人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
会社負担で資格を取得後、すぐに辞める社員について、取得後1ヶ月以内に辞めた社員は、受講費の返還をしなければならないと規定に定めることは可能でしょうか?
労働基準法第16条で、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定められています。使用者が労働者の研修や資格取得などの費用を負担する代わりに、以後一定期間にわたる勤務を約束させ、これを守らない場合に費用分の返還を義務づける場合は、16条の違反となります。
しかし、貴社のケースような資格取得のための費用であれば、16条に抵触しないという判例もあります。資格検定 のための技能訓練を労働者の願い出によって受けさせ、関連する費用を使用者が負担し、1年間その会社で働けば費用の返還を免除し、中途で退職する場合は返還するという約定については、
(1)会社の返還請求額が合理的な実費であり
(2)使用者による立替払いと認められ
(3)返還すればいつでも退職が可能であり
(4)免除までに必要な就労期間が1年と短い
これらのことから、不当に雇用関係の継続を強制するものではないとして、この約定は労基法第16条に抵触しないとした判例です。
一方、新入社員研修や、新入社員研修とそれほど差がないような場合では、費用負担は使用者として当然行うべき性質のものであるので、会社の意向に反して退職した労働者に対し、研修費用の返還を求めることは合理性がないとされた判例もあります。
いずれに該当するかは、弁護士や社労士、または所轄の労働基準監督署など、専門家に相談の上進める事をお勧めします。