人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
新しく管理職に昇進した社員が、「部下たちから集団で無視される」「会議で『そんなことも知らないんですか』と専門知識を盾に能力を否定される」と相談に来ました。
彼は心身ともに疲弊し、管理職を降りたいとまで言っています。部下たちに事情を聞くと「上司の指示に納得できないだけ」と反論します。これは「逆パワハラ」として、会社は介入すべきでしょうか?
部下が集団で上司を無視したり、専門知識を盾に上司の指示を公然と批判したりする「逆パワハラ」は、管理職のメンタルヘルスを脅かし、組織運営に支障をきたす深刻な問題です。
パワーハラスメント防止法では、パワハラを「優越的な関係を背景とした言動」と定義していますが、この「優越的な関係」は役職の上下関係に限りません。
部下側が専門知識や経験、あるいは集団の力において上司より優位に立つ場合、その言動はパワハラに該当する可能性があります。企業は、通常のハラスメントと同様に、安全配慮義務に基づき、真摯に対応する義務があります。
被害を訴えられた際の対応は以下の通りです。
●「相談窓口での真摯な対応」まずは被害を訴える上司の話を傾聴し、精神的なケアを行います。管理職としてのプライドから、相談をためらうケースも多いため、安心して話せる環境を整えることが重要です。
●「客観的な事実確認」相談者のプライバシーに配慮しつつ、行為者である部下や、周囲の社員からヒアリングを行い、事実関係を客観的に調査します。
●「行為者への厳正な措置」逆パワハラが事実と確認された場合、行為者に対しては就業規則に基づき厳重注意や懲戒処分を行います。チーム全体の問題である場合は、職場環境改善命令を出すことも有効です。
●「再発防止」管理職研修で逆パワハラの事例や対処法を共有するとともに、全社員に対して、役職に関わらずハラスメントは許されないという毅然とした方針を周知徹底することが重要です。