「人的資本経営」とは｜人事、採用、労務の情報ならエン人事のミカタ

vol.65

注目される背景や重要な取り組みを解説

「人的資本経営」とは

最近注目が集まっている「人的資本経営」。人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。人材育成やリスキリングにも関連が深いこのテーマについて、本日は解説します。

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人的資本とは

従業員のスキルや能力、知識など、人に付随する能力を企業の「資本」とする考え方のことです。似た言葉に「人的資源」がありますが、こちらは「人材は消費される資源であり、人件費はコストである」という考え方です。
近年は、「人的資本」の考え方に注目が集まっており、人材に投資して価値を高めることが企業価値の向上に繋がると言われています。

人的資本経営が注目されている背景

人的資本経営が注目されている背景を3つご紹介します。

1人的資本の価値向上

技術革新が進む現代、多くの仕事が新たなテクノロジーに代替され、イノベーションや新たな事業進出における「人」の重要性が高まっています。今後、企業が高い競争力を身につけ、事業環境の変化に適応していくには、人的資本の価値を最大限に活かすことができる仕組みをつくっていくことが大切です。
2無形資産への関心の高まり

近年、企業の市場価値の構成要素が有形資産（モノ・カネ）から無形資産（ヒト）に移行しつつあります。内閣府知的財産戦略推進事務局が発表している資料によると、米国株式市場の主要株価指数であるS&P500の市場価値構成要素において、1975年には17%だった無形資産の占める割合は、2020年に90%まで上昇しています。投資家が無形資産を評価する傾向が強まっており、そのために情報開示を望む声が多くなっています。
3ESG投資の重要度の高まり

ESGとは、環境（Environment）、社会（Social）、ガバナンス（Governance）の頭文字をとって作られた言葉です。二酸化炭素排出量の削減などの環境問題、適正な労働条件や男女平等など職場での人権対策、不祥事の回避やリスク管理のための情報開示など、大きく3つの観点から企業を分析して投資するのがESG投資です。現在の財務状況だけでは見えにくい企業の将来性や持続性を評価する指標として、近年重要性が認知されています。

人的資本経営における重要な取り組み

重要な取り組みを2つご紹介します。

1人的資本の価値向上のための戦略

人的資本経営を行っていくうえで重要なのが、人的資本の価値を高めるための戦略です。人的資本にどのような投資をするのか、具体的な戦略を策定していく必要があります。また、そのためには社員のスキルや経験などの情報をしっかり管理し把握していくことも大切です。企業は自社の社員と向き合い、価値を向上させ、それを経営に反映していくことが求められます。
2人的資本の情報開示

もう一つの重要な取り組みは、人的資本の情報開示です。対象となる大手企業は、人的資本の価値を高めるためにどのような取り組みを行ったのか、定量・定性情報をふまえて投資家に公開しなければなりません。現在は大手企業を中心に対象となっていますが、今後中小企業へ対象が広がる可能性があります。投資家に対して人的資本に関する情報を開示することで、投資家からの声をその後の戦略に活かすことができます。

【資料ダウンロード】
人的資本の情報開示│対応・活用へのガイドブック
⇒https://lp.on-board.io/DL_humancapital_guidebook.html

まとめ

今後、企業が高い競争力を身につけ、事業環境の変化に適応するためには、人的資本への投資が必要不可欠です。まずは従業員のスキルや経験を可視化し、理想と現実のギャップを埋めるためにどのような投資をすべきか、「人的資本経営」の観点から考えてみるのはいかがでしょうか。

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