人事・採用担当者の「ちょっと困った...」をスッキリ解決!
ある社員から「上司からパワハラ(パワーハラスメント)を受けている」といった訴えがありました。現在、実態を調査しているのですが、パワハラが明らかになった場合、パワハラを理由にその人物を解雇することはできるのでしょうか。
パワハラを理由に解雇処分とすることは現実として難しいとお考えください。
人事院の指針では、職場内秩序を乱す行為として、
暴行では「停職・減給」、暴言では「減給・戒告」を処分対象としています。
パワーハラスメントは、社員の受け取り方により異なり、上司も業務指導の範囲内と捉えているケースが多く明確な判断基準がありません。また、解雇を有効とするだけの証拠を会社が採取できない場合があります。
そのため、懲戒処分とは別に、パワハラの事実が認められた場合、その事実を否認している態度や改善の可能性がない点から、服務規律違反や適格性欠如を理由とした普通解雇とするケースがあります。
まずは、当該上司・社員から実態の調査をよく行い、パワーハラスメントの事実が認められた場合であっても直ちに解雇処分とするのではなく、注意指導を行ったうえで改善が見られなければ、退職勧奨とする等の扱いとします。
会社の対応は、同様の事件を再発させないための他の従業員への啓発や警告の意味合いを含みます。過度に強気に対応をすることにより、裁判紛争となることは必ずしも好ましくないため実態に則した対策を講じるべきでしょう。