人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
会社に無断で、電動キックボード通勤をしていた社員が事故に遭いました。こちらは労災の対象になるでしょうか?
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
「通勤」については、就業に関し「合理的な経路及び方法により行うこと」とされていて、合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等であって、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。
次に、電動キックボードについては、令和5年(2023年)7月1日から、電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されました。それまでは電動キックボードは、いわゆる原付バイク又は自動車と同じく運転免許が必要でしたが、法改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」と定義され、16歳以上であれば、運転免許がなくても運転ができるようになりました。
このような経緯から考えますと、電動キックボードは原動機付自転車や自転車と同等に合理的な方法と認められると考えられます。
そのため、仮に会社が電動キックボードを禁止していたとしても、保険給付をおこなう行政側からみて、「合理的な方法」であると判断されれば、酒気帯び運転等の特別な事情が無い限りは、問題なく労災保険から給付が受けられることになります。