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定年後再雇用された嘱託社員(有期雇用)」の待遇格差が問題になった長澤運輸事件。企業側が勝訴したと聞いています。その理由について教えてください。
事件概要は...
定年後継続雇用したドライバーの賃金を2割引き下げたことが期間の定めの有無によるもので不合理とした訴訟です。
【争点】「正社員」と「定年後再雇用された嘱託社員(有期雇用)」の待遇の格差】
【格差が「不合理」とされたもの】
・精勤手当
・超勤手当
【格差が「不合理ではない」とされたもの(その理由)】
・能率給及び職務給(老齢厚生年金の支給を受けることが予定されているため)
・役付手当(正社員の中から指定された役付者であることに対して支給されるものであるため)
・住宅手当、家族手当(従業員に対する福利厚生及び生活保障の趣旨であるため老齢厚生年金受給があれば不合理ではない)
・賞与(退職金の支給を受けていること、老齢厚生年金の支給を受けることが予定されているため)
【社労士からの解説】
一見労働者側に不利ようにも思える判決ですが、年収額は定年退職前の79%程度であり、老齢厚生年金の支給により生活の補填が受けられること、その老齢厚生年金の支給までは「調整給」を支給するなど、会社側が嘱託乗務員の収入の安定に配慮しながら,労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫している点に注目する必要があります。
※見解として「不合理」とされた手当に関しては、労務の対価としての性格が強いものであり、逆に「不合理でない」とされた住宅手当、家族手当は生活費の補填的な意味合いが強いものであると考えられます。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785