人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
最近、「ブラック企業」という言葉をよく耳にするようになりましたが
一般的にどのような会社が「ブラック企業」と言われるのでしょうか。
また、厚生労働省が「ブラック企業」の社名を公表するとのこと。
公表の対象となる企業の基準などがあれば教えてください。
「ブラック企業」の明確な判断基準となる定義はありません。
しかし一般的には、度を超えた長時間労働やノルマを課し、
耐え抜いた者だけを引き上げる。また落伍者に対しては、
業務とは無関係な研修やパワハラ、セクハラなどで
肉体・精神を追い詰めて、戦略的に「自主退職」へと
追い込むような企業を称して「ブラック企業」と呼んでいるようです。
厚生労働省は、過酷な労働を強いて若者を「使い捨て」にしていると
疑われる企業を「ブラック企業」とし、平成25年9月に
「過重労働重点監督月間」として監督指導などを集中的に実施しました。
その際、是正勧告等を行なう対象となった違反・問題の主な事例は、以下となります。
●長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、
その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた事例
●社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、
割増賃金を支払っていなかった事例
●営業成績等により、基本給を減額していた事例
●月100時間を超える時間外労働が行なわれていたにもかかわらず、
健康確保措置が講じられていなかった事例
●無料電話相談を契機とする監督指導時に、「36協定」で定めた
上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行なわれていた事例
●労働時間が適正に把握できておらず、また算入すべき手当を算入せずに
割増賃金の単価を低く設定していた事例
●賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて
指導したが、是正されていない事例
また、厚生労働省は、2015年5月18日からブラック企業対策をさらに強化するため、
違法な長時間労働を繰り返す大企業について社名を公表していくことを決定しました。
社名公表の対象になる基準は3つあり、
(1)社会的に影響力のある大企業
(2)残業時間が月100時間を超える従業員が、1つの事業所で10人以上か
4分の1以上を占める
(3)そうした事業所が1年程度の間に3カ所以上にのぼっていること
が挙げられています。
厚生労働省はこれまで、是正勧告に従わず、書類送検した企業だけを
公表していましたが、是正勧告の段階で社名を公表するのは、初めての
取り組みとなり、ブラック企業対策がより強化されていきます。
※参考文献:厚生労働省
「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000032425.html