人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
若い世代を中心に、「退職代行」の利用が増えているというニュースを見ました。代行業者から連絡が来てしまった時の企業側の対応方法や、トラブル対策について教えてください。
退職は、労働者の一方的な意思表示により効力が発生します。そのため、代行会社からであっても意思表示となり、会社側の承認は必要としません。
そのため、一方的な代行での退職申し出であっても該当社員の真意に基づくものであれば、企業側としては、該当社員から「退職届」や「貸与品」を郵送してもらい、退職の処理を進めていきましょう。
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■退職代行に対する企業側の対応
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退職代行を社員が使った場合の一般的な対応は、以下の流れになります。
(1)資格を確認する
前述のとおり、退職条件の交渉は、弁護士資格を有する人物しかできません。
退職の意思に加え、条件交渉が入るかどうかは、まず連絡をしてきた人が弁護士資格の有無によって確認できます。
(2)労働者本人の依頼か確認する
第三者の嫌がらせで、退職代行が依頼されているケースもあります。本当に労働者本人からの依頼なのか、契約書や本人証明の書類があるかなど、十分に確認しましょう。
(3)希望する退職日と就業規則を照らし合わせて確認する
就業規則で「退職1ヶ月前申告が必要」等の記載があった場合でも、法律上、退職日より2週間以上前に退職の意思が伝えられていれば、労働者は退職ができることになっています。希望する退職日が法律上OKか、就業規則でも問題ないかなど考慮して、退職日を決定します。
(4)労働者に退職届の送付を依頼する
退職が決定した場合、労働者本人から退職届を送付してもらう必要があります。会社での所定の書式がある場合は、それらを事前に送付しましょう。
(5)退職届の受理、貸与品の返還を依頼する
労働者本人からの退職届が確認できた場合、貸与品等の返還依頼を行いましょう。
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■退職代行は拒否できる?
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退職代行は、原則拒否できません。ただし、例外もあります。
(1)退職意向が、本人からの依頼でない場合
先述したように、第三者からの嫌がらせで、本人からの依頼ではないという場合があります。この時、本人は退職を希望していないので、退職代行を拒否できます。
本人確認の書類の写しなどを確認することが必要です。
(2)有期雇用社員の場合
有期雇用の社員は、ある一定の期間まで働くことを前提とした雇用契約のため、原則として期間内に一方的に辞めることができず、退職代行を拒否できます。
ただし、ハラスメント行為を受けた、病気で業務の継続が難しくなった、両親の介護が必要になったなど、やむを得ない場合は退職が認められる可能性があります。以下は、そもそもの退職代行に関する詳細な情報です。参考にしてください。
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■改めて、退職代行とは?(詳細)
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●退職代行サービスには3つの形態があります。
(1)弁護士が代行
弁護士資格を有する人が、依頼者の代理人として退職の意思を会社側に伝え、有給の消化他、各種条件について交渉もします。
(2)退職代行ユニオンが代行
合同労働組合のひとつであり、近年増加する退職代行ユニオン。退職相談をした人の代理として、会社側に退職の意志を伝えるサービスです。
(3)その他
最近は、退職代行サービスを行なう民間企業も増加しています。インターネット上で広告が出ていることもあり、こちらを利用する労働者も増加中です。
ただし、弁護士資格を有さない場合、有給の消化他、退職時の条件交渉などはできません。もし交渉をしてきた場合は、弁護士資格の確認が必要です。
●退職代行の法的有効性
退職代行は、労働者の意思表示を代理人が代行するものであり、民法の規定に基づいて行われます。民法では、代理人が代理権を持っていることを証明する必要がありますが、退職代行の場合は、労働者が退職代行業者と契約を結び、委任状を交付することで、代理権を証明できます。したがって、退職代行は、法的に有効な方法と言えます。
ただし、退職代行は、労働者の意思表示を代行するだけであり、雇用者の承諾を得ることはできません。雇用者が退職届を受理しない場合や、退職日を変更する場合など、退職に関する交渉は、労働者と雇用者の間で直接行わなければなりません。
●退職代行に関する法改正と最新の動向
退職代行は、近年、労働者のニーズに応える形で急速に普及していますが、その一方で、悪質な業者やトラブルの発生も問題視されています。例えば、退職代行業者が、労働者に不利な契約を強要したり、高額な手数料を請求したり、雇用者に対して暴力的な態度をとったりするケースが報告されています。
このような状況を受け、政府は退職代行業者に対する規制を強化するために、2024年に法改正を行なうことを決定しました。法改正の主な内容は、以下のとおりです。
・退職代行業者は、厚生労働省の許可を受けることが必要になります。
・退職代行業者は、契約内容や手数料の明示、クーリングオフの導入、雇用者への配慮など、一定の基準を満たすことが求められます。
・退職代行業者が、基準に違反した場合は、罰則が適用されます。
<監修>
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手塚伸弥|『人事のミカタ』編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン・ジャパン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
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