人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
ある社員が、社内メールで役員の悪口を書いて同僚に送り、愚痴を言い合っていましたが、役員がそのメールを読んでしまい、悪口を書いた社員が処分されることになりました。こういった場合、解雇や異動は問題ないですか。
労働者個人が有する表現の自由の観点から、役員の悪口をメールでやり取りした事実のみで懲戒処分とすることは出来ません。
社内メールであれば、当然勤務時間中の行為であり、その行為が頻繁にまた長時間にわたり行われている場合は勤務態度に問題があるとし、注意訓告を行うべきと考えます。
社員の態度が一向に改善が見られない場合、けん責、減給といった懲戒処分も考えられるでしょう。それでも改善されない場合は、労働者の非違行為に対する処分という意味では、軽易な懲戒処分ではなく普通解雇とすることも考えられます。その際、懲戒処分については、就業規則に懲戒処分の種類と程度を予め定めておく必要があります。
人事異動については、以下の要件を満たしていない場合には、使用者側の権利の濫用と判断されます。
1)業務上の必要があること
2)不当な動機・目的がないこと
3)労働者に著しい不利益が生じるものでないこと
役員の悪口を言い合う行為そのものは認められるものではありませんが社員の言い分をよく聞き、会社に改善の余地があれば取り組むことも大切です。
また、社内メールをモニタリングする際には個人のプライバシーとの観点から、実施にあたっての周知やルールなども定めておく必要があるでしょう。
いずれにしても、何か一回のことで懲戒解雇することは、刑法上の犯罪レベルや会社業績に著しい悪影響を与えるなどの事由でなければ、解雇権の濫用にあたる可能性が高いとお考えください。