人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
人事部に、社長の言動が「ハラスメントではないか」と社員から相談を受けました。仕事の相談をしたところ「そんなこと言ってると、クビにするぞ」と言われたとのこと。笑いながら、冗談めかして言うタイプの社長なのですが、ハラスメントに該当するでしょうか?
「冗談のつもりだった」
「笑いを取るため」
「場を和ませるため」
ハラスメントに関する相談の聞き取りでよくあるのが、加害者側の上記のような回答です。しかし、どんなつもりであったとしても以下3つの基準に該当すれば、ハラスメントであると判断される可能性が高いです。
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(1)優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
(2)業務の適正な範囲を超えて行われること
(3)身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
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(雇用環境・均等局の資料より引用)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
●「クビにするぞ」「やる気がないなら辞めろ」「おまえは給料泥棒だなあ」
若い社員からの相談に、冗談で場を和ませようとした、はっぱをかけるつもりだったなど、経営者や役職上位者が無意識で使ってしまう上記のような言葉。信頼関係があると思って使われている場合もありますが、そう思っているのは本人のみ...ということも。
少なくとも、本件のご質問の「クビにするぞ」発言は、(1)優位な立場での、(2)業務範囲を超えて必要性がない発言であり、相談した社員に(3)精神的な苦痛を与えていることから、ハラスメントに該当すると考えて良いでしょう。
笑いを取るため、場を和ませるためなど、スパイスとして話をしていても、人を傷つけていたり、ハラスメントと捉えられるということを、まずは社長に指摘して、認識して頂きましょう。
指摘が難しいという場合や、社内で問題解決が難しい場合には、労働相談情報センター等に相談するのも一つの手です。その際、「記録や証拠を備えておく」「事実を正確かつ具体的に説明する」「どのような解決を求めているのか主張をはっきりさせる」ことの3点が重要になりますので参考にしてください。
また、パワハラ以外でも、無意識のセクハラ発言も相談が多くなっています。男性女性問わず、以下のような言葉で困っているという声も。ぜひ、参考にしてください。
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●「男性(女性)のタイプは?」「いい歳をして…」「色気のない服だね」
異性・同性のプライベートに関するコメントや社内での大声の猥談、プライベートの風評を流す、直接のボディタッチなど。
●「デートしよう」
しつこく誘う。職場上の立場が絡むと、「嫌」と言えずに困っているという事例が散見されます。
●「男らしくしろ」「女には無理」
性別を理由に、特定の表現をするのは性差別に該当します。
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