人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
採用した社員が、選考時に提出した履歴書の職歴を一部偽っていたことが入社後に発覚しました。それを理由に解雇することはできますか?
経歴詐称には、学歴詐称、職歴や所有資格の詐称、犯罪歴の詐称などがありますが、これらを理由に解雇する場合、就業規則にその旨を記載している必要があり、詐称が判明したからといって直ちに解雇できるとは限りません。
経歴詐称が業務上または経営に対して極めて重大な影響を及ぼす場合は就業規則への解雇事由記載の有無は問われないケースもあります。しかし、極めて稀な場合であり、重大の度合いの証明も難しいものです。
また、解雇事由が記載されていた場合も、懲戒解雇は妥当ではないと判断されるケースがあり、判例上では以下の点が重視されています。
・採否の判断に重大な影響を及ぼす経歴詐称であったか
・企業の秩序維持を困難にさせる可能性があるかどうか
・本人に対する労働力の評価を誤らせる程度であったか
些細な事でも詐称されたと分かると信頼関係が崩れ、雇用しておくことが許しがたいという意識に傾きます。ただし、懲戒解雇処分は相当程度に重い処分でもあります。解雇権濫用にあたらないか慎重に取り扱う必要があるでしょう。