人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
中途採用の応募者を採用決定する前に、前職(転職が多ければ至近2社程)の会社から『退職証明』のような書類を提出させることは法的に問題がありますか。これは、退職理由が『病気或いはトラブル』によるかを知りたい目的であります。
中途採用時に応募者に「退職証明書」の提出を求めることは、一般的です。
労働基準法第22条は、解雇や退職をめぐる紛争を防止して、労働者の再就職活動に役立てることを目的に、退職時の証明書を労働者が請求した場合に、その交付を使用者に義務づけています。使用者が労働者より証明書の交付を請求された場合に、これを拒んだり、又は理由もなく遅延して交付したり、労働者から請求されていない事項を証明書に記入したときには、使用者は30万円以下の罰金に処せられます(労働基準法第120条第1号)。
退職時の証明書において、使用者が証明しなければならない事項は、「使用期間」「業務の種類」「地位」「賃金」「退職の事由(解雇の場合は、理由を含む)うちの労働者が請求した事項です。転職についてのノウハウ本等でも、退職事由を記載しないと、応募先の人事に本当の退職理由を疑われるので、記載した方が良い、などの指摘もあり、何かを隠す必要のない応募者は、全ての項目を記載した証明書を出して来ることが一般的です。
退職時の証明書の請求権の時効は、労働基準法第115条により、退職時から2年と解されています。2年を超える分の退職証明の提出を求めることは、現実的ではありません。