人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
夏季賞与の査定結果を伝えたところ、ある社員から「なぜ自分はB評価なのか、具体的な判断根拠を教えてほしい」と強く迫られました。会社として、評価のプロセスや詳細な理由を本人に開示・説明する「法的義務」はあるのでしょうか?
人事評価は、企業の「人事評価権(裁量権)」に基づき行われるものであり、その内容をどこまで開示するかは原則として会社の自由です。しかし、実務上のトラブル防止や組織運営の観点からは、以下の点に留意する必要があります。
●法律上の開示義務はありませんが、評価があまりに不当(個人的な嫌がらせや差別、事実誤認など)である場合、従業員から「人事評価権の濫用」として損害賠償を請求されるリスクはゼロではありません。
説明を一切拒否し続けることは、評価の客観性や妥当性を疑われる要因となり、法的な争いに発展した際に会社側が不利になる可能性があります。
●就業規則等での定めの確認
もし自社の就業規則や人事評価規定に「評価結果については面談を通じて本人にフィードバックする」といった趣旨の内容が明記されている場合は、それに従う義務が生じます。規定があるにもかかわらず実施しないことは、手続き上の不備として問題視されます。
●評価の根拠が不透明な状態は、従業員の以下のような不利益を招きます。
(1)モチベーションの低下: 納得感が得られず、会社への不信感や離職につながる。
(2)改善の機会の喪失: 自分の課題がわからないため、次期のパフォーマンス向上が期待できない。
(3)不公平感の蔓延: 「上司の好き嫌いで決まっている」という噂が広まり、組織の風通しが悪くなる。
「法的義務がないから説明しない」というスタンスは、現代の労務管理としてはリスクが高いと言えます。また、人事評価の最大の目的は、給与を決めることだけでなく「人材を育成し、組織の業績を上げること」にあります。法的義務の有無にかかわらず、適切にフィードバックを行い、本人の納得感を得ることは、人事戦略において不可欠なプロセスです。ぜひ参考にしてください。