメントに関する知識や情報を、労働者一人ひとりに提供すると共に、安全配慮義務のある管理監督者へ伝え、パワーハラスメントの起こらない職場をつくる取り組みを行なっていることが見て取れます。