人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
会社の事情により、内定者の内定取り消しを行いたいのですが、詳しい説明をしなくても、取り消しを行うことはできるのでしょうか?
採用内定は、卒業できないなど一定の事由による労働契約の解約権を留保している契約を締結していると考えられています。これを解約権留保付労働契約といいます。
このような関係にある以上、内定中は実際に就労はしていないものの、試用期間中の地位と基本的に同じであるとされています。つまり、解雇と同様に考えるべきであり、採用内定者との合意がないにもかかわらず自由にその内定を取り消すことはできないとされます。
従い、内定取り消しを行うには、合理的かつ客観的に正当な理由が必要とされ以下のものが挙げられます。
1.内定者が卒業できなかった場合
2.就労に耐えられないほど健康状態が悪化した場合
3.提出書類に虚偽の記載を行っていたことが発覚し、
その内容・程度が重大なとき
4.内定通知後、犯罪を犯したとき
この客観的合理的な理由がない場合には、解雇権の濫用となり無効になる場合があります。
前述のように、内定取り消しと解雇は同様に考えられていることから30日前に解雇予告するか、あるいは30日分以上の解雇予告手当を支払うなど、内定を取り消す際には解雇と同様の手続きを取るようにします。
なお業務縮小等、会社の都合により内定を取り消す場合、以下の基準を満たすことが必要であるとされています。
1.整理解雇の必要性があること
2.整理解雇回避のための努力を尽くしたこと
3.解雇の対象者選定について、客観的・合理的な基準を作成し、
適正にこれを運用したこと
4.使用者が整理解雇を行うにあたって、当該労働者、労働組合と
誠実かつ十分に協議しなければならないこと
内定の意思表示が相手側に到達した時点で「労働契約の成立」があったとみなされるため、十分な説明責任が求められるでしょう。