人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
企業の不祥事に関するニュースが世間を騒がせる際に、「コンプライアンス」という言葉をよく耳にするようになりました。なんとなく意味はわかりますが、改めて教えてください。
コンプライアンスは、英語の名詞「compliance(従うこと・命令に応じる)」のこと。
転じて、近年私たちがよく耳にする「コンプライアンス」は、企業が「法律や条例だけでなく、社会的規範や企業倫理、社内規定、就業規則などの幅広い規則を守る」という意味で使われています。
------------------------------------
■コンプライアンスの重要性
------------------------------------
「社会的な規範を逸脱している」と社会に判断されれば、企業はあっという間に信用を失いかねない時代。
例えば、海外では世界的なシューズメーカーが、東南アジアの下請け工場で低賃金労働や児童労働をさせていたと告発され、大きな問題になったことがありました。また近年の日本においては「マタハラ・パタハラ」問題なども。
就業規則を守っていた育休復帰後の異動であっても、ハラスメント(嫌がらせ)であるとネット上で拡散され、企業側で見解を発表するという事態に発展したことを覚えている方もいるかもしれません。
またたく間に評判が広まってしまう可能性がある今だからこそ、企業の法令・社会手的規範の遵守はますます重要になっています。
------------------------------------
■コンプライアンス違反の事例
------------------------------------
コンプライアンス違反の事例として、以下の9種が挙げられます。
・不正会計(粉飾決算など)
・製品偽装(性能の偽装、産地偽装、賞味期限の偽装など)
・不正受給(助成金の不正受給など)
・衛生管理の不徹底(食中毒の発生など)
・情報管理の不徹底(個人情報の流出など)
・不適切な労働環境(過度な残業、賃金未払い、パワハラなど)
・著作権侵害(著作物の無断使用、不正コピーなど)
・景品表示法違反(根拠のないNo.1表記など)
・出資法違反(投資詐欺など)
特に、人事・労務担当者は、従業員が「不適切な労働環境」におかれていないか注意が必要です。
厚生労働省が2018年に実施した過重労働解消キャンペーンによると、過重労働解消相談ダイヤルに「長時間労働・過重労働」に関する相談が204件、「賃金不払残業」に関する相談が174件、「パワハラ」に関する相談が69件寄せられたそうです。寄せられた相談は、どれもコンプライアンス違反に該当しています。
------------------------------------
■コンプライアンス対策
------------------------------------
最も重要で、優先すべきコンプライアンス対策は、「経営トップがコンプライアンス違反を許さないという決意を、社内外に示す」ことです。どのような対策を行なおうと、経営トップの本気が従業員に伝わらなければ、企業風土の改善は望めません。
まずは、経営トップが意思を示す。その上で以下のような対策を行なうことをオススメします。
・ルールの整備 : 就業規則・行動規範の策定
・体制の整備 : 専門委員会・専門部門の設置(遵守の監視)
・研修の整備 : 従業員の啓発・指導
<監修>-------------------------------------------------------------
手塚伸弥|『人事のミカタ』編集長/第二種衛生管理者/認定心理士
2001年から人材系企業にて求人広告・採用広報ツールなどのコピーライター、クリエイティブディレクターを経て、2014年エン・ジャパン入社。以後、編集長として採用・人事労務・雇用関連の調査や情報発信を行なう。
-------------------------------------------------------------