人事が知っておきたい「職場のメンタルヘルス入門」。
ストレス社会と言われる現在、メンタル不調を訴える労働者が増え続けています。働き盛りの社員のメンタル不調が社内へ与える影響は大きく、企業にとって「メンタルヘルス対策」は、経営課題と言って差し支えない問題となりました。
そんな状況を背景に、労働安全衛生法が改正され、本年12月から従業員のストレスチェック義務化法案も施行されます。しかし、多くの中堅・中小企業では「問題はあるが、何をすればよいのかわからない」など、対策を考える上で、悩める声が聞こえてきます。
そこで今回は、『心の不調を予防する、メンタルヘルス最新動向』と題し、メンタル不調の要因となるストレスや、3段階の予防、メンタルヘルスケアの4つの指針など、動向をご紹介します。人事担当者がこれから考えるべき職場のメンタルヘルスについて、ぜひ参考にしてください。
「メンタル不調の社員がいる」と回答した企業は69%。
グラフは、「エン 人事のミカタ」で調査した「メンタルヘルス対策について」の企業アンケート集計結果です。アンケート回答結果の一部をご紹介すると、「従業員のメンタルヘルス不調についてどの程度把握していますか?」という質問に対し、「把握している」「だいたい把握している」と回答した企業は約7割。そのうち「自社内にメンタルヘルス不調の社員がいる」という回答は、69%にのぼりました。前年同調査の結果と比較して、3ポイントの増加となり、メンタルヘルス対策が企業にとって喫緊の課題となっていることが見て取れます。
メンタル不調の要因となるストレス。最も多いのは「仕事の量・質」。
メンタルヘルスケアを検討する上で、大切なのは社員がストレスを感じる要因を把握することです。そのため、まずはメンタル不調を招くストレスとは何かについて見ていきます。以下のデータは、厚生労働省が1万7200名(有効回答数1万203名)の労働者に対して調査した、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの原因」についての結果です。労働者は、どんなことに強いストレスを感じているのでしょうか。
ストレスの要因として、一番多かったのは「仕事の質・量」65.3%。次いで「仕事の失敗、責任の発生等」36.6%となっています。仕事の量と質、そして伴う失敗や責任に対して強いストレスが発生しています。それでは次に、男女別・年代別の結果も見てみましょう。
男女別のストレス要因を見ると、「対人関係(セクハラ・パワハラ含む)」にストレスを感じている女性が多く、男性より7ポイント以上高い結果に。「役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)」へのストレスは、男性が女性より10ポイント以上高く、男女間の差がもっとも開いています。
年代別のストレス要因を見ると、「仕事の質・量」に関するストレスをもっとも感じているのは20代の若手。同じく20代では「仕事の失敗、責任の発生等」が43.5%と、他年代と比較して一番高く、仕事面で強いストレスを感じていることが見て取れます。一方、30代・40代になると、中堅社員ゆえの「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」「役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)」に対してストレスを感じると答える人が上昇しています。