人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
賞与支給日直前に自己都合退職した社員から、賃金全額払いの原則に従って、賞与算定期間に在籍した分の賞与を支払って欲しいと言ってきました。既に退職した社員ですが、これに応じる必要があるのでしょうか?
労基法第24条に「賃金全額払いの原則」が定められています。賃金全額払いの原則は、賃金の一部を控除して支払うことを禁止した原則です。賞与についは、判例では支給日在籍条項の定め(「支給日に在籍していなければ賞与は支給しない」旨の定め)を合理的なものと認めているケースが多く、支給日に労働者が退職している場合には賞与を支給しなくても問題は無いと解する判断が一般的な傾向です。
ですので、貴社の就業規則に「支給日在籍条項」があれば、今回のケースでは、賞与の支給の必要は無いと言えるでしょう。今回は自己都合退職ということですが、もし、整理解雇や定年退職者である場合は、退職日を本人が決められないことから、支給日在籍用件の取り扱いは許されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべきと考えられています。また、現実の支給が遅れたり、あるいは使用者が故意に支給を遅らせたりした場合には、仮に現実の支給日前に退職したとしても、支給予定日に在籍していれば賞与を受け取る権利はあるものと考えられますので、併せてご留意ください。